しょうの雑記ブログ

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スピッツ「フェイクファー」の歌詞の考察

 スピッツ「フェイクファー」の歌詞の考察を行います。

 

 「フェイクファー」は、1998年にリリースされたアルバム「フェイクファー」に収録されている曲です。

 

 アルバムの最後に収録されていて、アルバムのタイトルトラックになっています。

 

 

 「フェイクファー」は、どこか切ないメロディの曲です。

 

 また、歌詞を見てみると、非常に意味深な歌詞となっています。

 

 そのため、今回は、「フェイクファー」の歌詞を考察して、歌詞に隠された意味を紐解いていきます。

 

 そして、一通り歌詞の考察した後、なぜこの曲が「フェイクファー」というタイトルになったのかについても、考えていきます。

 

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「フェイクファー」の歌詞の考察

柔らかな心を持った はじめて君と出会った

 まずは、冒頭の歌詞を見ていきましょう。

柔らかな心を持った はじめて君と出会った

少しだけで変わると思っていた 

夢のような 唇をすり抜ける くすぐったい言葉の

たとえ全てがウソであっても それでいいと

 

 この曲は、『柔らかな心を持った はじめて君と出会った』という歌詞から始まります。

 

 『君』は、この曲の主人公の恋人でしょうか?

 

 そして、『君』は、『柔らかな心』を持っていると言っています。

 

 おそらく、優しい心の持ち主なのでしょう。

 

 主人公は、『君』の優しい心に惹かれているのかもしれません。

 

 最初の歌詞を見ると、「おそらく、この曲はラブソングだろうな」と推測できます。

 

 ただ、歌詞を読み進めるうちに、「普通のラブソングと違う」ということが段々わかってきます。

 

 次に、『少しだけで変わると思っていた』とありますが、今の時点では、何が変わるのかわかりません。

 

 しかし、一通り歌詞を見ていくと、その意味がなんとなくわかってきます。

 

 その後、『夢のような 唇をすり抜ける くすぐったい言葉』とありますが、これはどういう言葉でしょうか?

 

 きっと、恋人動作がかわす、「大好き」とか「愛してる」といった、甘く、くすぐったい言葉のことでしょう。

 

 その後には、『たとえ全てがウソであっても それでいいと』と続きます。

 

 この歌詞を見ると、「あれ?」となります。

 

 これだと、「大好き」といった甘い言葉がウソでもいいということになります。

 

 普通は、恋人から「大好きだよ」と言われて、それがウソだったら、この上なく落ち込むでしょう。

 

 しかし、主人公は、「ウソだとしても、それでいい」と割り切っています。

 

 この部分の歌詞を見ると、「主人公と『君』は、普通の恋人関係ではないのでは?」と思えてきます。

 

君の名前探し求めていた

 さらに、歌詞を見ていきます。

憧れだけ引きずって でたらめに道歩いた

君の名前探し求めていた たどり着いて

 

 『憧れ』というのは、『君』に対する憧れでしょうか?

 

 ただ、その後の『引きずって』という言葉が気になります。

 

 『引きずって』という言葉は、どちらかというとネガティブな意味合いの言葉です。

 

 これだと、「君に対して憧れを持つこと」が、良くないことのように思えます。

 

 次に続く、『でたらめに道歩いた』というのも、結構ネガティブな表現です。

 

 でたらめに道を歩く時は、大抵、「もうどうでもいいや」という気分の時です。

 

 主人公は、そんな気持ちだったのでしょうか?

 

 その後の『君の名前探し求めていた』という歌詞も意味深で、謎が残る部分です。

 

「君を探し求めていた」ではなく、『君の名前探し求めていた』となっています。

 

「名前を探す」ということは、主人公は、『君』の名前を知らないのでしょうか?

 

 ただ、普通の恋人の場合、相手の名前を知らないことは、まずありません。

 

 しかし、この歌詞を見ると、「主人公は、もしかして、『君』の名前を知らないのでは?」と思えてきます。

 

 どんな事情で名前を知らないのか、この時点ではわかりませんが、この歌詞からも、「普通の恋人関係ではない雰囲気」が強く漂ってきます。

 

 そして、次に『たどり着いて』とあるので、主人公は『君の名前』を知ることができたということでしょうか?

 

 もしくは、『君の名前』を知ることができなかったけれど、「君と会うことができた」という意味かもしれません。

 

分かち合う物は 何もないけど

 続きの歌詞も見ていきます。

分かち合う物は 何も無いけど

恋のよろこびに あふれてる

 

 ここでは、『分かち合う物は 何も無いけど 恋のよろこびに あふれてる』という歌詞が出てきます。

 

 これを見て、頭の中に「?」が浮かびます。

 

 「相手と何かを分かち合う」ことは、恋愛の大きな魅力の一つです。

 

 相手と「楽しみ」を分かち合うと、一人で楽しむより、さらに楽しさが大きくなります。

 

 また、「悲しみ」を分かち合うと、一人で体験するより、悲しい気分を小さくできます。

 

 そして、同棲や結婚をして、「生活を分かち合う」と、さらに絆が深くなります。

 

 しかし、ここでは、『分かち合う物は 何も無い』と言っています。

 

 この歌詞を見ると、「この二人は、恋人関係ではない」ということが、なんとなくわかります。

 

 ただ、その後に、『恋のよろこびに あふれてる』と続きます。

 

 ここでも、頭の中に「?」が浮かびます。

 

 「恋人関係ではないのに、恋のよろこびにあふれてるって、どういうこと?」と混乱してきます。

 

 ただ、この後の歌詞を見ていくと、二人がどんな関係なのか、段々とわかってきます。

 

偽りの海に 体委ねて

 さらに歌詞を見ていきましょう。

偽りの海に 体委ねて

恋のよろこびに あふれてる

 

 『偽りの海に 体委ねて』という歌詞は、かなり意味深ですね。

 

 ここは、どういう意味なのでしょうか?

 

 『偽り』という言葉からは、何か「いけないことをしている」というニュアンスが漂います。

 

 そして、『体委ねて』というのは、「君と体の関係を持っている」といことだと思います。

 

 この歌詞を見ると、「恋人関係ではないけれど、体の関係を持っている」ということがわかります。

 

 これを見ると、「二人は、体だけの関係なのかな?」と思ってしまいます。

 

 ただ、その後に、『恋のよろこびに あふれてる』という歌詞が続きます。

 

 これを見ると、主人公は、「体だけの関係」と割り切っているのではなく、『君』を好きだという気持ちも持っているようです。

 

 なぜなら、体だけの関係の相手に対して、『恋』という言葉は使わない気がするので。

 

未来と別の世界

 曲の終盤部分の歌詞を見ていきます。

今から箱の外へ 未来と別の世界

見つけた そんな気がした

 

 

 この部分の歌詞も、かなり意味深ですね。

 

 ここまで歌詞を見てきて、「一体、主人公と『君』は、どんな関係なのか?」と気になっている人も多いかと思います。

 

 これについては、様々な解釈があるでしょう。

 

 ただ、自分としては、主人公と『君』は「不倫関係にある」と解釈しました。

 

 主人公は、『君』と体の関係を持っています。

 

 しかし、体の関係を持ちながらも、『分かち合うものは 何も無い』とも言っています。

 

 これは、普通の恋人の関係ではありません。

 

 二人は、「普段の生活は、全く別なので、生活を分かち合うことはない。ただ、時々体の関係を持っている」ようです。

 

 このようなことをふまえると、「二人は不倫関係にある」と解釈するのが、一番しっくりくるのではないでしょうか。

 

 そして、この曲の終盤部分の歌詞も、「不倫をにおわせる歌詞」となっています。

 

 『今から箱の外へ』という歌詞がありますが、『箱』とは、いったい何を意味しているのでしょうか?

 

 これはおそらく、「不倫をする時に過ごす密室」のことだと思います。

 

 不倫の関係だと、他者に知られないように会う必要があります。

 

 外で二人が一緒にいるところを誰かに見られると、まずいことになります。

 

 そのため、こっそりと密室で会うことになります。

 

 この歌詞では、その密室を『箱』と表現しているのだと思います。

 

 この後、『箱の外へ』と言っているので、主人公には、「密室だけで会うのではなく、外でも君と一緒に過ごしたい」という気持ちがあることがわかります。

 

 主人王は、「君が旦那と別れて、僕と結婚してくれたら、外で堂々と会える」と考えているのだと思います。

 

 次に、『未来』という歌詞が来ますが、『未来』というのは、「このまま君と不倫関係を続ける未来」のことでしょう。

 

 そして、『未来と別の世界』というのは、「君が旦那と別れて、僕と結婚してくれる世界」のことだと思います。

 

 主人公は、そんな世界を『見つけた』と言っています。

 

 ということは、「君が旦那と別れて、自分を選んでくれる」ことに確証を得たのでしょうか?

 

 しかし、その後の歌詞を見ると、「そんなことはない」とわかります。

 

 この歌詞の後は、『そんな気がした』と続きます。

 

 『気がした』という歌詞を見ると、主人公の「自身のなさ」がうかがえます。

 

 主人公はおそらく、「君が今の生活を捨てて、旦那と別れるという選択をすること」は、かなり厳しいと感じているはずです。

 

 しかしそれでも、主人公は、「君の優しい心が好きだ」という気持ちは捨てきれないようです。

 

 そのため、つい、「君が旦那と別れて、自分を選んでくれた後の世界」を想像してしまうのでしょう。

 

 「無理だとわかっているけれど、奇跡的に、その夢が叶ってくれないかな」という主人公の切ない気持ちが、『未来と別の世界 見つけた そんな気がした』という歌詞に込められているように思えます。

 

「フェイクファー」というタイトルについて

 歌詞を一通り見てきましたが、ここからは、「なぜこの曲がフェイクファーというタイトルになったのか」について考えてみましょう。

 

 そもそも、「フェイクファー」は、「化学繊維を用いて、本物の毛皮に似せて作ったもの」のことです。

 

 フェイクファーは、毛皮と似ていますが、毛皮ではありません。

 

 そういう意味では、「偽物の毛皮」と言うこともできます。

 

 そして、フェイクファーは、触ると温かさを感じますが、「リアルファー(本物の毛皮)」と比べると、どうしても温かさが劣ります。

 

 そして、その温かさも、リアルファーと比べると、どこか「人工的な温かさ」になっています。

 

 リアルファーの方は、触ると「自然な温かさ」を感じますが、フェイクファーの方は、「温かいんだけど、人工的で、どこか不自然だよね」と感じたりします。

 

 草野さんは、「リアルファーとフェイクファーの温かさの違い」に着目して、この曲に「フェイクファー」というタイトルをつけたのではないかと思います。

 

 おそらく、「好きな人と結婚して、結婚相手と触れ合うこと」を「リアルファー」と考えたのでしょう。

 

 結婚相手と抱き合うと、「相手の体の温かさ」を感じます。

 

 そして、相手が「自分のことを好きでいてくれる」とわかっているので、「自然な温かさ」を感じることができます。

 

 不倫相手と抱き合う場合も、抱き合えば、当然「相手の体の温かさ」を感じます。

 

 しかし、相手が「自分のことを好きでいてくれる」かどうか、わかりません。

 

 好きではないのに、性欲を満たすためだったり、刺激を求めるために、抱き合っている可能性もあります。

 

 そうなると、「相手の温かさを感じるけど、どこか不自然な感じがする」と思ってしまうでしょう。

 

 やはり、「相手の気持ちが偽物である場合」や「相手の気持ちが偽物の可能性がある場合」というのは、どうしても「本物の温かさ」は感じられないものです。

 

 そういった「不倫で感じる偽物の温かさ」を表すのに適した言葉を考えた時、「フェイクファーが良い」と思いついて、このタイトルをつけたのではないかと思います。

 

 この歌詞をじっくり見てみると、「フェイクファー」というタイトルは、「絶妙だな」と感じます。

 

 「不倫で感じる偽物の温かさ」を一言で表すのに、これほど適した言葉は他にないのではないでしょうか。

 

 この歌詞に対して、「フェイクファー」というタイトルをつけられる草野さんのセンスに脱帽です。

 

 

 

 

 

まとめ

 スピッツ「フェイクファー」の歌詞の考察を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 改めてじっくり見てみると、「非常に深い歌詞だ」と感じた人が多いと思います。

 

 どこか文学的な香りも漂う歌詞ですね。

 

 この歌詞は、様々な解釈が可能ですが、前述のように、私は、「この二人は不倫関係にある」と解釈しました。

 

 そして、この曲を「不倫関係にある二人の歌」と解釈すると、よく意味がわからなかった部分の歌詞の意味も見えてきたりします。

 

 前にも述べたように、冒頭で『柔らかな心を持った』という歌詞が出てきます。

 

 これは、「君の外見や体だけでなく、優しい心の部分に惹かれて、好きになった」ということだと思います。

 

 ただ、その後、『少しだけで変わると思っていた』と続きます。

 

 これは、「君を好きだという気持ちも、“所詮は不倫関係だから”と割り切れば、少し経てば変わって、なくなると思っていた」という意味ではないかと思います。

 

 ただ、この歌詞は、「過去形」で書かれているという点に注目してみてください。

 

 「過去形になっている」点が、非常に重要です。

 

 過去形で書かれているということは、「変わると思っていたけれど、結局変わらなかった」という意味が暗に含まれています。

 

 そのため、主人公は、不倫関係だと割り切ろうとしても、「君の優しい心が好きだ」という部分は、結局、捨てきれなかったのだと思います。

 

 そして、冒頭部分には、『夢のような 唇をすり抜ける くすぐったい言葉の たとえ全てがウソであっても それでいいと』という歌詞も出てきました。

 

 これも、「二人は不倫関係にある」と解釈すると、その意味がわかってきます。

 

 『君』は、主人公と夜を共にする時に、「大好き」「愛してる」といった甘い言葉を言っていたのでしょう。

 

 しかし、主人公は、その言葉を「本心ではないだろうな」とわかっていたはずです。

 

 ただ、それでも、「その言葉がウソだったとしても、君と触れ合えることが嬉しい」と思って、不倫関係を続けていたのでしょう。

 

 そして、『君の名前探し求めていた』という部分も、謎が残る歌詞でした。

 

 しかし、「不倫関係にいる二人の歌である」と解釈すると、その謎も解けてきます。

 

 不倫をしている女性で、不倫相手に自分の素性をわからせないようにするため、「本名を隠す人」は結構います。

 

 そのため、『君』も、もしかすると、主人公に「本名を明かしていなかった」可能性があります。

 

 不倫をしている人だと、「苗字は隠して、下の名前だけ教える」というパターンもあります。

 

 主人公は、もしかすると「君の下の名前しか知らない」のかもしれません。

 

 そして、その下の名前を教えてもらったとしても、主人公は、「本当の名前なのか?」と疑ってしまうはずです。

 

 そういう状態であれば、『君の名前探し求めていた』という歌詞も納得ができます。

 

 『君の名前探し求めていた』という歌詞は、主人公が「君の本当の名前が知りたい」と言っているという意味ではないでしょうか。

 

 また、『分かち合う物は 何も無いけど 恋のよろこびに あふれてる』という歌詞も、「不倫の歌」と解釈すると、謎が解けてきます。

 

 不倫関係の二人であれば、生活を分かち合ってはいません。

 

 そうなると、当然、日頃から、楽しさや悲しさも分かち合ってはいません。

 

 しかし、たまに合って体を重ねていると、相手のぬくもりを感じ、その瞬間だけは「恋のよろこび」を感じられたのでしょう。

 

 この部分の歌詞は、そういった意味だと思います。

 

 という感じで、ここまで、「不倫の歌である」という前提で、色々と歌詞の解釈を進めてきました。

 

 「不倫の歌」と解釈すると、歌詞に納得できる部分が多かったのではないでしょうか。

 

 ただ、もちろん、この歌が「不倫の歌」だと確定している訳ではありません。

 

 あくまで、私の解釈です。

 

 草野さん自身、明確に「不倫をしている二人」をイメージしてこの歌詞を書いたとは限れません。

 

 しかし、歌詞を見ていると、ラブソングであるものの、「不穏な空気」がそこかしこに漂っていることは事実です。

 

 そういったことを考えると、仮に不倫を想定して書かれた曲でなかったとしても、「禁断の恋」について歌っている曲であることは確かでしょう。

 

 もし、この曲の歌詞をじっくり聴いたことがなくて、「普通の恋人同士のラブソング」と思って聴いていた方がいたら、この記事の内容を頭に入れつつ、曲を聴き直してみてください。

 

 そうすると、曲のイメージがガラッと変わって、面白いと思います。