しょうの雑記ブログ

ファッション、音楽、物事の考え方、おすすめの商品、食べ物、プロ野球などについて書いたブログです。

オウガ・ユー・アスホールのワンマンライブ(2023年12月16日)

 2023年12月16日(土)、リキッドルームで行われた、オウガ・ユー・アスホールのワンマンライブに行ってきました。

 

出典:OGRE YOU ASSHOLEオフィシャルサイト

 

 

 年末恒例のイベントですが、チケットはソールドアウトとのことでした。

 

 そのため、ライブハウスの中は、人でギュウギュウになっていました。

 

 あんなに沢山人が入っているリキッドルームのライブは、初めてでした。

 

 オウガの年末のワンマンライブには何度も行っていますが、今回が、一番人が入っていました。

 

 もしかすると、コロナでの赤字を埋め合わせるため、収容人数ギリギリまで人を入れているのかもしれません。

 

 ライブは19時からでしたが、19時を過ぎたところで、メンバーがステージに出てきて、演奏が始まりました。

 

 

 

 

 

 

ライブの内容

 

 1曲目は、「これから」でした。

 

 アルバム「100年後」に収録されている曲です。

 

 最近、全くライブでやっていなかった曲だったので、「この曲から始まるんだ!」という驚きがありました。

 

 この曲は、好きな曲なので、ライブで聴けて嬉しかったです。

 

 しっとりした雰囲気で、ライブが始まりました。

 

 2曲目は、「なくした」でした。

 

 これもしっとりした雰囲気の曲で、ついつい聴き入ってしまいました。

 

 3曲目は、「ムダがないって素晴らしい」でした。

 

 ミニマルな雰囲気の曲で、オウガの世界に段々引き込まれていきます。

 

 4曲目は、「素敵な予感」でした。

 

 ライブでの定番曲です。

 

 ダークで激しい曲で、ライブで聴くと、異空間に引きずり込まれるような感覚になります。

 

 リキッドルームは低音がよく出るハコなので、低音でお腹や胸が振動しているのがわかりました。

 

 こういう感覚も、ライブならではだと思います。

 

 5曲目は「待ち時間」、6曲目は「家の外」、7曲目は「ただ立ってる」でした。

 

 最近出したepの曲を、ここでまとめて演奏していました。

 

 この中では、特に、「家の外」が印象に残りました。

 

 電子音にバンドの生演奏が重なって、それがとてもかっこよかったです。

 

 「クラブミュージック+バンドサウンド」といった印象で、新境地といった感じの曲です。

 

 クラブで演奏しても盛り上がりそうだなと思いました。

 

 8曲目は「朝」でした。

 

 聴いていると、ドープな世界観に引き込まれ、感覚が麻痺してきます。

 

 9曲目は「見えないルール」でした。

 

 この曲も、ライブでの定番曲です。

 

 ただ、オウガらしく、アレンジがまた変わっていて、独特なギターフレーズが印象的でした。

 

 この曲では、フロアも盛り上がっていて、多くの客が踊り狂っていました。

 

 今回のライブでは、盛り上がって、声を上げる客も多かった印象です。

 

 10曲目は、「記憶に残らない」でした。

 

 この曲も、最近全くライブでやっていない曲だったので、「お、この曲もやるんだ!」と意外な感じがしました。

 

 しっとりした雰囲気の曲なので、「見えないルール」で盛り上がったフロアは、少しクールダウンという印象でした。

 

 本編最後の11曲目の曲は、「ロープ」(ロングバージョン)でした。

 

 これもライブでの定番曲ですが、非常に長い曲なので、持ち時間の短いイベントライブでは、なかなか聴けません。

 

 こういった長尺の曲を聴けるのも、ワンマンライブならではだと思います。

 

 曲の後半にかけてどんどん盛り上がっていき、最後の爆発するようなパートでは、聴いていて頭の中が真っ白になりました。

 

 こういう感覚も、オウガなライブならではだと思います。

 

 メンバーは、ここで一旦、ステージからはけます。

 

 そして、アンコールでメンバーが再びステージに出てくると、珍しく、出戸さんがMCでライブの告知をしていました。

 

 「来年の5月、地元の長野県の原村で、野外イベントを開催します」とのことでした。

 

 そして、「スペシャルなゲストも呼びます」とも言っていました。

 

 バンド主催で野外ライブをやるというのは、なかなか攻めているなと感じました。

 

 普段、ほとんどMCで告知をしない出戸さんが告知をするくらいなので、このイベントにかなり力を入れていることが伺えます。

 

 「スペシャルなゲスト」が気になりましたが、もしかしたら、海外のミュージシャンを呼んだりするのかもしれません。

 

 会場の原村に行くまではちょっと大変そうですが、5月のちょうどいい気候の中、自然の広がる野外でオウガのライブを観たら、とても気持ちよさそうだなと思いました。

 

 アンコールでは「また明日」をやって、爽やかな雰囲気で終わりました。

 

 ただ、前に聴いた時とアレンジも微妙に変わっていて、ギターのちょっとヘンテコなフレーズが入っていました。

 

 そういうところも、オウガらしいと感じました。

 

 ライブが終わると、出戸さんは「良いお年を」と言って、ステージから去っていきました。

 

 年末のリキッドルームのオウガのライブには何回も行っていますが、出戸さんが「良いお年を」と言っていたのを聞いたのはこれが初めてだったので、なかなか珍しいと思いました。

 

セットリスト

1.これから

2.なくした

3.ムダがないって素晴らしい

4.素敵な予感

5.待ち時間

6.家の外

7.ただ立ってる

8.朝

9.見えないルール

10.記憶に残らない

11.ロープ(ロングバージョン)

アンコール:また明日

 

 

 

 

 

 

まとめ

 年末のオウガのリキッドルームのライブには、2022年も行っています。

 

 ただ、2022年は、まだコロナの影響があり、1日に2回公演を行う2部制でした。

 

 その1部の方のライブを観たのですが、2部制だったこともあってか、演奏時間が短く、アンコールもなかったので、観ていて完全に満足のいくライブではありませんでした。

 

 ただ、今回は、演奏時間も1時間半と長く、アンコールもやっていました。

 

 そして、セットリストも、新旧の曲がバランス良く配置されていたので、とても満足のいくライブでした。

 

 演奏時間は1時間半でしたが、体感時間としては30分くらいでした。

 

 オウガのライブは、曲の世界観に引き込まれて、ある種のトリップ状態になるので、本当に時間が短く感じます。

 

 「オウガのライブ中は、時空が歪んでいるのではないか?」と思ってしまうくらいです(笑)。

 

 それくらい、唯一無二のライブをやるバンドだと思います。

 

 今回のライブも、本当に素晴らしいライブでした。

 

 まだライブを観たことがない方は、是非一度、ライブを体感してもらいたいです。

 

 既に結構キャリアはありますが、今後も、できるだけ長く続いてほしいバンドです。

 

 

 

 

 

SHIN-ONSAI 2023(2日目)

 2023年の10月、新宿区が主催する「SHIN-ONSAI(シンオンサイ)」という音楽フェスに行ってきました。

 

 2日間参加しましたが、今回は、10月8日(日)の2日目の模様をレポートします。

 

 

 

出典:SHIN-ONSAI 2023 オフィシャルサイト


shin-onsai.com

 

 

 ちなみに、1日目の模様もブログ記事にしていますので、気になった方は、そちらも読んでみてください。

 

www.bamentekiou.com

 

 

 

 

 

 

ライブを観たアーティスト

 ここからは、私が観たアーティストのライブについて語っていきます。

 

□□□(クチロロ)

 この日は、クチロロのライブから見ました。

 

 今回のライブでは、クチロロの正式メンバーである、村田シゲさんと、いとうせいこうさんは不参加でした。

 

 しかし、サポートの女性コーラスが沢山参加しており、ステージは大人数で、華やかな雰囲気です。

 

 衣装は、トップスをみんな白で揃えていて、統一感があって、良い感じです。

 

 本編開始前に、リハで、「Everyday」をやっていましたが、とても良くて、リハの段階で、会場は結構盛り上がっていました。

 

 本編の最初の曲は、「スカイツリー」でした。

 

 この曲は、歌詞に、原発に対する社会的メッセージが含まれている曲です。

 

 そのため、歌詞をじっくり聴いていると、少し複雑な気持ちにもなります。

 

 ただ、基本的にメロディがポップなので、シリアスにはなりすぎません。

 

 そして、曲の途中に演劇のような「会話」のパートがあるのも特徴です。

 

 今回のライブでは、会話のパートも、生でテンポよく行っていたことに驚きました。

 

 15分くらいある長い曲ですが、曲の構成が巧みなので、「長いな」と感じずに、あっという間に時間が過ぎました。

 

 その後、今回のシンオンサイのため作った新曲もやっていましたが、ポップで明るい曲で、とても良い曲だと感じました。

 

 「ふたりは恋人」は、かなり久々に聴きましたが、かわいらしくて、ほっこりする曲だと思いました。

 

 去年のシンオンサイのために作った新曲を挟み、最後は、「いつかどこかで」をやっていました。

 

 「いつかどこかで」は、クチロロらしいポップさや実験精神が詰まった曲で、改めて良い曲だと感じました。

 

 また、「いつかどこかで」の途中でメンバー紹介をしていましたが、女性コーラスの人のことを「契約社員」と呼んでいたのが面白かったです。

 

 そして、ギターは、サポートで、星野概念さんという方が担当していました。

 

 星野さんは、三浦さんがMCをしていて話が長くなりそうな時に、「そうやって喋っていると時間が押すよ」と突っ込みを入れていたのが印象的でした。

 

 そして、後で、ネットで星野さんのことを調べてみると、精神科医をやりつつ、ミュージシャンもやっていると知って驚きました。

 

 また、クチロロは、ライブだけでなく、物販のやり方も面白かったです。

 

 今回の物販では、未発表曲のCD-Rを売っていました。

 

 しかし、だだ出来合いのものをただ売るだけではありませんでした。

 

 三浦さんは、MCで、「もし、『歌もの多め』とか、『ラップ曲多め』といったリクエストがあれば、そのリクエストに応えて、その場でPCからCD-Rに焼きます」と言っていました。

 

 これを聴いて、「そういう売り方もあるのか!」と目からうろこでした。

 

 クチロロは、音楽だけでなく、物販のやり方も面白いんだなと思いました。

 

セットリスト

リハ:Everyday

1.スカイツリー

2.シンオンサイ2023のために作った新曲

3.ふたりは恋人

4.シンオンサイ2022のために作った新曲

5.いつかどこかで

 

ROTH BART BARON(ロット・バルト・バロン)

 「ロット・バルト・バロン」については、音源は聴いていましたが、ライブは観たことがありませんでした。

 

 そのため、「どんなライブをやるんだろう?」と興味がありました。

 

 ライブが始まると、前半は、割と淡々と演奏している感じでした。

 

 ライブを聴くと、ボーカルのファルセットの美しさと、バンドの演奏の力強さが印象に残りました。

 

 「和製シガーロス」といった雰囲気ですが、シガーロスよりも歌ものといった感じで、歌やメロディを中心に曲を作っている感じがしました。

 

 自分は、「極彩」という曲が好きなのですが、今回のライブでも演奏してくれて、嬉しかったです。

 

 この曲をライブで聴いていると、『君の物語を 絶やすな』、『誰かが作った幸せに 逃げるな』という歌詞が非常に胸に刺さりました。

 

 この曲を聴いていると、「自分の道を行け」と背中を押してくれるような感じがしました。

 

 ライブの後半には、客に手拍子を促したり、客にコーラスをするよう煽ったりもしていました。

 

 音源の印象だと、クールに淡々とライブをやりそうな印象だったので、こういう風に客を煽ったりするのは、意外な感じがしました。

 

 ただ、客を煽ることで、客のテンションもどんどん上がっていき、最後は、非常に盛り上がって終了となりました。

 

 「一見クルールに見えるけど、実は、客を盛り上げるのがうまいな」と感じました。

 

あらかじめ決められた恋人たちへ

 かなり長いバンド名のバンドなので、「あら恋」と略されることが多いバンドです。

 

 「あら恋」は、ライブの凄まじさに定評があります。

 

 自分は、そのライブの凄さにやられて、昔は、結構「あら恋」のライブを観ていました。

 

 ただ、最近は、全然ライブを観ていませんでした。

 

 そのため、「最近のライブは、どんな感じなんだろうか?」と気になっていました。

 

 今回のライブでは、バックに映像を映しながら行っていました。

 

 その映像は、とてもクールで、バンドの雰囲気とも合っていました。

 

 そして、演奏も、非常に素晴らしかったです。

 

 「静かな部分」と「爆発する部分」があり、メリハリが効いていました。

 

 高い演奏技術があるバンドなので、「静かな部分」では、演奏をじっくりと楽しむことができました。

 

 ホールで、細かい音も聴こえやすかったので、ライブハウスで聴く以上に、演奏の細かい部分まで楽しめました。

 

 そして、「爆発する部分」では、「これぞ、あら恋」と言えるような、力強い演奏を聴かせてくれました。

 

 こういった、「エネルギーの塊をぶつけてくるような演奏」は、今も昔も変わらないなと思いました。

 

 50分があっという間で、大満足のライブでした。

 

 ライブを観終わって、改めて、「あら恋は、ホールに向いているバンドだな」と思いました。

 

 映像を使ったりするので、ホールだと、大画面で映像を楽しめます。

 

 また、静かなパートもあるので、ホールだと、細部の演奏もじっくり楽しめます。

 

 そして、「爆発する部分」では、ホールならではの迫力を感じられます。

 

 「あら恋」は、基本的には、ライブハウスで演奏する機会が多いバンドだと思います。

 

 ただ、今回、ホールで演奏すると映えるバンドだと実感したので、また機会があれば、ホールでの演奏を観たくなりました。

 

 

 

前野健太

 前野健太さんの音楽は、ちらっと聴いたことはありましたが、しっかり聴いたことはありませんでした。

 

 ただ、せっかくの機会なので、ライブを観てみることにしました。

 

 会場は、小ホールでした。

 

 今回は、本人のみの、ギターの弾き語りライブでした。

 

 MCでは、「ずっとシンオンサイに出たかった」と言っていました。

 

 そして、「新宿をテーマにした曲が結構ある」と言って、「SHINJUKU AVENUE」という曲を演奏したりしていました。

 

 前野健太さんのライブを聴いていると、なんだか、長渕剛の「西新宿の親父の唄」を思い出してしまいました。

 

 前野さんの歌詞は、細かく日常の風景や情景を描写していますが、そこが、「西新宿の親父の唄」と重なります。

 

 彼の音楽は、フォーク色が強かった頃の長渕剛と似ている感じがします。

 

 前野さんのライブを聴いていると、「新宿の路地裏の風景」が目の前に浮かんでくるような感じがしました。

 

 独特の雰囲気がある良いライブでしたが、ザゼンボーイズを観るため、残念ながら、ライブの途中で、小ホールを出ました。

 

ZAZEN BOYS

 ザゼンボーイズのライブは、昔は結構観ていましたが、最近は、全く観ていませんでした。

 

 そのため、「今のザゼンボーイズのライブはどんな感じなんだろう?」と気になっていました。

 

 女性ベーシストのMIYAさんが加入してからライブを観たことがなかったので、どんなベースを弾いているのかも、興味がありました。

 

 開演時間の少し前に大ホールに着くと、ザゼンボーイズのメンバーがリハをしていました。

 

 リハでは、「Honnoji」をやっていて、リハの時点で凄まじい演奏をしていたので、「これは凄いライブになりそうだぞ」という予感が漂っていました。

 

 サウンドチェックが終わると、向井秀徳さんは、「それではでは、また明日」というギャグを言って、ステージ袖にはけていきました。

 

 開演時間になると、再び、ザゼンボーイズのメンバーがステージに出てきました。

 

 ただ、向井さんは、照明が暗いのが気に食わなかったようで、照明さんに「もっと明るくして」と言っていました。

 

 「『あら恋』がスペースワールドだったので、照明も、それに引きずられておる」と言っていて、笑いました。

 

 そして、「客の方の照明も明るくして。照明を明るくして、カジュアルにいこう」といって、客の照明も明るくした状態で、ライブが始まりました。

 

 この日の向井さんは、「○○年発売のアルバムの△△から、□□という曲を演奏します」といったように、ラジオDJ風に曲紹介をしていました。

 

 これが向井さんのマイブームなのかもしれません。

 

 MCは、相変わらず、とぼけた感じでしたが、演奏が始まると、空気は一変します。

 

 「鋼鉄の演奏」と言いたくなるような、タイトで力強くて、なおかつ正確な演奏が繰り広げられました。

 

 今回のザゼンボーイズのライブでは、照明は、ただ照らしているだけで、特別な演出はありませんでした。

 

 しかし、特別な演出がないにもかかわらず、演奏を聴いているだけで、「これは凄い!」と大興奮してしましました。

 

 ザゼンボーイズの前に大ホールで演奏していた「あら恋」は、「映像や照明」も含めて、トータルで世界観を作っていくバンドです。

 

 そういう意味では、「あら恋とザゼンボーイズは、対照的だな」と思いました。

 

 演奏だけでなく、「トータルの世界観」で勝負している「あら恋」のライブは、完成度が高く、素晴らしいものでした。

 

 しかし、「あら恋」のライブを観た後だと、余計に、「演奏だけで、その場の空気を支配しているザゼンボーイズは凄まじいな」と感じてしまいました。

 

 もちろん、「あら恋」の演奏も素晴らしいので、「あら恋の演奏よりも、ザゼンボーイズの演奏の方が優れている」と言う気は、全くありません。

 

 ただ、演奏だけで客を圧倒している姿を見ると、改めて、「ザゼンボーイズは、とんでもない、化け物みたいなバンドだな」と思いました。

 

 そして、ザゼンボーイズの演奏を聴いていると、自然と、体が動いてしまいました。

 

 ザゼンボーイズを観る前までは、「椅子に座って、ゆったりとライブを観られるのは素晴らしい」と思っていました。

 

 しかし、ザゼンボーイズのライブを聴きながら体が動いてしまうと、座らずに、「立って踊りたいな」という気持ちになってきました。

 

 ザゼンボーイズの時だけは、「椅子に座って観るのではなく、スタンディングで観たいな」と思ってしまいました。

 

 今回のライブでは、「ヒミツガールズ・トップシークレット」「リフマン」「ポテトサラダ」といった人気曲を演奏していました。

 

 それに加えて、「チャイコフスキーでよろしく」という新曲も披露していました。

 

 この曲は、ザゼンボーイズの割にはストレートな曲で、どこかナンバーガールっぽさもある曲だと思いました。

 

 本編が終わると、メンバーは、舞台袖にはけます。

 

 そして、アンコールで再び出てきて、「はあとぶれいく」を演奏して、ライブが終了しました。

 

 とにかく凄まじい演奏で、「圧巻」と言えるライブでした。

 

 ベーシストのMIYAさんが加入してから初めてライブを観ましたが、凄まじいベースを弾いていました。

 

 ただ、ザゼンボーイズは、メンバー1人1人の演奏というより、「4人で一斉に音を出した時のインパクト」が凄まじいバンドだなと思いました。

 

 この迫力は、まさに、バンドならではの醍醐味です。

 

 改めて、ザゼンボーイズの凄さを実感しました。

 

 

 

まとめ

 この日は、5組のライブを観ましたが、どれも素晴らしいライブでした。

 

 そして、この5組の中でも、個人的には、「クチロロ」「あら恋」「ザゼンボーイズ」が特に印象に残りました。

 

 この3組は、音楽性は、全く違います。

 

 しかし、音楽性は全く違っても、3組とも、「心から素晴らしい」と思えるようなライブでした。

 

 こんなに素晴らしいアーティスト達を、ホールで一気に観られるのは、非常に贅沢で、素晴らしい体験だと思いました。

 

 こういった素晴らしいアーティストをブッキングしてくれたブッキング担当の方には、感謝します。

 

 また、このイベントのために、動いてくれたスタッフの方々にも感謝したいです。

 

 こんなに素晴らしいイベントを開いて頂いて、ありがとうございました。

 

 出演アーティストも素晴らしかったですし、会場の居心地も良く、とても快適に過ごせました。

 

 ちなみに、会場の張り紙で知りましたが、このイベントの会場になった新宿文化センターは、今後、改装のため、一旦、閉まるようです。

 

 そのため、来年のシンオンサイは、新宿文化センターで行うことは難しいようです。

 

 この会場で行えないことは残念ですが、素晴らしいイベントなので、会場が変わったとしても、また来年も開催してほしいです。

 

 そして、新宿文化センターの改装が終わった際は、またこの場所に戻って、開催してほしいところです。

 

 本当に素晴らしい音楽フェスだと思うので、このイベントが、できるだけ長く続くことを願っています。

 

 自治体が主催で、ここまで素晴らしい音楽フェスを作りあげられているのは、正直、驚いています。

 

 「素晴らしい音楽を多くの人に伝える」という意味では、非常に意義のあるイベントだと思います。

SHIN-ONSAI 2023(1日目)

 2023年の10月、新宿区が主催する「SHIN-ONSAI(シンオンサイ)」という音楽フェスに行ってきました。

 

 2日間参加しましたが、今回は、10月7日(土)の1日目の模様をレポートします。

 

 

shin-onsai.com

 

出典:SHIN-ONSAI 2023 オフィシャルサイト

 

 

 

 

 

 

 

「SHIN-ONSAI」について

 ライブレポートを行う前に、まずは、「シンオンサイ」について簡単に解説します。

 

 シンオンサイは、新宿区が主催している音楽フェスです。

 

 このフェスが始めて行われたのは、2018年です。

 

 その後、コロナの影響があった2020年はお休みしたようですが、基本的に、毎年、10月に開催されています。

 

 自治体が主催のイベントでありながら、毎回、コアな音楽ファンを唸らせるような、絶妙なラインナップになっています。

 

 このあたりは、「さすが新宿区だな」と感心してしまいます。

 

 ちなみに私は、2018年に行われた初回に参加しています。

 

 その際も、「カネコアヤノ」「ミツメ」「オウガ・ユー・アスホール」などが出演し、コアな音楽ファンが好むようなラインナップとなっていました。

 

 参加してみて、「非常に面白い音楽フェスだな。この先も続いてほしいな」と思いました。

 

会場について

 会場は、新宿文化センターです。

大ホール

 メインのライブは、新宿文化センターの大ホールで行われていました。

 

 ここの大ホールは、クラシックのコンサートが行われるような、非常に立派なホールです。

 

 大ホールで見る場合は、椅子に座って見ます。

 

 この椅子は、かなりしっかりしていて、座り心地の良い椅子になっています。

 

小ホール

 3階には、小ホールがあり、ここでもライブが行われていました。

 

 小ホールには椅子はなく、スタンディングで見る形です。

 

 「広めのライブハウス」といった印象です。

 

 ただ、床が木なので、普通のライブハウスよりは、少しぬくもりがあるような感じがしました。

 

 ずっと座ってライブを観るのも、それはそれで疲れたりするので、こういうスタンディングのステージもあるのは、良いなと思いました。

 

エントランスステージ

 入り口を入ってすぐのところに、「エントランスステージ」も用意されていました。

 

 ただ、「ステージ」といっても、特に高さが高くなってはいません。

 

 「簡易的なステージ」といった感じです。

 

 ここでは、基本的には、「小ホールのパブリックビューイング」が行われていました。

 

 画面とスピーカーが置いてあり、小ホールに行かなくても、小ホールの映像を見ながら、音を聴くことができました。

 

 このスピーカーは、良いスピーカーが使われていて、パブリックビューイングでありながら、かなり臨場感がありました。

 

 また、小ホールで演奏が行われていない時間帯は、サックスのライブも行われていました。

 

 このエリアは、チケットなしでも、観ることができるエリアになっていました。

 

飲食スペース

 2階には、飲食スペースも用意されていました。

 

 飲食スペースには、買ってきたものを持ち込んで、食べることができました。

 

 会場のすぐ近くには、コンビニやスーパーもあったので、そこで買ってきたものを、飲食スペースで食べていました。

 

 この飲食スペースは、広々としていて、なかなか居心地が良かったです。

 

物販エリア

 大ホールのドアの前のスペースには、物販コーナーも設置してありました。

 

 ここでは、出演アーティストのCDやグッズが販売されていました。

 

 また、アーティストによっては、メンバー本人が物販コーナーに立って、販売したりもしていました。

 

チケット代について

 今回のライブのチケット代は、1日券が4000円、2日通し券が7000円でした。

 

 このチケット代は、非常に安いと感じます。

 

 音楽フェスでこのチケット代は、破格です。

 

 おそらく、新宿区が主催ということで、あまり採算のことを考えず、安い価格設定にしているのだと思います。

 

 この姿勢は、素晴らしいと感じます。

 

 「安い価格設定にして、良いアーティストのライブを沢山の人に聴いてもらえる」という点は、自治体が主催している意義を感じます。

 

 

 

 

 

ライブを観たアーティスト

 ここからは、私が観たアーティストのライブについて語っていきます。

 

m/lue.(ミリュー)

 まずは、オープニングアクトとして、大ホールで行われたミリューのライブを観ました。

 

 若手のシンガーソングライターのようです。

 

 穏やかで、心に染み込むような音楽が良かったです。

 

 そして、ホールでのライブだったので、「会場の音がめちゃくちゃ良いな」と感じました。

 

 「この素晴らしい音のホールで、色んなアーティストのライブを聴けるのか」と思うと、非常にワクワクしてきました。

 

蓮沼執太フィル

 蓮沼執太の音楽は、音源では聴いていましたが、ライブを観るのはこれが初めてです。

 

 今回は、「フィル」という大編成なので、ホール会場にはぴったりです。

 

 「起点」「テレポート」といった、ソロでリリースしていた曲も、今回のライブでやっていました。

 

 この辺の曲は元々好きだったので、やってくれて嬉しかったです。

 

 また、音楽性の幅が広く、歌メインの曲だけでなく、インストメインの曲もあったりして、楽しめました。

 

 「フィル」というと、「おとなしめな感じなのかな?」と思っていましたが、実際はツインドラムでビートが効いていて、ギターを歪ませている曲もあり、思ったよりロックな印象を受けました。

 

OGRE YOU ASSHOLE

 オウガ・ユー・アスホールは、個人的に大好きなバンドなので、「ホールでどんな音になるのかな?」と、始まる前からワクワクしていました。

 

 ライブは、反復するビートから始まり、最初はずっとインストでした。

 

 2曲目の「待ち時間」から、ボーカルが入ってきました。

 

 ただ、ボーカルにエフェクトが強めにかかっていて、歌を聴かせるというより、「歌も楽器の一つとして使う」といった印象でした。

 

 曲が変わっても、似たようなビートが反復しているため、頭がボーっとしてきて、トランス状態に入ってきました。

 

 時空が歪むような感じがして、段々と、これが夢なのか現実なのかわからなくなるような感覚を覚えました。

 

 そして、基本的には同じようなビートを続けながらも、「朝」の時はきっちりと盛り上がる部分も作っていて、この構成の巧みさはさすがだなと思いました。

 

 夢と現実との間を漂いながら、あっという間にライブが終わりました。

 

 持ち時間は50分でしたが、体感時間は20分くらいでした。

 

 もしかすると本当に、時空が歪んでいたのかもしれません。

 

 今回は、新曲のEPに入っている曲ばかりを演奏していました。

 

 フェスでも、代表曲をやらずに、最新の曲ばかりで固めるオウガの姿勢は凄いなと感じました。

 

 この、「客に媚びずに、自分たちがやりたい音楽を貫く姿勢」は、とてもかっこいいです。

 

 オウガのライブは沢山見ていますが、最近は、「ミニマルで、トランシーで、サイケデリック」という路線をさらに深化させている感じがします。

 

 オウガは、今現在、日本有数の凄まじいライブをやっているバンドだと思います。

 

 ただ、ライブのクオリティが凄まじく高い割に、国内外の人気がそこまで高くないのは、もったいないと感じてしまします。

 

 そんな感じで、オウガの過小評価具合が気になったりはしますが、この先どこまで進化していくのか、オウガのライブからは目が離せません。

 

セットリスト

1.新曲?

2.待ち時間

3.家の外

4.ただ立っている

5.朝

 

えんぷてい

 「小ホールのライブも少し観よう」と思い、小ホールに移動して、「えんぷてい」のライブを観ました。

 

 「えんぷてい」は、YouTubeでシンオンサイの予習をした時に少し気になっていたので、ライブを観たいと思っていました。

 

 ライブを観ると、ボーカルの人が、曲前や曲間に丁寧に挨拶していたのが印象的でした。

 

 なんだか、性格が良さそうな感じが伝わってきて、好印象でした。

 

 音楽は、「少し切なさのあるロック」という感じです。

 

 曲やメロディも、良い感じです。

 

 「ミツメ」というバンドに少し似ています。

 

 演奏面では、「ドラムが非常にうまいな」と感じました。

 

 所々に細かい刻みを入れ込んできて、聴いていて飽きさせません。

 

 「ロックだけでなく、ジャズを叩かせても、良いドラムを叩けそうだ」と思うようなドラムでした。

 

 そのため、途中からは、ドラムを中心に聴いていました。

 

 そして、ギターの人の髪型は、まるでジミヘンのようなアフロでした。

 

 ファッションも70年代風だったので、「ジミヘンが好きなんだろうな」という感じが伝わってきました。

 

 ギターは、基本的には歪ませずに、クリーンなトーンで演奏していました。

 

 ただ、後半の曲では、かなりギターを歪ませた曲もあり、「こういうギターのトーンも使うんだ」というギャップがありました。

 

 そして、MCで、12月に行うワンマンライブの告知を行っていましたが、「そこで重大発表をします」と言っていました。

 

 その重大発表が何なのか、気になってしまいました。

 

 全体的に、そこまで派手さはないですが、年齢が若そうな割に曲や演奏がしっかりしていて、「良いバンドだな」と思いました。

 

world’s end girlfriend

 ワールズエンド・ガールフレンドは、だいぶ昔に、一度だけ、ライブハウスでライブを観たことがありました。

 

 ただ、今回はホールということで、「ホールだとどんな感じになるんだろう」と気になっていました。

 

 メンバーは、全員、真っ黒の衣装に身を包んでいました。

 

 ライブは、音楽だけでなく、バックに映像も映していました。

 

 ホールなので、映像も大きく、ライブハウスで観るより、だいぶ迫力がありました。

 

 全体的にダークな世界観で、独特の雰囲気があるライブでした。

 

 映像も、どこかダークな雰囲気が漂っていました。

 

 ライブ中、時折、爆音になる部分もありました。

 

 オウガ・ユー・アスホールのライブも爆音でしたが、それとはまた少し違った爆音でした。

 

 オウガの爆音は、どこか音がモヤっとしているような爆音です。

 

 それに対して、ワールズエンドの方は、「突き刺すような鋭い爆音」という感じだったので、耳へのダメージは、ワールズエンドの方が大きい感じがしました。

 

 聴き比べると、「同じ爆音でも、バンドによって結構違いがあるな」というのがわかって、興味深かったです。

 

 MCは全くなかったですが、これはおそらく、「世界観を崩さないようにしよう」と考え、あえて全くMCを行わなかったのだと思います。

 

 このバンドは、世界観がダークなので、正直、好みは分かれる気がします。

 

 ただ、こういったダークな世界観が好きな人には、非常に刺さるバンドだと思います。

 

 

 

児玉真吏奈

 小ホールで、児玉真吏奈さんのライブを観ましたが、完全な初見でした。

 

 予備知識も全くない状態で観ました。

 

 観る前は、「本名っぽいから、ギターの弾き語りなのかな?」と思っていましたが、実際は、全然違いました。

 

 PCから電子音のトラックを流して、その上で、ささやくように歌っていました。

 

 そのトラックも、あまり聴いたことのないトラックで、斬新でした。

 

 野菜をかじるような音をサンプリングした曲もありました。

 

 歌も、声質が良く、聴いていて心地よかったです。

 

 後で、ネットで調べると、児玉真吏奈さんは関西のアンダーグラウンドシーンで活動しているミュージシャンのようですね。

 

 面白い音楽だったので、できればもっと長くライブを聴いていたかったですが、トリのtoeが始まりそうだったので、ライブの途中で小ホールを出ました。

 

toe

 本日のトリは「toe」です。

 

 個人的に好きなバンドですが、最後にライブを観たのは10年以上前だったので、久々のライブです。

 

 久々にライブを観るということに加え、ホールということで、期待感は高まります。

 

 ライブが始まると、「さすが」と言いたくなるような、圧巻の演奏でした。

 

 音もホールのため素晴らしく、ライブハウスで聴くより、高音部分がきれいに聴こえる感じがします。

 

 初期のtoeは、超絶テクのドラムをメインに聴かせる曲が多かったですが、段々と、あえてドラムの手数を抑えたような曲も増えている印象です。

 

 そういった曲の幅の広さも良いなと思いました。

 

 また、静かに聴かせるようなパートもあれば、熱い演奏で盛り上げる場面もあり、メリハリもしっかり効いていて、素晴らしかったです。

 

 そして、演奏中は非常に洗練された音を出していますが、MCになると急にゆるくなるのが面白かったです。

 

 基本的に、ギターの山嵜さんがMCをしていましたが、「酒でも飲んでいるのかな?」というような、ゆるいMCでした。

 

 まるで、おっちゃんが、近所の人と雑談をしているようなMCです。

 

 ただ、楽曲とMCの雰囲気のギャップも、これはこれで面白くて良いなと感じました。

 

 今まで、toeは、ほとんどホールでライブをした経験がないようで、山嵜さんは「みんな座っているとやりにくい」と言っていました。

 

 ただ、聴く側からすると、ホールだとギターの高音もきれいに聴こえるので、「音的に、ホール向きのバンドだな」という印象を受けました。

 

 これを機に、今後も、時々、ホールでもライブをやってほしいところです。

 

 インストバンドならではの「音の素晴らしさ」を堪能できて、本当に素晴らしいライブでした。

 

 

 

まとめ

 シンオンサイの1日目のレポートを行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 1日ずっとライブを観たので、観終わった後は、少し疲れもありました。

 

 ただ、基本的に椅子に座って観ることができたので、スタンディングの音楽フェスに比べると、だいぶ疲れは少ない感じがしました。

 

 そして、疲れよりも、「良いライブを沢山観られた!」という満足感のほうが先に決ました。

 

 色んなジャンルのアーティストのライブを一度に観ることができて、楽しかったです。

 

 初めてライブを観たアーティストもいましたが、「つまらないな」と思ったアーティストは0で、どれも良かったです。

 

 ただ、その中でも、個人的に、「オウガ・ユー・アスホール」と「toe」が特に良かったです。

 

 この二組は、正直、別格だなと感じました。

 

 オウガとtoeは、楽曲がどうこうという以前に「音そのものが素晴らしい」と思えるようなバンドです。

 

 そんなバンドの演奏を、ホールの素晴らしい音響で聴けるのは、贅沢なことだなと感じました。

 

 こういった感じで、大満足の1日目でした。

 

 ちなみに、10月8日(日)の2日目の模様ブログ記事にしましたので、興味のある方は、そちらも読んでみてください。

 

www.bamentekiou.com

ブルーハーツ「1000のバイオリン」の歌詞の考察

 ブルーハーツ「1000のバイオリン」の歌詞の考察を行います。

 

 「1000のバイオリン」は、オリジナルアルバムでは、1993年にリリースされた6枚目のアルバム「STICK OUT」に収録されています。

 

 

 また、ベストアルバムにも収録されています。

 

 

 この曲は、「人生の中で感じる、ワクワクする気持ち」を表現したような歌詞になっています。

 

 そして、「ワクワクする気持ち」を表すのに、とても面白い表現が使われています。

 

 歌詞を見ていると、「マーシーならではの表現だな」と感じる部分が多いです。

 

 そこで、今回は、歌詞の中に、どのような面白い表現が使われているのか、詳しく見ていきます。

 

 この曲の作詞・作曲者は、真島昌利(マーシー)です。

 

 歌詞の全文は、下記のサイトで見られます。

 

www.uta-net.com

 

 

 

 

 

 

 

「1000のバイオリン」の歌詞の考察

ヒマラヤほどの 消しゴムひとつ

 まずは、冒頭の歌詞を見ていきます。

ヒマラヤほどの 消しゴムひとつ

楽しい事を たくさんしたい

ミサイルほどの ペンを片手に

面白い事をたくさんしたい

 

 冒頭から、『ヒマラヤほどの 消しゴムひとつ』という、なかなか凄い歌詞が来ます。

 

 これは、「ヒマラヤ山脈くらい大きい消しゴム」という意味でしょうか。

 

 消しゴムは、本来は、とても小さなものなので、そんな大きな消しゴムは、まずありえません。

 

 これは、おそらく、「普通ではありえないもの」の例えとして使っているのだと思います。

 

 ただ、実際にそんな消しゴムがあったら、「こんなに大きな消しゴムがある。なんだか楽しいな」と思う人もいるでしょう。

 

 「普通ではありえないもの」というのは、実は、見ていてとても楽しいものだったりします。

 

 『ミサイルほどのペン』というのも、「普通ではありえないもの」の例えとして使っているのだと思います。

 

 そして、そんなペンが目の前に現れたら、「面白い」と思う人もいるでしょう。

 

 ここの部分の歌詞を見ると、「普通ではありえないことを沢山して、面白く生きていきたい」という気持ちが伝わってきます。

 

夜の扉を開けて行こう

 続きの歌詞も見ていきます。

夜の扉を開けて行こう

支配者達はイビキをかいてる

何度でも夏の匂いを嗅ごう

危ない橋を渡って来たんだ

 

 『夜の扉を開けて行こう 支配者達はイビキをかいてる』というのは、「権力者が休んでいるような時に、行動していこう」ということでしょうか。

 

 『何度でも夏の匂いを嗅ごう』というのは、なかなか面白い表現です。

 

 夏になると、「夏の匂い」というものがあります。

 

 「夏の匂い」を嗅ぐと、多くの人は、なんとなく、ワクワクしてきます。

 

 そのため、この歌詞は、「何度でも、ワクワクすることをしていこう」という意味だと思いました。

 

 その後、『危ない橋を渡って来たんだ』という歌詞が来ます。

 

 「危ないこと」というのは、怖さもありますが、同時に「ワクワクすること」でもあったりします。

 

 やはり、ある程度リスクを冒さなければ、ワクワクすることには出会えなかったりします。

 

 『危ない橋を渡って来たんだ』という歌詞には、「リスクを冒してでも、ワクワクすることをやってきた」という意味が込められていると思います。

 

台無しにした昨日は帳消しだ

 次の歌詞も見ていきます。

夜の金網をくぐり抜け

今しか見る事が出来ないものや

ハックルベリーに会いに行く

台無しにした昨日は帳消しだ

 

 『夜の金網をくぐり抜け』という歌詞にも、「危険を冒してでも、面白いことをする」という意味が込められていると思います。

 

 『今しか見る事が出来ないもの』という歌詞を見ると、マーシーが「今、この瞬間」を大事にしていることがわかります。

 

 次の歌詞で出てくる『ハックルベリー』というのは、「ハックルベリー・フィン」のことでしょう。

 

 「ハックルベリー・フィン」は、マーク・トウェインが書いた「ハックルベリー・フィンの冒険」に出てくるキャラクターです。

 

 この小説は、ハックルベリー・フィンという子供が様々な冒険をしていく物語になっています。

 

 『ハックルベリーに会いに行く』というのは、「ハックルベリー・フィンのように、面白そうなことを次々とやっていく」という意味でしょう。

 

 そして、『台無しにした昨日は帳消しだ』という歌詞にも、マーシーの「今、この瞬間」を大事にする姿勢が感じられます。

 

 「昨日、嫌なことがあったとしても、過ぎ去ったことはもう忘れて、今、楽しいと思えることをしよう」ということでしょう。

 

1000のバイオリンが響く

 さらに歌詞を見ていきます。

揺篭から墓場まで

馬鹿野郎がついて回る

1000のバイオリンが響く

道なき道をブッ飛ばす

 

 『揺篭(ゆりかご)から墓場まで 馬鹿野郎がついて回る』というのは、「生まれてから、死ぬまで、ずっと馬鹿なことを言う人はいる」という意味でしょうか。

 

 「馬鹿なことを言うやつがいても、自分は、自分のやり方を貫く」ということかもしれません。

 

 次に、『1000のバイオリンが響く』と来ますが、これはどんな意味でしょうか?

 

 おそらく、「気分がどんどん高揚していく様子」を「まるで、1000のバイオリンが響いているようだ」と言っているのだと思います。

 

 『道なき道をブッ飛ばす』というのは、非常に強い言葉ですね。

 

 「道がなかったとしても、自分で道を切り開く」といった強い意志を感じます。

 

そんなことはもうどうでもいいのだ

 続きの歌詞も見ていきます。

誰かに金を貸してた気がする

そんなことはもうどうでもいいのだ

思い出は熱いトタン屋根の上

アイスクリームみたいに溶けてった

 

 『誰かに金を貸してた気がする そんなことはもうどうでもいいのだ』というのは、「過去のことには、もう捉われない」ということでしょう。

 

 また、『思い出は熱いトタン屋根の上 アイスクリームみたいに溶けてった』というのも、同じように、「過去のことには、もう捉われない」という意味だと思います。

 

 この部分の歌詞からも「今を生きる」という強い決意を感じます。

 

 

 

 

 

まとめ

 ブルーハーツ「1000のバイオリン」の歌詞の考察を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 この曲の歌詞は、マーシーの持っている「少年の心」がうまく表現されている歌詞だと思いました。

 

 それが、マーシーならではの詩的な表現で表されています。

 

 そして、歌詞全体に、「今、この瞬間を大事にしよう」というメッセージが込められています。

 

 とても良い歌詞になっているので、「今までこの曲の歌詞をじっくり聴いていなかった」という方は、歌詞の意味を考えつつ、この曲を聴き直してみてください。

 

 そうすると、さらにこの曲が魅力的に感じると思います。

 

 

ブルーハーツ「夜の盗賊団」の歌詞の考察

 ブルーハーツ「夜の盗賊団」の歌詞の考察を行います。

 

 「夜の盗賊団」は、オリジナルアルバムでは、1993年にリリースされた「DUG OUT」に収録されています。

 

 

 ベストアルバムでは、「ALL TIME MEMORIALS Ⅱ」に収録されています。

 

 

 「夜の盗賊団」は、ブルーハーツにしては珍しく、しっとりしたメロウな曲です。

 

 このタイトルを聞くと、誰もが「盗賊団のことを歌った歌だろう」と思うでしょう。

 

 しかし、歌詞をじっくり見ていくと、「単純に盗賊団のことを歌った歌ではないかも」と気づいてきます。

 

 そこで今回は、この歌詞を考察して、歌詞に隠された意味を探っていきます。

 

 この曲の作詞・作曲者は、真島昌利(マーシー)です。

 

 歌詞の全文は、下記のサイトで見られます。

 

www.uta-net.com

 

 

 

 

 

 

「夜の盗賊団」の歌詞の考察

レンタカーで走りながら 流れ星をたくさん見たよ

 まずは、冒頭の歌詞を見ていきます。

プラネタリウムみたいな 満天の星空の下

レンタカーで走りながら 流れ星をたくさん見たよ

 

 最初は、『プラネタリウムみたいな 満天の星空の下』というロマンチックな歌詞が来ます。

 

 次は、『レンタカーで走りながら』という歌詞が続きます。

 

 ここで少し、「あれ?」と思います。

 

 盗賊団がレンタカーを借りて犯行に及んだりしたら、すぐに足がついてしまいそうなので。

 

 ここで、まず、ちょっとした違和感を覚えます。

 

 ただ、この部分の歌詞を見ると、「盗賊団が夜に車を走らせている様子」が頭に浮かびます。

 

5月の風のビールを飲みにいこう

 さらに歌詞を見ていきます。

今夜 多分雨は大丈夫だろう

今夜 5月の風のビールを飲みにいこう

 

 ここでは、『5月の風のビールを飲みにいこう』という印象的なフレーズが出てきます。

 

 このフレーズは、厳密に言うと、文法的には間違っているかもしれません。

 

 普通、日本語では『5月の風のビール』とは言いません。

 

 「5月の風に吹かれながら、ビールを飲みにいこう」と言った方が、文法的には正しいと思います。

 

 ただ、「5月の風に吹かれながら、ビールを飲みにいこう」という歌詞にしてしまうと、字余りになってしまいますし、インパクトも薄くなります。

 

 文法的には間違っているかもしれませんが、『5月の風のビール』という歌詞にした方が、メロディに対して言葉がしっかりと乗ります。

 

 そして、聴いた時に、このフレーズが頭に残ります。

 

 あえて、文法的には間違っている『5月の風のビール』という言葉を選んだマーシーのセンスはさすがだなと思います。

 

 文法的には間違っていたとしても、『5月の風のビール』と聴くと、情景がパッと頭の中に浮かびます。

 

 ビール好きな方は、この歌詞を聴くと、きっと「5月の風のビールを飲みにいきたいな~」と思うはずです。

 

低気圧がでしゃばっている

 続きの歌詞も見ていきましょう。

防砂林の向こう側 花火が闇を照らしだす

カーラジオがしゃべっている 低気圧がでしゃばっている

 

 『花火が闇を照らしだす』という歌詞を見ると、花火がどこかで上がっているようです。

 

 5月に花火というのは、少し早い気がしますが、まあ、ありえなくはないと思います。

 

 『カーラジオがしゃべっている』というのは、「カーラジオから、DJの話し声が聞こえてくる」ということでしょう。

 

 『低気圧がでしゃばっている』というのは、なかなか面白い表現ですね。

 

 この歌詞は、「マーシーならではの表現だな」と思います。

 

 これはきっと、ラジオのDJが、天気予報で、「低気圧が発達してきています」と喋っているという意味でしょう。

 

とりたての免許で 僕等は笑ってる

 さらに歌詞を見ていきます。

とりたての免許で 僕等は笑ってる

夜の盗賊団 たくさん秘密を分け合おう

 

 ここで、『とりたての免許』という歌詞が出てきますが、ここでも、「ちょっとおかしい」と感じます。

 

 車の免許をとりたての人が、レンタカーを借りて、仲間と強盗をしに行ったりするでしょうか?

 

 全く可能性がない訳ではないですが、普通は「そんな盗賊団はいないだろ」と思うはずです。

 

 そういったことを考えると、この曲は、「盗賊団のことを歌っている歌ではない」と解釈することができます。

 

 この曲は、おそらく「20代前半の若者たちが、レンタカーを借りて、夜にドライブをする歌」だと思います。

 

 そう解釈した方が、色々とつじつまが合ってきます。

 

 そして、ここで借りた車は、「トヨタのハイエース」のようなバンではないかと想像します。

 

 この曲の主人公は、仲間と、「バンに乗って大勢で夜にドライブに行くのは、なんだか盗賊団みたいだね」と盛り上がったのではないでしょうか。

 

 マーシーは、「若者たちが、“夜の盗賊団ごっこ”をしている」という意味で、「夜の盗賊団」というタイトルをつけたのだと推測します。

 

 そして、その後には、『たくさん秘密を分け合おう』という歌詞が来ます。

 

 これは、どういった意味でしょうか?

 

 おそらく、「若者たちが、車の中で“普段はなかなか言えないような秘密”を次々と暴露していた」ということでしょう。

 

 本物の盗賊団は、犯行に及ぶ際、「絶対他の人には言うな」と秘密を分け合います。

 

 それと同じように、この曲に出てくる若者たちも、秘密を分け合っていたのでしょう。

 

夜光虫が光ってる 可能性は輝いてる

 続きの歌詞も見ていきます。

夜光虫が光ってる 可能性は輝いてる

誰かが忘れて帰った サンオイルがこぼれている

 

 『夜光虫が光ってる 可能性は輝いてる』という部分も、素晴らしい歌詞だと思います。

 

 おそらく、車を走らせていて、窓の外を見たら、夜光虫が光っていたということでしょう。

 

 そして、「あの夜光虫と同じように、自分たちの可能性も輝いているな」と思ったということだと思います。

 

 この曲の主人公とその仲間は、まだ若いと思われるので、余計に「自分たちの可能性は輝いている」と思ったのかもしれません。

 

 その後の、『誰かが忘れて帰った サンオイルがこぼれている』という歌詞を見ると、「主人公とその仲間は、きっと夜の浜辺に寄って、サンオイルがこぼれているのを見たんだろうな」と推測することができます。

 

 「浜辺」という単語を使わずに「浜辺に寄ったのだろうな」と推測させる歌詞の作り方は、「さすがだな」と感心してしまいます。

 

 何気ない一節ですが、この一節があることで、この曲の中に流れる「情緒」が、さらに引き立っているように感じます。

 

 

 

 

 

まとめ

 ブルーハーツ「夜の盗賊団」の歌詞の考察を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 歌詞をじっくり見ていくと、「実は、盗賊団のことを歌った歌ではない」ということがわかったと思います。

 

 ただ、これは、マーシーが「盗賊団の歌ではない」と語っていた訳ではないので、「絶対に盗賊団の歌ではない」と言い切ることはできません。

 

 強引に解釈すれば、「この曲は盗賊団の歌だ」と考えることも可能です。

 

 しかし、歌詞を一通り見ると、盗賊団の歌ではなく、「若者たちが、夜に車でドライブに行く歌」と解釈するのが自然なのではないかと思います。

 

 タイトルで「盗賊団」と言っておきながら、盗賊団のことを歌っていないというのは、とても面白いですね。

 

 この曲は、「詩人・マーシー」ならではの表現が散りばめられた、素晴らしい歌詞となっています。

 

 歌詞の端々で、「情緒」を感じさせてくれるのは、さすがマーシーだと思います。

 

 この曲の歌詞をじっくり聴いたことがなかった方は、改めて、歌詞の意味を考えながら聴くと、さらにこの曲の魅力が広がると思います。

 

 そして、ビールが好きな方は、5月になったら、この曲を車の中でかけながら、仲間と、『5月の風のビール』を飲みに行くといかもしれません。

 

 

ブルーハーツ「パンク・ロック」の歌詞の考察

 ブルーハーツ「パンク・ロック」の歌詞の考察を行います。

 

 「パンク・ロック」は、オリジナルアルバムでは、1987年リリースされたファーストアルバム「THE BLUE HEARTS」に収録されています。

 

 

 また、ベストアルバムでは、「ALL TIME MEMORIALS Ⅱ」に収録されています。

 

 

 この曲は、ブルーハーツの曲の中では、そこまで有名な曲ではないかもしれません。

 

 スローなテンポの曲で、皆が思い浮かべるブルーハーツのイメージとは少し違った曲です。

 

 ただ、ファンからは根強い人気のある曲です。

 

 甲本ヒロトの「パンク・ロックに対する愛情」を歌った曲となっています。

 

 そして、歌詞は、『やさしいから好きなんだ』という部分がとても印象に残ります。

 

 この歌詞を聴くと、頭の中に「?」が浮かぶ人が多いと思います。

 

 パンク・ロックは、基本的に激しくて攻撃的な音楽です。

 

 そのため、普通は、パンク・ロックを聴いて「やさしい」と思わないからです。

 

 ただ、歌詞をじっくり見ていくと、ヒロトが『やさしいから好きなんだ』と言っている理由が、わかってきたりします。

 

 そこで、ここからは、「パンク・ロック」の歌詞を考察して、歌詞に隠された意味を探っていきます。

 

 この曲の作詞・作曲者は、甲本ヒロトです。

 

 歌詞の全文は、下記のサイトで見られます。

 

www.utamap.com

 

 

 

 

 

 

「パンク・ロック」の歌詞の考察

1番のAメロの歌詞

吐き気がするだろ みんな嫌いだろ

まじめに考えた まじめに考えた

 

 冒頭から、『吐き気がするだろ みんな嫌いだろ』という強烈な歌詞が来ます。

 

 これは、どういった意味でしょうか?

 

 一つ考えられるのは、この部分は、「昔の甲本ヒロト自身」のことを歌っているという解釈です。

 

 ヒロトは、学生時代、周囲と価値観が合わず、周りと馴染めなかったようです。

 

 きっと、そういう時に、『吐き気がする』『みんな嫌い』と思ったことはあるでしょう。

 

 その時の気持ちが、ここに描写されているのかもしれません。

 

 または、『吐き気がするだろ みんな嫌いだろ』という発言は、「パンク・ロックを聴いた人」に対して言っているという解釈もできます。

 

 パンク・ロックは、激しくて、攻撃的な側面もある音楽です。

 

 そのため、パンク・ロックを聴くと、『吐き気がする』『嫌い』と感じる人も多いでしょう。

 

 そういう人に向けて、「どうせ、みんな、パンク・ロックのことを、『吐き気がする』とか『嫌い』とか思っているんでしょ?」と言っている可能性もあります。

 

 ただ、この歌詞だけだと、ヒロト自身が周囲に対して『吐き気がする』『嫌い』と思っているのか、パンク・ロックを聴いた人がそう思っているのか、はっきりわかりません。

 

 この辺は、解釈が分かれる箇所だと思います。

 

 ただ、「ヒロト自身が周囲に対してそう思っていた」と解釈する人が多そうな気もします。

 

 そして、その後には、『まじめに考えた』という歌詞が続きます。

 

 何をまじめに考えたのかについては、サビの部分の歌詞を見ればわかります。

 

1番のサビの歌詞

僕 パンク・ロックが好きだ

中途ハンパな気持ちじゃなくて

本当に心から好きなんだ

僕 パンク・ロックが好きだ

 

 1番のAメロの部分で『まじめに考えた』と言っていたのは、おそらく、「自分は、何が好きなのか、まじめに考えてみた」ということでしょう。

 

 まじめに考えた結果、『パンク・ロックが好きだ』という結論に至ったようです。

 

 『中途ハンパな気持ち』というのは、「ファッションとしてパンク・ロックを聴いている人」のことを指していると思われます。

 

 世の中には、「今、流行っているから」「パンク・ロックを聴いていると、かっこよく思われそうだから」という理由で、パンク・ロックを聴いている人がいます。

 

 いわゆる、「軽い気持ちでパンク・ロックを聴いている人」のことです。

 

 しかし、ヒロトは、「自分は、そういう人とは違う」「軽い気持ちでパンク・ロックを聴いてはいない」と言っています。

 

 『本当に心から好き』だからパンク・ロックを聴くと言っています。

 

 このサビの部分の歌詞を見ると、「パンク・ロックに対する、ヒロトの深い愛情」を感じます。

 

2番のAメロの歌詞

友達ができた 話し合えるやつ

何から話そう 僕のすきなもの

 

 ここでは、『友達ができた』とありますが、この『友達』というのは、「パンク・ロックについて話し合える友達」ということでしょう。

 

 こういった、「好きなものが同じ友達」ができるのは、とても嬉しいことです。

 

 そして、そういう友達と好きなことについて話すと、非常に楽しくなります。

 

 少し大げさではありますが、そういった友達と好きなことについて話す時間というのは、「人生の中でも、特に素晴らしい時間」だと思います。

 

 ただ、マイナーなものが好きだったりすると、「共通の趣味の友達」を見つけるのが難しかったりします。

 

 パンク・ロックも、ヒロトが若い頃は、日本ではきっと「マイナーな音楽」だったのでしょう。

 

 そんな時に、「自分もパンク・ロックが大好き」という人が現れたら、とても嬉かったでしょう。

 

 『何から話そう 僕のすきなもの』というのは、「あのバンドが好き」「あのアルバムが好き」「あの曲が好き」「あの曲のギターが好き」など、色々と話したいことがあって、どれから話すか迷っているということでしょうか。

 

 また、この部分の歌詞は、実際に友達ができたのではなく、「パンク・ロックを擬人化して『友達』と言っている」と解釈することもできます。

 

 大好きなものを見つけた時というのは、まるで、親友を見つけた時のような気持ちになることがあります。

 

 きっとヒロトも、パンク・ロックを初めて聴いた時は、親友を見つけた時のような気分になって、パンク・ロックに対して親近感を覚えたのではないでしょうか。

 

 そして、パンク・ロックを聴いていると、「まるで親友と会話している時のような気分」になったのかもしれません。

 

 まあ、これは少しひねくれた解釈ですが、こういう解釈も、できなくはない歌詞だと思います。

 

2番のサビの歌詞

僕 パンク・ロックが好きだ

中途ハンパな気持ちじゃなくて

ああ やさしいから好きなんだ

僕 パンク・ロックが好きだ

 

 2番のサビで一番印象的な歌詞は、おそらく『やさしいから好きなんだ』という部分でしょう。

 

 これを聴いて、「パンク・ロックのどこがやさしいの?」と疑問に思う人が多いと思います。

 

 この歌詞を書いた意図について、「リスナーを驚かせようとして、あえて、普通とは真逆のことを言っているんだ」と言う人もいます。

 

 確かに、そういう意図で『やさしい』という歌詞にした可能性もあります。

 

 しかし、私としては、この『やさしい』という歌詞は、ヒロトの本音ではないかと思います。

 

 ヒロトが、パンク・ロックを『やさしい』と感じた理由について考えてみます。

 

 前述したように、ヒロトは、学生時代、周りと価値観が合わず、悩んでいました。

 

 周りと価値観が合わないということは、「常に周囲から否定されている」ように感じていたということです。

 

 これは、なかなかしんどい状況です。

 

 この状況だと、ヒロトは、「周りにいる人はやさしくない」と感じていたでしょう。

 

 しかし、パンク・ロックを初めて聴いた時、「自分と同じような奴がやっている音楽だ」と感じたようです。

 

 ヒロトは、自分のことを「はみだし者」と捉えていて、パンク・ロックをやっている人達についても、「自分と同じ、はみ出し者だ」と思ったのでしょう。

 

 そこで、パンク・ロックを演奏している人に対して「仲間意識」が芽生え、「自分の存在が肯定されている」と感じたのではないでしょうか。

 

 ヒロトは、「自分を肯定してくれた」という意味で、パンク・ロックのことを『やさしい』と言っているのだと思います。

 

 そして、ヒロトは、パンク・ロックに出会ったことで、自らも音楽活動を行うようになりました。

 

 音楽活動を行う中で、「価値観が合うバンド仲間」にも出会うことができました。

 

 もし、ヒロトがパンク・ロックと出会っていなければ、そういう仲間とも出会えなかったかもしれません。

 

 ヒロトにとって、パンク・ロックは、自分を肯定してくれて、さらに、自分と似た価値観の人と出会うきっかけをくれた存在と言えます。

 

 そのため、パンク・ロックに対して『やさしい』という感情を抱くようになったのではないでしょうか。

 

 

 

 

まとめ

 ブルーハーツ「パンク・ロック」の歌詞の考察を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 この歌詞を見ていると、パンク・ロックに対する、ヒロトの熱い気持ちが伝わってきます。

 

 パンク・ロックに対する「愛情と感謝」が伝わってくる歌詞です。

 

 そして、この曲は、「パンク・ロック」というタイトルですが、そのタイトルなのに、曲のテンポはゆったりしているところが面白いと感じます。

 

 普通、パンク・ロックというと、「速いテンポの曲」を思い浮かべる人が多いと思います。

 

 この曲は、皆が思う「パンク・ロック」のイメージとは、だいぶ違うテンポ感になっています。

 

 なぜ、あえて遅いテンポにしたのでしょうか?

 

 一つ考えられるのは、「パンク・ロックというタイトルなのに、遅いテンポだったら面白いんじゃないか」と考えて、このテンポにしたのではないかということです。

 

 実際、「パンク・ロックというタイトルなのにテンポが遅い」という点が面白い曲に仕上がっているので、その可能性もあるかもしれません。

 

 ただ、自分としては、そういう意図ではなく、「歌詞をじっくり聴かせるため」に、ゆったりしたテンポにしたのではないかと推測します。

 

 この曲の歌詞は、「パンク・ロックが好きだ」と語りかける内容となっています。

 

 もし、この曲が速いテンポだったらと想像すると、「パンク・ロックが好きだ」という歌詞の重みが、少し薄れてしまう感じがします。

 

 そのため、歌詞に重みを持たせようとして、あえて遅いテンポにしたのではないでしょうか。

 

 実際、このゆったりしたテンポで聴くと、「パンク・ロックが好きだ」という気持ちが、ずっしりと伝わってきます。

 

 もし、歌詞に重みを持たせるためにあえて遅いテンポにしたとしたら、このテンポにしたのは正解だなと思いました。

 

 まあ、このテンポにした意図は、ブルーハーツのメンバーでなければわかりませんが、自分としては、なんとなくそんな気がしています。

 

 パンク・ロックにカテゴライズされる音楽は、パッと聴いた印象は「激しい音楽」です。

 

 しかし、「はみだし者を肯定してくれる」という意味で、はみだし者にとっては、とてもやさしい音楽と言うこともできます。

 

 この曲を聴くと、改めて、「パンク・ロックは、ただ激しくて攻撃的なだけの音楽ではないな」と思わされます。

 

 もし、この曲の歌詞の意味をあまり考えずに聴いていた人がいたら、この記事の内容を頭に入れつつ、聴き直してみてください。

 

 そうすると、今までとは少し違った聴こえ方になるのではないかと思います。

 

 

ブルーハーツ「人にやさしく」の歌詞の考察

 ブルーハーツ「人にやさしく」の歌詞の考察を行います。

 

 「人にやさしく」は、1987年にリリースされたシングルです。

 

 ブルーハーツがまだメジャーデビューする前に、インディーズレーベルから発売されました。

 

 アルバムだと、ベストアルバムに収録されています。

 

 

 

 

 この曲は、CMやドラマなど、様々なところで使われているので、一度は聴いたことがあるという人が多いでしょう。

 

 ブルーハーツの中でも特に有名な曲で、「ブルーハーツの代表曲」と言えるような曲です。

 

 この曲は、「ガンバレ!」というフレーズが非常に耳に残る曲です。

 

 そのため、「前向きな応援ソング」と捉えている人も多いと思います。

 

 しかし、歌詞をじっくり見ていくと、「前向きな応援ソング」という単純な言葉では片づけられない、深い意味が隠されています。

 

 そこで今回は、「人にやさしく」の歌詞を考察して、この歌詞に隠された意味を探っていきます。

 

 この曲の作詞・作曲者は、甲本ヒロトです。

 

 歌詞の全文は、下記のサイトで見られます。

 

www.uta-net.com

 

 

 

 

 

 

「人にやさしく」の歌詞の考察

1番の冒頭の歌詞

 まずは、1番の冒頭の歌詞を見ていきます。

気が狂いそう やさしい歌が好きで

ああ あなたにも聞かせたい

 

 いきなり、『気が狂いそう』という強烈な歌詞が来ます。

 

 この歌詞を見ると、「この曲の主人公は、精神的にまいっているのかな?」と思わされます。

 

 『やさしい歌が好き』というのは、精神的にきつい状況だからこそ、やさしい歌が聴きたいのかもしれません。

 

 その後、『あなたにも聞かせたい』という歌詞が来ますが、この『あなた』というのは、誰のことでしょうか?

 

 この歌を聴いている人に向けて『あなた』と言っているような気もしますが、はっきりわかりません。

 

 ただ、歌詞を最後までじっくり見ると、『あなた』が誰を指しているのか、なんとなくわかってきます。

 

このまま僕は 汗をかいて生きよう

 次の歌詞も見ていきましょう。

このまま僕は 汗をかいて生きよう

ああ いつまでも このままさ

 

 『このまま僕は 汗をかいて生きよう』というのは、「この先も、必死で生きる」ということでしょう。

 

 『いつまでも このままさ』というのは、「今後、成功してお金が入ってきて、生活が豊かになったとしても、変わらないよ」ということではないでしょうか。

 

マイクロフォンの中から ガンバレって言っている

 1番のサビの歌詞を見ていきます。

僕はいつでも 歌を歌う時は

マイクロフォンの中から ガンバレって言っている

聞こえてほしい あなたにも

ガンバレ!

 

 『歌を歌う時』という歌詞が出てくるので、この曲の主人公は、「歌手」のようです。

 

 ということは、この曲の主人公は、架空の人ではなく、「甲本ヒロト自身」である可能性が高いと思います。

 

 そう考えると、この曲の歌詞は、「ヒロト自身の気持ち」が反映されているのではないでしょうか。

 

 そういった想定で、ここからの歌詞をじっくり見ていきましょう。

 

 『僕はいつでも 歌を歌う時は マイクロフォンの中から ガンバレって言っている』という歌詞を見ると、ヒロトには、「リスナーを励ましたい」という気持ちがあるようです。

 

 『聞こえてほしい あなたにも』というのは、リスナーに対して、「歌詞に込めた応援する気持ちに気づいてほしい」ということでしょう。

 

2番の冒頭の歌詞

 2番の冒頭の歌詞を見ていきます。

人は誰でも くじけそうになるもの

ああ 僕だって 今だって

 

 人は、誰でも、うまくいかないとくじけそうになるものです。

 

 そういう人に向けて、ヒロトは、「僕だって同じだよ」と言っています。

 

叫ばなければ やり切れない思いを

 続きの歌詞を見ていきます。

叫ばなければ やり切れない思いを

ああ 大切に 捨てないで

 

 ここでは、「やり切れない思いがあるのなら、叫ぼう」と言っています。

 

 そして、その『やり切れない思い』を『大切に 捨てないで』と言っています。

 

 これは、なかなかユニークな歌詞です。

 

 普通、歌詞では、「やり切れない思いは、捨ててしまえ」と歌うパターンが多いと思います。

 

 しかし、ここでは、それとは真逆で、『大切に 捨てないで』と言っています。

 

 これは、どういう意味なのでしょうか?

 

 おそらく、「やり切れない思いがあると、それをバネにして頑張れることもあるから、その思いを大切にしよう」という意味ではないかと思います。

 

2番のサビの歌詞

 2番のサビの歌詞を見ていきます。

人にやさしく してもらえないんだね

僕が言ってやる でっかい声で言ってやる

ガンバレって 言ってやる 聞こえるかい

ガンバレ!

 

 『人にやさしく してもらえないんだね』という歌詞を見ると、「普段、人にやさしくしてもらえていない人に向けて言っている」ということがわかります。

 

 そういう人に対して、でっかい声で『ガンバレ!』と言ってあげるようです。

 

 ただ、これは、直接言うという訳ではなく、「歌を通して、ガンバレと言ってやる」という意味でしょう。

 

3番の冒頭の歌詞

 3番の冒頭の歌詞を見ていきます。

やさしさだけじゃ 人は愛せないから

ああ なぐさめてあげられない

 

 この歌詞では、「やさしさだけでは、人を愛するには不十分だ」と言っています。

 

 やはり、人を愛するには、優しさだけでなく、「強さ」や「厳しさ」も必要ということでしょう。

 

 「中途半端なやさしさ」というのは、時に人を傷つけることがあります。

 

 傷ついている人に対して、やさしい言葉をかけても、相手が「これは上辺の言葉だな」と相手が気づく時があります。

 

 そうなると、相手の心は余計に傷つきます。

 

 ヒロトは、そういったことがわかっているので、「中途半端になぐさめられない」という意味で、『なぐさめてあげられない』と言っているのでしょう。

 

3番のサビの歌詞

 3番のサビの歌詞を見ていきます。

期待はずれの 言葉を言う時に

心の中では ガンバレって言っている

聞こえてほしい あなたにも

ガンバレ!

 

 『期待はずれの言葉』というのは、どういった言葉でしょうか?

 

 これはおそらく、相手が「なぐさめの言葉を言ってほしいな」と思っている時に、あえてなぐさめの言葉は言わないということでしょう。

 

 ヒロトは、安易ななぐさめの言葉が、人を傷つけることを知っているからです。

 

 そのかわり、声には出さずとも、心の中で応援しているようです。

 

 『聞こえてほしい』というのは、おそらく、「心の中で応援していることに気づいてほしい」という意味だと思います。

 

 

 

 

まとめ

 ブルーハーツ「人にやさしく」の歌詞の考察を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 この曲は、歌詞をよく見てみると、実は、「万人を励ましている曲」ではないことに気づきます。

 

 「はみだし者」を励ましている曲なのです。

 

 この曲の主人公は、おそらく甲本ヒロト自身だと推測しました。

 

 そう考えると、1番の冒頭の『気が狂いそう』というのは、ヒロト自身のことだとわかります。

 

 ヒロトは、学生時代、周りと価値観が合わなくて悩んでいたそうです。

 

 そんな中で、『気が狂いそう』になった経験があるのだと思います。

 

 そういったことをふまえると、この曲は、「気が狂いそうな人が、誰からも優しくされない人に対して『ガンバレ!』と言っている歌」と言うことができます。

 

 つまり、「ガンバレ!」と言っている方も、言われている方も、「両方、同じはみだし者」なのです。

 

 「気が狂いそうになっている人」というのは、おそらく、社会に適応できないからこそ、そうなっているのだと思います。

 

 学校や会社といった社会に出て、周囲に価値観の合う人ばかりであれば、まず『気が狂いそう』になることはないでしょう。

 

 逆に、価値観が合わない人ばかりが周囲にいると、「自分はおかしいのか?」と思い、『気が狂いそう』になったりします。

 

 そして、周囲と価値観が合わず、社会にうまく適応できず、気が狂いそうになっている人は、「はみだし者」とみなされます。

 

 そして、「誰からもやさしくされない人」というのも、「はみだし者」と言えます。

 

 社会に上手に適応できている人は、大抵、多くの人と繋がりを持っています。

 

 そして、落ち込むようなことが起こっても、周囲になぐさめてくれる人が沢山いるので、すぐに気分を回復させることができます。

 

 「多くの人と繋がりを持っている人」というのは、有利な面が多いため、自然と社会的に強い立場になります。

 

 そして、そういう人には、さらに人が寄ってきて、社会的立場がどんどん強くなっていったりします。

 

 しかし、人付き合いが苦手な「誰からもやさしくされない人」の場合は、何か落ち込むことがあった時に、周囲になぐさめてくれる人はいません。

 

 そうなると、さらに気分は落ち込みます。

 

 そして、なかなか気分が上がらないと、周囲から「あの人は、いつも暗い」「陰気で嫌だね」と言われ、余計に人が離れていくという悪循環に陥ります。

 

 そうなると、さらに社会的な立場が弱くなってしまいます。

 

 これは非常にしんどい状況です。

 

 ヒロト自身、「自分は、はみ出し者である」という意識があるのだと思います。

 

 だからこそ、同じはみ出し者である「誰からもやさしくされない人」の辛さがよくわかるのでしょう。

 

 その辛さがよくわかるからこそ、『ガンバレ!』と応援しているのだと思います。

 

 また、この曲の主人公は、「直接相手を励ましている訳ではない」というのも大きなポイントです。

 

 歌詞をよく見てみると、主人公は、「誰からもやさしくされない人」に対して、直接励ましていません。

 

 「歌を歌う」「心の中で励ます」という、間接的な形を取っています。

 

 これは、なぜなのでしょうか?

 

 おそらく、直接励ますと、励ましではなく、「同情」という形になりやすいからだと思います。

 

 「同情」になることを避けるために、間接的に励ましているのでしょう。

 

 「やさしくする」という行為は、時に、「強い者が弱い者に同情する」という形で行われる場合があります。

 

 そういうやさしさは、「弱い者」にとっては、屈辱です。

 

 同情されると、「相手から見下されている」ということがわかるからです。

 

 そして、直接的に励ますと、励ます側にその気がなくても、相手からは「見下された」と思われることもよくあります。

 

 直接励ますと、そう思われてしまうリスクが高まります。

 

 しかし、「間接的に励ます」ようにすると、そう思われるリスクを減らせます。

 

 「歌に励まされた」経験がある人は多いと思いますが、そういう人は、あまり「歌手から見下された」とは思わないはずです。

 

 歌は間接的なものなので、「見下された」という気持ちにはなりにくいのでしょう。

 

 また、「言葉では励ましていないけれど、励ますような態度を見せてくれた」という場合も、間接的な励ましなので、「見下された」という気持ちにはなりづらかったりします。

 

 ヒロトは、そういったことを直感的に理解しているのだと思います。

 

 だからこそ、この歌の中で、直接励まさずに、「間接的に励ます」という形を取っているのだと思います。

 

 この曲は、歌詞の言葉の端々に、弱者に対する細かな気遣いがあるので、「社会にうまく適応できなくて傷ついている人の心」に響くのでしょう。

 

 弱者を励ましていますが、嘘くささがない点が素晴らしいと思います。

 

 この曲の1番の冒頭は、『気が狂いそう』で始まります。

 

 その後に、『やさしい歌が好きで』と続きます。

 

 この『やさしい歌』というのは、おそらくパンクロックのことだと思います。

 

 こう言うと、「なんでパンクロックがやさしいの?」と疑問を持つ人が多いと思います。

 

 大抵の人は、「パンクロックは、攻撃的で、やさしくない音楽だ」と考えているからです。

 

 しかし、ヒロトは、そうは考えていないはずです。

 

 彼は、パンクロックを初めて聴いた時、「自分と同じような奴らがやっている音楽だ」と思ったそうです。

 

 パンクロックというのは、基本的に「社会からはみだしている人」がやる音楽です。

 

 そのため、「自分は、はみだし者だ」という意識があるヒロトは、パンクロックを聴いて「こいつらきっと、自分と同じようなはみだし者なんだろうな」と思ったのでしょう。

 

 そして、「仲間がいた」と思って、「自分を肯定してくれる感じ」を得たのだと思います。

 

 それを「やさしい」と感じたのでしょう。

 

 そして、その後に続く『あなたにも聞かせたい』という歌詞の『あなた』というのは、全てのリスナーに向けて言っているのではないと思います。

 

 おそらく、『誰からもやさしくしてもらえない人』に向けて言っています。

 

 そういう人に対して、「パンクロックという、はみだし者がやっているやさしい音楽があるよ」と言いたいのでしょう。

 

 ブルーハーツの「人にやさしく」も、速いパンクナンバーなので、曲調自体は、決してやさしい雰囲気ではありません。

 

 しかし、歌詞の端々や、ヒロトの歌い方から、どこか「やさしさ」を感じてしまう曲になっています。

 

 特に、「自分は、はみ出し者である」という自覚がある方ほど、余計に「やさしい」と感じるかもしれません。

 

 色々と歌詞の考察を行ってきましたが、この記事を読んで「そういう見方もあったか」と思った方は、ぜひ、「人にやさしく」を聴き直してみてください。

 

 そうすると、さらにこの曲の素晴らしさがわかるのではないかと思います。

 

 

 

ブルーハーツ「夢」の歌詞の考察

 ブルーハーツ「夢」の歌詞の考察を行います。

 

 「夢」は、1992年にリリースされた、ブルーハーツ13枚目のシングルです。

 

 オリジナルアルバムでは、1993年にリリースされた6枚目のアルバム「STICK OUT」に収録されています。

 

 

 また、ベストアルバムにも収録されています。

 

 

 「夢」は、勢いのあるパンクナンバーです。

 

 ドラマやCMで使われたりしていたので、どこかで聞いたことがあるという人も多いでしょう。

 

 この曲の歌詞は、タイトル通り、「夢を追いかけること」がテーマになっています。

 

 そう言うと、「前向きソングかな」と思いがちですが、歌詞をよく見てみると、単純に「前向きソング」という言葉だけでは片づけられない深い意味も込められています。

 

 そこで、今回は、この曲の歌詞を考察して、歌詞に込められた意味を探っていきます。

 

 この曲の作詞・作曲者は、甲本ヒロトです。

 

 歌詞の全文は、下記のサイトで見られます。

 

www.uta-net.com

 

 

 

 

 

 

「夢」の歌詞の考察

あれも欲しい これも欲しい

 1番の冒頭は、こんな歌詞から始まります。

あれも欲しい これも欲しい

もっと欲しい もっともっと欲しい

 

 これを見ると、この曲の主人公の「色んなものが欲しい」という気持ちが伝わってきます。

 

 色んなものを欲しがっているところを見ると、なんとなく、「主人公は、若い人なのかな?」と推測できます。

 

俺には夢がある ドキドキするような

 続きの歌詞も見ていきます。

俺には夢がある 両手じゃ抱えきれない

俺には夢がある ドキドキするような

 

 この歌詞を見ると、「主人公は、夢を持っている」ということがわかります。

 

暗い夜に一人でも 夢見心地でいるよ

 次の歌詞も見ていきましょう。

家から遠く離れても なんとかやっていける

暗い夜に一人でも 夢見心地でいるよ

 

 『家から遠く離れても なんとかやっていける』という歌詞を見ると、この主人公は、おそらく実家を出て一人暮らしをしているのだと思います。

 

 なんとなく、お金もあまりなさそうです。

 

 夜に一人ぼっちになることもあるようですが、それでも、夢があることで、『夢見心地』になれているようです。

 

本物の夢を見るんだ

 さらに歌詞を見ていきます。

建前でも本音でも 本気でも嘘っぱちでも

限られた時間の中で 借り物の時間の中で

本物の夢を見るんだ 本物の夢を見るんだ

 

 『建前でも本音でも 本気でも嘘っぱちでも』というのは、「他人に夢のことを語る時」のことについて言っているのだと思います。

 

 他人に夢を語る時は、「誰に語るか」によって、話し方が変わったりします。

 

 「この人に本気の夢を語ったらバカにされるな」と思う人には、建前の夢だったり、嘘っぱちな夢を語ったりするでしょう。

 

 逆に、「ちゃんと聞いてくれそうだ」と思った人には、本音で夢を語ったり、本気で夢を語ったりします。

 

 この歌詞では、そういったことを言いたいのだと思います。

 

 そして、『限られた時間の中で 借り物の時間の中で』という歌詞を見ると、「この主人公は、ただがむしゃらに夢を追いかけているだけではない」ということがわかります。

 

 主人公は、「時間は有限である」ということをしっかり理解しつつ、夢を追いかけています。

 

 自分の持っている時間は、実は『借り物の時間』だという意識もあるようです。

 

 この辺はどこか「悟った人」というような感じがしますね。

 

 主人公は、そういった冷静な視点も持ちつつ、本気で夢を追いかけているようです。

 

 そして、『本物の夢を見るんだ』という歌詞が2回繰り返されるところを見ると、主人公の「偽物ではない、本物の夢を見るんだ」という強い意志を感じます。

 

あれもしたい これもしたい

 2番の冒頭の歌詞を見ていきます。

あれもしたい これもしたい

もっとしたい もっともっとしたい

 

 この歌詞を見ると、主人公の「色んなことがしたい」という気持ちが伝わってきます。

 

俺には夢がある 時々ビビってる

 続きの歌詞も見ていきます。

俺には夢がある 毎晩育ててる

俺には夢がある 時々ビビってる

 

 『毎晩育ててる』というのは、「毎晩、夢をかなえるためのスキルを磨いている」ということでしょう。

 

 また、「夢がかなった時のこと」を毎晩想像して、気持ちをたかぶらせているという意味も含まれているかもしれません。

 

 『時々ビビってる』というのは、「失敗したらどうしよう」と心配しているということでしょう。

 

 夢を追うことには、どうしてもリスクが伴います。

 

 「安定した生活を捨てて、夢を追いかける」というパターンが多いからです。

 

 しかし、現実は残酷な面もあるので、安定した生活を捨てたからといって、必ず夢がかなうとは限りません。

 

 そうなると、「せっかく安定した生活を捨てて夢を追っているのに、かなわなかったらどうしよう」と心配するのも無理はありません。

 

 ただ、この歌詞では『時々』と言っているので、常に心配になっている訳ではないと思われます。

 

 主人公は、基本的には前向きに夢を追いかけつつも、時々、つい弱気になってしまうこともあるようです。

 

 ただこれは、夢を追う人にとっては、よくあるパターンなので、「わかる」と共感できる人が多いのではないでしょうか。

 

夢がかなうその日まで 夢見心地でいるよ

 さらに歌詞を見ていきましょう。

なんだかんだ言われたって いい気になってるんだ

夢がかなうその日まで 夢見心地でいるよ

 

 『なんだかんだ言われたって』というのは、「周囲の人が色々と言ってくる」という意味でしょう。

 

 「夢を持っている」と周りの人に言うと、ネガティブなことを言ってくる人も結構います。

 

 例えば、「お前の能力では、そんなことができる訳がない」「いつまで夢を追っているんだ」「夢ばかり見てないで現実を見ろ」といったことです。

 

 ただ、この主人公は、周囲から『なんだかんだ』言われたとしても、『いい気になってる』と言っています。

 

 つまり、「気にしていない」ということです。

 

 こういったところから、主人公の「周りの意見に惑わされず、自分を信じる強さ」を感じます。

 

 また、その後に続く『夢がかなうその日まで 夢見心地でいるよ』というのも印象的な歌詞です。

 

 何か夢を持った場合、「~歳までに夢をかなえられなかったら諦める」という人も沢山います。

 

 確かに、それも一つのやり方なので、否定はしません。

 

 ただ、この主人公は『本物の夢』を持っています。

 

 そのため「~歳まで」という風に妥協はできないようです。

 

 「夢をかなえるまで、ずっとやり続ける」というスタンスでしょう。

 

 『夢がかなうその日まで 夢見心地でいるよ』という歌詞には、「なかなか夢がかなわなかったとしても、夢がかなうまで、ずっと夢を追いかけ続ける」という強い決意が込められている感じがします。

 

 また、この歌詞は、「夢がかなっていないのに、夢見心地になっている」という点がとても面白いと感じます。

 

 普通は、「夢がかなった後」に、夢見心地になると思うでしょう。

 

 しかし、この主人公は、「夢がかなう前」に夢見心地になっています。

 

 これは、どういう意味でしょうか?

 

 きっとこれは、「夢を持つこと自体の素晴らしさ」のことを言っているのだと思います。

 

 夢というのは「かなえられなければ、持っていても無駄か」というと、そんなことはありません。

 

 夢を持つと、「夢に向かうエネルギー」が出てきます。

 

 さらに、「夢がかなった時のことを想像する楽しさ」もあります。

 

 そういう意味では、夢というのは、かなうかかなわないかに関わらず、「持つだけで十分メリットがある」と言えます。

 

 夢を持つだけで、生活に張りができて、活き活きしますから。

 

 この歌詞をじっくり聴くと、「夢を持つことの大切さ」に気づかされます。

 

 

 

 

まとめ

 ブルーハーツ「夢」の歌詞の考察を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 この曲の歌詞は、基本的にはとてもシンプルです。

 

 ただ、細かく見ていくと、シンプルな中にも、深いメッセージが込められていることがわかります。

 

 この曲の主人公は、おそらく若者なので、夢を追っている若い人は共感するでしょう。

 

 また、この曲の歌詞は、若い人だけでなく、大人になってから夢を追いかけている人にも響く内容となっています。

 

 この曲の中では、「時間は有限である」ということも歌われています。

 

 これが、夢を追っている大人にとても響くのです。

 

 「夢」というのは、なにも、若い人だけが持つものではありません。

 

 ある程度年齢を重ねてから、「こうなりたい」というイメージが固まって、「夢」を持つようになるパターンも沢山あります。

 

 ただ、そうなると、若い頃と違って「時間」がとても気になってきます。

 

 人生の残り時間がそれほど多くないとなると、無駄なことは省いて、一直線に夢に向かっていく必要があるからです。

 

 そうしないと、生きている間に夢に辿り着くことが難しくなります。

 

 「人生経験になるから無駄なことも必要だ」という人もいますが、それは若い人に限った話です。

 

 ある程度年齢を重ねた大人で、夢を追っている場合は、無駄なことしている時間はありません。

 

 そのため、大人で夢を追っている人は、若い人よりも「時間の大切さ」を意識している人が多いです。

 

 この歌詞では、しっかりと「時間の大切さ」にも言及しているので、大人が聴いても、「そうだよな」と共感できます。

 

 そういう意味では、この曲は、「年齢を問わず、夢を持っている人に響く歌詞」になっています。

 

 そして、「せっかく本当の夢を持ったのなら、途中であきらめず、自分を信じて夢を追い続けたい」と思わせてくれるような歌詞になっています。

 

 さらに、「夢を持つこと自体の素晴らしさ」についても気づかせてくれる歌詞となっています。

 

 夢を持っていると、『暗い夜に一人』でも、耐えることができて、『夢見心地』になれたりします。

 

 また、『夢がかなうその日』まで、『夢見心地』でいることもできます。

 

 この歌詞をじっくり聴いていると、「何か夢を持つことは、それ自体で素晴らしいな」と改めて思わされました。

 

 今現在、何か夢を持っている方は、歌詞を意識して、ブルーハーツの「夢」を聴き直してみてはいかがでしょうか。

 

 そうすると、きっと勇気づけられて、夢に向かうエネルギーがさらに出てくると思います。

 

 何か夢を持っている方には、ぜひ聴いてもらいたい曲です。

 

 そして、今現在、夢を持っていないという方は、この曲を聴いて、「自分なりの夢」を捜していくと良いのではないでしょうか。

 

 

ブルーハーツ「僕の右手」の歌詞の考察

 ブルーハーツ「僕の右手」の歌詞の考察を行います。

 

 「僕の右手」は、1988年にリリースされたサードアルバム「TRAIN-TRAIN」に収録されている曲です。

 

 

 また、ベストアルバムにも収録されています。

 

 

 曲調は、ストレートなパンクナンバーで、ファンからも根強い人気の曲です。

 

 また、歌詞は、『僕の右手を知りませんか?』というフレーズがとても印象に残ります。

 

 歌詞を聴くと、多くの人が「何で右手なの?」という疑問を持つと思います。

 

 この曲は、ハードコアパンクバンド「GHOUL(グール)」のボーカリストだったMASAMI(マサミ)氏をモチーフにした曲だと言われています。

 

 マサミ氏は、子供の頃のダイナマイトの事故により、右手首から先を失ってしまいました。

 

 そんなハンデもありながらも、パンクバンドのボーカリストになります。

 

 そして、ボーカリストとしては、カリスマ性があったようです。

 

 しかし、1990年に、ステージで倒れます。

 

 昏睡状態のまま肺炎を併発し、1992年に、34歳の若さで亡くなりました。

 

 ちなみに、「リルサウンド」のサイトで、マサミ氏について詳しく書いてある記事があるので、興味のある方は、読んでみてください。

 

realsound.jp

 

 

 「僕の右手」は、1988年にリリースされたので、マサミ氏を追悼して書かれた曲という訳ではありません。

 

 おそらく、甲本ヒロトは、「ボーカリストとしてのマサミ氏」に魅力を感じていたのではないでしょうか。

 

 右手首から先が無い状態で、迫力のある歌を歌うマサミ氏に感銘を受けて、この曲を書いたのではないかと思います。

 

 歌詞を見ると、「マサミ氏のことを歌っているんだろうな」と思わせるような部分が沢山あります。

 

 しかし、この曲は「マサミ氏のことだけを歌っている曲」という訳ではないと思います。

 

 マサミ氏に向けたメッセージも入っていますが、マサミ氏以外の人が聴いても、グッとくるフレーズが沢山入っています。

 

 そのため、今回は、この曲の歌詞を考察して、自分なりの解釈を加えていきます。

 

 特に、「右手」という歌詞にどんな意味が込められているのかを探っていきます。

 

 この曲の作詞・作曲者は、甲本ヒロトです。

 

 歌詞の全文は、下記のサイトで見られます。

 

www.uta-net.com

 

 

 

 

 

「僕の右手」の歌詞の考察

僕の右手を知りませんか?

 冒頭は、こんな歌詞から始まります。

僕の右手を知りませんか? 行方不明になりました

指名手配のモンタージュ 街中に配るよ

 

 マサミ氏をモチーフにした曲なので、主人公は「右手の無い人」のようです。

 

 右手がないので、『僕の右手を知りませんか?』と探しているようです。

 

 ただ、この『右手』という歌詞は、単に右手のことだけを言っているのではなく、裏に違う意味も込められていそうです。

 

 『指名手配のモンタージュ 街中に配るよ』というのは、面白い歌詞ですね。

 

 「右手のモンタージュ写真」を配ることは、普通はありえないですが、これは、ヒロトなりのユーモアだと思います。

 

夢に飢えた野良犬 今夜吠えている

 続きの歌詞も見ていきます。

今すぐ捜しに行かないと

さあ 早く見つけないと

夢に飢えた野良犬 今夜吠えている

 

 この部分では、『夢に飢えた野良犬』という歌詞が気になります。

 

 これは、どういう意味なのでしょうか?

 

 自分としては、「貴重なものを自分のものにしようと狙っている奴がいる」という意味だと解釈しました。

 

1番のサビの歌詞

 1番のサビの歌詞を見ていきます。

見た事もないような ギターの弾き方で

聞いた事もないような 歌い方をしたい

だから 僕の右手を知りませんか?

 

 この曲の主人公は「バンドマン」という設定でしょう。

 

 バンドマンにとって、「右手がない」ということは、大きなハンデです。

 

 右手がないと、普通はギターも弾けませんし、マイクも左手でしか握れません。

 

 そのため、「右手がないと、良いパフォーマンスができない」と思い、右手を探しているのでしょう。

 

瞳の奥に眠りかけた くじけない心

 2番の歌詞も見ていきます。

人間はみんな弱いけど

夢は必ずかなうんだ

瞳の奥に眠りかけた くじけない心

 

 この部分は、なかなかグッとくる歌詞になっています。

 

 『人間はみんな弱いけど』という歌詞からは、「人間はみんな、どこか弱い部分を持っている」というメッセージが伝わってきます。

 

 そして、『夢は必ずかなうんだ』と言っていますが、これは、心の底から「絶対にかなう」と思っている訳ではないでしょう。

 

 「夢は、かなわないかもしれないれど、必ず叶うと信じよう」と自分に言い聞かせているのだと思います。

 

 『瞳の奥に眠りかけた くじけない心』というのは、「色々とうまくいかなくて、くじけそうになったけど、心の底に眠っていた、くじけない心を思い出した」という意味でしょう。

 

今日も 明日も あさっても 何かを捜すでしょう

 さらに歌詞を見ていきます。

いまにも目からこぼれそうな 涙の理由(わけ)が言えません

今日も 明日も あさっても 何かを捜すでしょう

 

 『今にも目からこぼれそうな 涙の理由(わけ)が言えません』というのは、「何でここまで悲しくなるんだろう」と、理由がはっきりわからず戸惑っているということでしょうか。

 

 そして、少しひっかかるのは、『何かを捜すでしょう』という歌詞です。

 

 これを見ると、「あれ、右手を捜していたのではなかったの?」と思ってしまいます。

 

 この歌詞から、「主人公は、単に右手だけを捜していたのではない」ということがわかります。

 

 では、一体何を捜していたのでしょうか?

 

 最後まで歌詞を見ると、なんとなくわかってきます。

 

2番のサビの歌詞

 2番のサビの歌詞も見ていきましょう。

見た事もないような マイクロフォンの握り方で

聞いた事もないような 歌い方するよ

だから 僕の右手を知りませんか?

 

 主人公は、結局、『右手』を捜したけれど、見つけることができなかったようです。

 

 ただ、この歌詞を見ると、「右手は見つからなかったけれど、それでもなんとかしよう」という主人公の意志を感じます。

 

 2番のサビの歌詞は、1番のサビの歌詞と似ていますが、少し違います。

 

 そのちょっとした違いに、「主人公の心の変化」を感じます。

 

 1番のサビの歌詞では、「ギターを弾きたい」という内容が入っていました。

 

 しかし、2番のサビには、ギターに関することは歌われていません。

 

 これはおそらく、主人公は、右手が見つからなかったことで、ギターを弾くことは諦めたようです。

 

 ただ、音楽活動自体を諦めたのかというと、そうではありません。

 

 『見た事もないような マイクロフォンの握り方で』という歌詞を見ると、右手がなくとも、マイクを握っているようです。

 

 そして、1番のサビの歌詞では、『聞いた事もないような 歌い方したい』となっていましたが、ここでは、『歌い方するよ』となっています。

 

 そのため、1番のサビの歌詞の時点では歌っていませんでしたが、2番のサビの時点では、「もう既に、歌を歌っている」ことがわかります。

 

 きっと、「右手がなくても歌を歌うんだ」という風にふっきれたのでしょう。

 

 ただ、最後に『僕の右手を知りませんか?』とあるので、まだ少し、右手に対して未練が残っているのかもしれません。

 

 ただ、少し未練が残っていたとしても、「それでもやるんだ」という主人公の気合を感じます。

 

『右手』の意味について

 歌詞を一通り見てきましたが、ここで、改めて『右手』の意味について考えてみましょう。

 

 歌詞をじっくり見ていくと、この『右手』という歌詞には、別の意味も込められているように思います。

 

 右利きの人にとって、「右手」というのは、非常に重要なものです。

 

 何をするにも、大抵、右手を使うので。

 

 自分としては、この『右手』という言葉には、「その人にとって、非常に大事なもの」という意味も込められていると推測します。

 

 この歌は、「単に右手を失った人の歌」というより、「自分にとって非常に大事なものを失った人の歌」と言うことができるでしょう。

 

 この歌では、「大事なものを失くして、戸惑い、その後、失くしたことを受け入れる過程」が描かれています。

 

 そして、失くしたことを受け入れつつも、「失くしたものに対する未練」も残ってしまう部分もリアルです。

 

 こういったことをふまえると、この歌詞は、「右手がある人」にとっても、響く内容となっています。

 

 右手があったとしても、「大事なものを失くした経験」がある人ならば、「わかる」と共感できる内容なのではないでしょうか。

 

 そして、主人公の「失くしたことを受け入れる姿」に、勇気づけられる人も多いのではないでしょうか。

 

 聴き終わると、「大事なものを失くしたとしても、なんとか立ち上がろう」という気分になるような曲です。

 

 

 

 

 

まとめ

 ブルーハーツ「僕の右手」の歌詞の考察を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 『僕の右手を知りませんか?』という歌詞をパッと聴くと、つい、「歌詞にあんまり意味はないのかな?」と思ってしまったりします。

 

 しかし、歌詞をよく見てみると、非常に深い意味が隠されていることがわかります。

 

 「意味がないように見えて、実は深い意味がある」というのは、ヒロトらしいなと感じます。

 

 この曲の歌詞について、あまり深く考えて聴いていなかった方は、この記事の内容をふまえつつ、改めてこの曲を聴き直してみてください。

 

 歌詞の意味を考えながら聴くと、少し違った聴こえ方になると思います。

 

 

ブルーハーツ「情熱の薔薇」の歌詞の考察

 ブルーハーツ「情熱の薔薇」の歌詞の考察を行います。

 

 「情熱の薔薇」は、1990年にリリースされた、ブルーハーツ9枚目のシングルです。

 

 オリジナルアルバムでは、1990年にリリースされた「BUST WASTE HIP」に収録されています。

 

 

 また、ベストアルバムにも収録されています。

 

 

 この曲は、CMなど、色んなところで使われてきた曲なので、一度は聴いたことがある人が多いと思います。

 

 曲調は、ブルーハーツらしい、ストレートなパンクナンバーとなっています。

 

 ただ、歌詞に関しては、抽象的で意味深な表現が多く、「どういう意味だろう?」と思ってしまったりもします。

 

 そこで、ここからは、この曲の歌詞を考察して、歌詞に隠された意味を探っていきます。

 

 この曲の作詞・作曲者は、甲本ヒロトです。

 

 歌詞の全文は、下記のサイトで見られます。

 

www.uta-net.com

 

 

 

 

 

「情熱の薔薇」の歌詞の考察

永遠なのか本当か

 まずは、冒頭の歌詞を見ていきます。

永遠なのか 本当か

時の流れは続くのか

いつまで経っても変わらない

そんな物 あるだろうか

 

 冒頭の歌詞では、「永遠なんてあるのか?」と言っています。

 

 これは、「このダイヤモンドは永遠の輝きですよ」と売りつけてくる宝石商のような人に対して、「本当に永遠なんかあるの?」と疑問を投げかけているのではないでしょうか。

 

 甲本ヒロト自身は、「永遠なんて存在しない」と考えていることが、この歌詞からうかがえます。

 

 ダイヤモンドというのは、確かに、この先も、ずっとなくなりはしないかもしれません。

 

 ただ、全く手入れをしないと、光が鈍ってきたりします。

 

 それを考えると、宝石商が「このダイヤモンドは、永遠の輝きですよ」というのは、誇張した表現だということがわかります。

 

 また、『いつまで経っても変わらない そんな物 あるだろうか』という歌詞で、ヒロトは、「いつまで経っても変わらないものなんてあるのか?」と疑問を投げかけています。

 

 人は、つい「安定してずっと変わらないもの」を求めてしまったりしますが、きっとヒロトは、「いつまで経っても変わらないものなんかない」とも言いたいのだと思います。

 

でたらめだったら面白い

 さらに歌詞を見ていきます。

見てきた物や聞いた事

今まで覚えた全部

でたらめだったら面白い

そんな気持ち分かるでしょう

 

 この部分は、なかなか面白い歌詞ですね。

 

 普通は、『見てきた物や聞いた事 今まで覚えた全部』がでたらめだったとしたら、「自分は一体、今まで何をしていたんだ」と絶望してしまうでしょう。

 

 しかし、ヒロトは、逆にそれを「面白い」と言っています。

 

 こういうところは、「さすがヒロトだな」と思います。

 

 この歌詞には「常識を疑え」というヒロトからのメッセージが込められている気がします。

 

 ヒロトは、この歌詞を通じて、「みんな、常識に従って生きているけれど、もしかしたら、常識というのはでたらめかもしれないよ。だから、常識だからって、鵜呑みにしちゃダメだ」ということを言いたいのかもしれません。

 

心のずっと奥の方

 次の歌詞も見ていきましょう。

答えはきっと奥の方

心のずっと奥の方

涙はそこからやって来る

心のずっと奥の方

 

 この部分では、『心のずっと奥の方』という歌詞が印象的です。

 

 『心のずっと奥の方』とは、何を指しているのでしょうか?

 

 これはきっと、「本心」のことだと思います。

 

 自分の本心に語りかけて、本心の声を聞けば、おのずと答えはわかるということでしょう。

 

 また、「涙」も、心から悲しいと思った時に出てくるということを言いたいのでしょう。

 

なるべくいっぱい集めよう

 さらに歌詞を見ていきます。

なるべく小さな幸せと

なるべく小さな不幸せ

なるべくいっぱい集めよう

そんな気持ち分かるでしょう

 

 この部分も、非常に面白い歌詞です。

 

 もし、この部分が、「なるべく小さな幸せを なるべくいっぱい集めよう」だったら、「わかる」という人が多いでしょう。

 

 しかし、ここでは、『なるべく小さな不幸せ』も『なるべくいっぱい集めよう』と言っています。

 

 こういう部分が「さすがヒロトだな」と思ってしまったりします。

 

 普通は、小さな不幸せであっても、不幸せならば、無い方が良いと思うはずです。

 

 しかし、ここで『なるべく小さな不幸せ』を『なるべくいっぱい集めよう』と言っているのは、なぜなのでしょうか?

 

 自分としては、この部分の歌詞は、「日常のささやかなことを大切にしよう」という意味だと解釈しました。

 

 日常には、「ささやかな幸せ」が溢れていますが、みんな「大きな幸せ」にばかり目がいって、「ささやかな幸せ」を見過ごしがちです。

 

 しかし、「ささやかな幸せ」を見過ごさず、一つ一つ味わえば、「大きな幸せ」がなくとも、満足感を得られます。

 

 そして、日常には「ささやかな不幸せ」も溢れていますが、「ささやかな不幸せ」も、考え方によっては、それほど悪いものではありません。

 

 「ささやかな不幸せ」を経験することで、「今後は気をつけよう」と心がけたりするからです。

 

 例えば、料理をしていて、「煮込みすぎて失敗してしまった」ということがあったとしましょう。

 

 これは、「小さな不幸せ」と言えます。

 

 ただ、一度こういう失敗をすると、「きちんとタイマーをかけよう」とか「煮込んでいる途中で硬さを確認しよう」など、色々と学べたりします。

 

 失敗から学ぶことは、悪いことではありません。

 

 それを考えると、この歌詞では、「小さな失敗から、実は色々と学べるんだよ」と言いたいのではないでしょうか。

 

 私としては、この部分の歌詞には、「日常のささやかな部分を大切にして生きよう」というヒロトからのメッセージが込められているような気がします。

 

情熱の真っ赤な薔薇を 胸に咲かせよう

 最後のサビの歌詞も見ていきます。

情熱の真っ赤な薔薇を 胸に咲かせよう

花瓶に水をあげましょう

心のずっと奥の方

 

 『情熱の真っ赤な薔薇を 胸に咲かせよう』とは、どういう意味なのでしょうか?

 

 これは、「燃えるような情熱を心の中に持とう」という意味だと思います。

 

 「燃えるような情熱」のことを『真っ赤な薔薇』と例えているのでしょう。

 

 次の『花瓶に水をあげましょう』というのは、「情熱がさらに燃え上がるようなことをしよう」と言っているのだと思います。

 

 ヒロトの中には、「ロックが好き」という情熱があります。

 

 そして、バンドを組んだり、曲を作ったりすることで、「ロックが好き」という情熱は、さらに燃え上がります。

 

 この例だと、バンドを組んだり、曲を作ったりすることが「花瓶に水をあげる」ということになります。

 

 そのため、この歌詞では、「心に何か情熱があったら、その情熱をさらに燃え上がらせることをしよう」と言っているのでしょう。

 

 そして、その情熱は『心のずっと奥の方』にあると言っています。

 

 心の奥の方にあると、自分がどんな情熱を持っているのか、なかなかわからなかったりします。

 

 しかし、自分に正直になって、心の奥の本心を探れば、きっと情熱を燃やせるものが見つけられるのではないでしょうか。

 

 この歌詞を見ていて、そんなことを思いました。

 

 

 

 

まとめ

 ブルーハーツ「情熱の薔薇」の歌詞の考察をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 この曲は、ブルーハーツ中期の作品です。

 

 そのため、初期の作品と比べると、歌詞のストレートさは薄れているかもしれません。

 

 ただ、それでも、歌詞をよくよく見ると、甲本ヒロトらしいまっすぐなメッセージを読み取れます。

 

 「情熱の薔薇」は、「ヒロトのピュアな心」がうまく反映されている歌詞だと感じます。

 

 この曲の歌詞について、あまり深く考えずに聴いていた方は、この記事の内容を頭に入れつつ、曲を聴き直してみてください。

 

 そして、歌詞の深さに気づくと、この曲がさらに魅力的に感じるのではないでしょうか。