2023年の8月6日から、夏の甲子園大会(全国高等学校野球選手権大会)が始まりました。
甲子園大会は非常に人気なので、毎年、夏になると、楽しみにしている人が多いと思います。
ただ、私は、最近、甲子園大会の試合を全く見ていません。
また、今後も、見る予定はありません。
そう言うと、「野球が嫌いなの?」と思う人もいるでしょうが、野球観戦自体は、かなり好きな方です。
私は、プロ野球観戦が趣味で、千葉ロッテマリーンズのファンです。
そのため、ロッテの試合は、頻繁に観ています。
ただ、高校野球に関しては、全く観る気が起きません。
昔は、高校野球を観戦して、楽しんでいた時期もありました。
しかし、今は、観たいとは思いません。
高校球児が、全力で試合に臨んでいる姿自体は、素晴らしいと思います。
ただ、「甲子園大会(高校野球)」を取り巻く状況が、非常に歪んでいるように感じるため、どうしても観る気が起きないのです。
そこで、ここからは、私が甲子園大会を観る気がしない理由について、詳しく語っていきます。
甲子園大会を見る気がしない理由
真夏の昼間に、屋外球場で試合をしている
夏の甲子園大会は、毎年、8月の上旬から開催されます。
8月の上旬というと、季節は真夏です。
そして、年々、温暖化により気温が上がって、猛暑になっています。
2023年現在では、気温が35℃を超える日も珍しくなくなっています。
しかし、それにも関わらず、甲子園は、昼間に試合をやっています。
いくら球児が鍛えているとはいえ、猛暑の昼間に、屋外球場で野球をすると、熱中症で倒れても不思議ではありません。
また、観客席には、応援団や、一般の観客もいます。
猛暑の中、試合を観ていると、観客が熱中症で倒れるリスクも高くなると思います。
どうしても真夏に試合をしたいのであれば「ドーム球場で行う」という方法もあるはずです。
しかし、今のところ、会場がドーム球場になりそうな気配はありません。
また、どうしても甲子園球場でやりたいのであれば、「朝、夕、夜に試合をして、昼間は行わない」ということもできるはずです。
しかし、今のところ、そうなる気配もありません。
ニュースで、「今日は猛暑なので、日中は、なるべく外出しないようにしましょう」と言っているのに、甲子園で試合が行われているのは不思議です。
「猛暑が予想されるにも関わらず、昼間に試合を組んでいる」という時点で、「配慮に欠けているな」と思い、だいぶ試合を観る気が薄れます。
高野連の考え方が保守的すぎる
甲子園大会は、高野連(日本高等学校野球連盟)が統轄しています。
しかし、この高野連は、非常に保守的で、時代に合わない面が多い組織だと感じます。
高野連は、球児の服装やグローブについても細かく規定していて、「派手な色のユニフォーム・小物・グローブは試合では使えない」となっています。
高野連側としては、「派手な色は、高校生として望ましくない」という言い分のようですが、派手な色を使うことでどういう支障が出るのか、よくわかりません。
また、「相手チームの不敬・侮辱になるおそれがあるため、ガッツポーズは慎むように」という規定もあります。
しかし、冷静に考えて、相手がガッツポーズをしたくらいで「侮辱された」と感じる人は、ほとんどいないでしょう。
それを考えると、ガッツポーズを禁止している理由も、なんだか納得できません。
そして、個人的に、特にひっかかるのが、「サングラス」の使用に関する規定です。
「高校野球ではサングラスは使えない」と思っている人は多いと思われますが、実は、使えない訳ではなりません。
事前に許可を得れば、使うことができるようです。
しかし、わざわざ事前に許可を得るのは、結構な手間です。
そのため、ほとんどの球児が、サングラスを着けずに、デーゲームに出ています。
しかし、夏の昼間だと、サングラスがないと、フライを取る際にかなり眩しいはずです。
また、夕方、打席に入る際に西日が差し込むと、日差しで球が見にくくなることも多いでしょう。
サングラスを気軽に使えないとなると、プレーに大きな支障をきたします。
また、無理に太陽を見ながらプレーを続けると、将来的に視力が低下してしまうリスクもあります。
そういったことを考えると、サングラスの使用は、許可制ではなく、自由に使えるようにすべきだと思います。
しかし、高野連は、2023年現在も、「サングラスの使用は許可制」としているようです。
この点は、非常に納得のできない部分です。
このように、高野連は、よく、理屈に合わないことを言います。
ただ、それに対して、「学校や生徒が反対意見を言う」ということは、ほとんど記憶にありません。
おそらく、心の中では「納得できない」と思っても、「高野連ににらまれたら、大会に出られなくなるかもしれない」と思い、反論しないのでしょう。
「高野連が言ったことには、学校や生徒は、おとなしく従わなければならない」といった今の状況には、疑問を感じます。
「学校や生徒に反論させないような空気」を作っている高野連という団体の姿勢には、違和感を覚えます。
投手の酷使の問題
甲子園大会でよく問題となるのは、「投手の酷使」についてです。
投手の肩や肘は「消耗品」と言われています。
投げすぎると、肩肘を故障する確率が非常に高まるからです。
そして、あまりに多く投げすぎると、選手生命を絶たれるような怪我をしてしまう場合もあります。
高校野球の監督は、どの監督も、「投げすぎると、投手が故障する可能性が高くなる」ということは、理解しています。
しかし、甲子園は、トーナメント制なので、「負けたら終わり」の大会です。
そのため、各高校の監督は、投手の肩肘に負担がかかることがわかっていても、「なんとしても負けたくない」と思い、エースのピッチャーを酷使するケースが目立ちました。
そして、連投で多くの球数を投げた結果、肩や肘を故障するケースが相次ぎました。
そういった状況をふまえ、高野連は、2020年から、「1週間で投げられる投球数が500球まで」という制限を設けました。
しかし、この程度の制限で、投手の肩肘を守れるのか、非常に疑問です。
「1週間で500球まで」ということであれば、1試合で250球投げることも可能です。
1試合でそれだけの球数を投げたら、それだけで肩や肘が壊れてしまう投手も沢山いるでしょう。
この程度の制限では、投手の肩肘を守れるとは、到底言えないでしょう。
そのため、2023年現在でも、甲子園大会では、「プロ野球ではありえないような投手の酷使」が頻繁に行われています。
野球ファンとしては、未来のある高校生の投手が酷使される姿は、観たくありません。
朝日新聞が主催社であることで、問題点が報道されにくくなっている
夏の甲子園大会は、高野連と朝日新聞が主催となっています。
しかし、朝日新聞が主催社であることが、様々な弊害を生んでいます。
朝日新聞というのは、当然ながら「報道機関」です。
ただ、朝日新聞は、報道機関にも関わらず、甲子園大会の問題点に関して、ほとんど報道しません。
自社が主催の大会なので、そうなってしまうのでしょう。
夏の甲子園大会に関しては、朝日新聞やテレビ朝日は「広報」と化してしまい、「報道機関」としては、適切に機能していません。
夏の甲子園大会の問題点については、様々な人が指摘していますが、それについて、朝日新聞は「見て見ぬふり」といった状況です。
また、他の新聞社や大手メディアも、朝日新聞に忖度しているのか、甲子園大会を厳しく批判するような記事は出しません。
ちなみに、春の選抜大会は、毎日新聞社が主催しています。
春の選抜を主催しているので、毎日新聞社も、夏の甲子園大会に対する批判的な記事を書くのは難しいでしょう。
こういった状況ですので、大手メディアは、甲子園大会に関しては、「報道機関」としての役割を果たせていません。
それにより、「甲子園大会が抱える問題点」が、多くの人に周知されていません。
その結果、多数の問題点を抱えているにも関わらず、問題を抱えたまま、毎年、夏の甲子園大会が開催されてしまうという状態になっています。
こういう現状ですと、素直に試合を見て楽しむ気分にはなりません。
大人の利益が優先されて、球児が割を食っている部分が多い
夏の甲子園大会というのは、非常に人気があり、多くの人が、球場やテレビで観戦します。
そういったことを考えると、夏の甲子園大会というのは、多くの大人にとって、「旨味の多いコンテンツ」と言えます。
まず、夏の甲子園は、例年、多くの人が球場に足を運ぶため、「会場のチケット代」だけでも、相当な収益になるはずです。
しかも、高校野球の場合は、球場使用料は「無料」なので、主催者は、かなり儲かるでしょう。
加えて、2022年には、入場料を値上げしているので、さらに収益は上がっていると思われます。
また、毎年、「夏の甲子園特集」の雑誌が発売されていますが、それも、かなりの売り上げになっているでしょう。
甲子園は、NHKがテレビで全試合を放送しますが、その視聴率はかなりのものになります。
毎年、安定した視聴率が取れるので、NHKとしても「おいしいコンテンツ」と思っているはずです。
また、朝日新聞の系列会社の「テレビ朝日」は、毎年必ず「夏の甲子園特集」の番組を作ります。
それも、毎年、良い視聴率を叩き出しているでしょう。
「毎年、安定して視聴率が取れる番組」には、スポンサーが付きやすくなります。
甲子園関係のテレビ番組のスポンサー収入は、かなりのものになっているはずです。
そして、最近は、ネット中継でも甲子園の試合を観ることができます。
甲子園は人気コンテンツなので、ネット中継での広告収入も、かなりのものになっていると推測できます。
こういったことを考えると、「稼ぎたい」と思っている大人にとって、夏の甲子園大会というのは、「非常においしいコンテンツ」と言えます。
開催できれば、毎年必ず、莫大な利益をもたらしてくれるのですから。
もちろん、大人の側だけではなく、「高校球児の側」にも、甲子園のメリットはあります。
甲子園は、非常に多くの人が注目している大会です。
そのため、甲子園で活躍すると、有名になることができます。
また、野球選手としての評価も、グッと上がります。
甲子園で活躍したことがきっかけで、ドラフトで上位指名を勝ち取った選手は沢山います。
そういう選手にとっては、「甲子園はありがたい」と思っているでしょう。
ただ、注意しなくてはならないのは、そういう選手は、「あくまで一握り」ということです。
甲子園で注目が集まった選手もいますが、それ以上に、「甲子園での連投」「過密日程」などの影響で故障して、選手生命を絶たれたり、一線で活躍することができなくなった選手が沢山います。
これは、日本の野球界にとって、大きな損失だと思います。
甲子園で無理をさせなければ、さらに成長して、一流の選手になっていた可能性もある選手が沢山いた訳ですから。
客観的に見ると、夏の甲子園大会というのは、「選手よりも、大人の利益を優先している」と言わざるを得ません。
大人の利益を優先するあまり、多くの選手が、割を食っています。
そういった現状を考えると、どうしても、夏の甲子園大会の試合は、観る気が起きません。
まとめ
ここまで、私が甲子園大会を観る気がしない理由について、詳しく語ってきました。
これはあくまで、私が感じていることですが、ここで挙げた理由を見て、「わかる」と思う人も多いのではないでしょうか。
きっと多くの人が、ここで挙げた部分について、「おかしい」と感じているのではないでしょうか。
しかし、多くの人が「ここはおかしい」と感じているにも関わらず、「大人の利益」が優先されて、なかなか改善しないのは、非常に残念です。
私は、甲子園大会は観なくなってしまいましたが、基本的には、野球の試合を観戦すること自体は好きです。
そのため、今後、夏の甲子園大会が「選手ファースト」の姿勢で運営するようになれば、また高校野球を観戦するようになるかもしれません。
ただ、今の現状では、とても、「選手ファーストの大会」とは言えないので、観る気が起きません。
野球ファンとしては、高校生の野球の全国大会は、なるべく「選手ファースト」の姿勢で運営してほしいと願っています。
ただ、甲子園大会を取り巻く状況を見ると、そうなるのは、なかなか難しいと感じています。