しょうの雑記ブログ

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スピッツ「スピカ」の歌詞の考察

 スピッツ「スピカ」の歌詞の考察を行います。

 

 「スピカ」は、1998年にリリースされた、スピッツ19枚目のシングルです。

 

 こちらは、「楓」との両A面シングルとしてリリースされました。

 

 オリジナルアルバムでは、「花鳥風月」に収録されています。

 

 現在は、インディーズ時代の曲を4曲追加した「花鳥風月+」として販売されています。

 

 

 また、2002年に発売された、スピッツのトリビュートアルバム「一期一会」では、椎名林檎がこの曲をカバーしています。

 

 こちらのアルバムは、もう新品では売っていないので、買うとしたら中古になります。

 

 

 この曲は、とても良い曲ですが、歌詞の解釈が少し難しかったりします。

 

 そこで今回は、この曲の歌詞を考察して、隠された意味を探っていきます。

 

 「なぜこの曲がスピカというタイトルになったのか?」という理由についても、考えていきます。

 

 この曲の作詞・作曲者は、草野マサムネです。

 

 歌詞の全文は、下記のサイトで見られます。

 

www.uta-net.com

 

 

 

 

 

 

 

「スピカ」とは

 曲の説明をする前に、タイトルに使われている「スピカ」という言葉の意味を説明します。

 

 スピカは、「おとめ座α星」とも呼ばれる、おとめ座の中で最も明るい星のことです。

 

 春の夜に、青白く輝きます。

 

 ちなみに、この曲の歌詞には「スピカ」という言葉は出てきません。

 

 タイトルにのみ使われています。

 

 この「スピカ」の意味を頭に入れつつ、歌詞をじっくり見ていきましょう。

 

「スピカ」の歌詞の考察

 ここからは、「スピカ」の歌詞を詳しく見ていきます。

 

1番のAメロの歌詞

この坂道もそろそろピークで バカらしい嘘も消え去りそうです

やがて来る 大好きな季節を 思い描いてたら

ちょうどいい頃に素敵なコードで 物凄い高さに届きそうです

言葉より 触れ合い求めて 突き進む君へ

 

 最初に、『この坂道もそろそろピークで』という歌詞が出てきますが、この『坂道』とういのは、実際に坂道を上っているのではなく、「比喩」だと思います。

 

 この曲の主人公は、人生の中で厳しい状況に直面しているのでしょう。

 

 それを、「坂道を上ること」に例えているのだと思います。

 

 『バカらしい嘘も消え去りそうです』というのは、「冗談を言っている余裕もない」ということでしょうか。

 

 しかし、その厳しい状況もピークに達して、そろそろ終わりが見えてきているようです。

 

 『やがて来る 大好きな季節』というのは、おそらく「春」のことでしょう。

 

 人生の中で、厳しい状況に直面していることを「冬」に例えて、「これを乗り越えたら春が来る」と言っているのだと思います。

 

 『ちょうどいい頃に素敵なコードで』という部分は、解釈がなかなか難しかったりします。

 

 『コード』というのは、家電のコードでしょうか?

 

 ただ、家電のコードだと、よく意味がわかりません。

 

 また、音楽の「コード」だとしても、意味が繋がりません。

 

 自分としては、『コード』という歌詞は、「高度」という意味だと捉えました。

 

 最初の『ピーク』という歌詞にかけて、『コード』という表記になっているのかなと思いました。

 

 これが「高度」という意味だとすると、その後の歌詞と意味が繋がります。

 

 『物凄い高さに届きそうです』というのは、「辛い季節も終わりが見えてきて、気分もだいぶ上がってきている」ということではないでしょうか。

 

 次に、『言葉より 触れ合い求めて 突き進む君へ』という歌詞が来ますが、ここで初めて、『君』が出てきます。

 

 『君』は、おそらく、主人王にとって大事な人のことだと思います。

 

 そして、『君』は、『言葉より 触れ合い求めて 突き進む』と言っています。

 

 この歌詞から想像すると、『君』は、かなり感覚的で、人としての本能的な部分を大事にする人ではないかと推測できます。

 

 ちなみに、この曲の歌詞は、「ですます調」の部分が多くなっています。

 

 スピッツの歌詞で「ですます調」になっているものは、なかなか珍しいと思います。

 

 この曲は、「ですます調」を多用することにより、独特な雰囲気が出ている気がします。

 

1番のサビの歌詞

粉のように飛び出す せつないときめきです

今だけは逃げないで 君をみつめてよう

やたらマジメな夜 なぜだか泣きそうになる

幸せは途切れながらも 続くのです

 

 『粉のように飛び出す せつないときめきです』というのは、「粉が宙に舞うように、切ないときめきが漂う」という意味だと思います。

 

 『今だけは逃げないで』という歌詞を見ると、主人王は、「普段、面倒くさいことから逃げがちである」ということが推測できます。

 

 ただ、今の瞬間は、逃げずに、『君』をみつめていると決めたようです。

 

 それくらい、主人公にとっては、『君』が大切な人だとわかります。

 

 『やたらマジメな夜』という歌詞は、パッと聴いただけだと、よく意味がわかりません。

 

 自分としては、これは、「君と真剣に向き合う夜」という意味かなと思いました。

 

 次に、『なぜだか泣きそうになる』とありますが、これは、「君の素晴らしさに触れて、涙が出てくる」といった意味ではないでしょうか。

 

 その後の、『幸せは途切れながらも 続くのです』という歌詞も意味深です。

 

 今はその意味がよくわかりませんが、最後まで歌詞を見ていくと、その意味がなんとなくわかってきます。

 

2番のAメロの歌詞

はぐれ猿でも調子がいいなら 変わらず明日も笑えそうです

ふり向けば 優しさに飢えた 優しげな時代で

 

 『はぐれ猿』というのは、なかなか面白い表現ですね。

 

 普通、歌詞ではなかなか使わない言葉ですが、どういう意味なのでしょうか?

 

 自分としては、主人王自身が、自分のことを「はぐれた猿みたいだ」と思っているということだと推測します。

 

 「猿」は、人間と比べると、そんなに頭はよくありません。

 

 主人王は、自分のことを「あんまり頭が良くない」と思っていて、それを「猿」に例えているのだと思います。

 

 そして、ただの猿ではなく『はぐれ猿』と言っているのは、主人王自身が「人とつるむのが苦手」ということかもしれません。

 

 主人公は、自分を卑下しているようですが、それでも、『調子がいいなら 変わらず明日も笑えそう』と、ポジティブな気持ちは持っているようです。

 

 その後の、『優しさに飢えた 優しげな時代』という部分は、非常に鋭い歌詞だと思います。

 

 「現代の日本社会」のことを、こう言い表しているのだと思います。

 

 短いシンプルな言葉で、現代社会をスバっと斬っています。

 

 今の日本社会は、パッと見は「優しさにあふれている」ように見えます。

 

 日本は、犯罪の数が比較的少なくなっています。

 

 また、電車に乗ると、お年寄りや体の不自由な人に席を譲っている人も結構います。

 

 そういうのを見ると、「日本は治安が良いし、日本人は優しい人が多いな」と思ったりします。

 

 しかし、少し日本社会を俯瞰して見ると、「なかなか厳しい社会だな」と思うことが多かったりします。

 

 アルバイトや派遣社員といった非正規の職員は、本人に大した非がなくとも、簡単にクビになったりします。

 

 また、生活保護も、申請してもなかなか通らなかったりします。

 

 女性やマイノリティに対する差別も、依然として存在しますし、大きく改善する気配もありません。

 

 こういうことを考えると、「日本社会のシステムは、弱者やマイノリティにとって厳しいな」と感じます。

 

 日本人は、一人一人を見ていくと、弱者やマイノリティに対して親切な人が結構います。

 

 また、政府や行政は「人に優しく」といったキャッチコピーを打ち出しています。

 

 そういった、「一見優しそうな雰囲気を出している」ことを、この歌詞では『優しげ』と言っているのだと思います。

 

 ただ、日本社会が本当に優しい社会かというと、そうではありません。

 

 弱者やマイノリティになると、社会から厳しい扱いを受けることがしばしばあります。

 

 そうなると、弱者やマイノリティの人たちは、「もう少し優しく接してほしい」と思い、優しさを欲します。

 

 そういった状況を、この歌詞では『優しさに飢えた』と表現しています。

 

 これだけ単純な言葉で、物事の本質を表現できる草野さんの表現力は、やはり凄いと感じます。

 

 この歌詞を見ると、主人公も、「現代の日本社会の中で苦しんでいる」と思われます。

 

2番のサビの歌詞

夢のはじまり まだ 少し甘い味です

割れものは手に持って 運べばいいでしょう

古い星の光 僕たちを照らします

世界中 何も無かった それ以外は

 

 ここでは、最初に『夢』という言葉が出てきます。

 

 これは、「君と過ごす時間が、まるで夢のようだ」ということだと思います。

 

 そして、『はじまり』という歌詞を見ると、主人公と『君』は、付き合い始めたばかりだと推測することができます。

 

 そして、主人公は、『君』と付き合い始めたばかりなので、「甘い」ではなく、『少し甘い』という歌詞になっているのでしょう。

 

 次に、『割れもの』という歌詞が出てきますが、これはおそらく、『君』のことだと思います。

 

 「凄く大事な、壊したくないもの」という意味合いで『割れ物』という言葉を使っています。

 

 そして、カバンに入れて運ぶのではなく、「手に持って運ぶ」と言っているのは、「大事に扱う」といった意味合いでしょう。

 

 その後の、『古い星の光 僕たちを照らします』という部分は、なかなかロマンチックな歌詞ですね。

 

 星と地球の距離は非常に離れているので、星の光が地球に届くまでは、とても長い時間がかかります。

 

 そのため、私たちが見ている星の光は、実は、今現在の光ではなく、「昔の光」です。

 

 このような事実をふまえて、『古い星の光』という歌詞になっているのだと思います。

 

 そして、「星が照らす」というのは、単に星が照らしてくれるということだけでなく、「自分が今生きているこの瞬間が、輝いている」という意味も含まれていると思います。

 

 主人公にとって、大切な『君』と過ごす時間は、何よりも輝いているのです。

 

 そして、『世界中 何も無かった それ以外は』という歌詞は、「大好きな君と一緒にいる時間は、何よりも素晴らしくて、世界中の全てのことを忘れてしまう」という意味でしょう。

 

最後のサビの歌詞

粉のように飛び出す せつないときめきです

今だけは逃げないで 君をみつめてよう

やたらマジメな夜 なぜだか泣きそうになる

幸せは途切れながらも 続くのです

続くのです

 

 最後のサビの部分は、一番最後に『続くのです』と2回繰り返していること以外は、1番のサビと同じです。

 

 ただ、1番のサビの部分で意味がよくつかめなかった『幸せは途切れながらも 続くのです』という部分の意味を、改めて考えてみます。

 

 ここで、この曲のタイトルが「スピカ」であることを思い出してみましょう。

 

 スピカは、「星の一つ」です。

 

 それをふまえると、『途切れながらも』という歌詞は、もしかすると、「星の輝き」とかけているのかもしれません。

 

 星は、時々、瞬いたりするので、光っている状態がずっと続く訳ではありません。

 

 時々、光が途切れて、また光ったりします。

 

 主人公は、おそらく、「君と過ごす幸せな日々も、星の光のように少し幸せが途切れることがあるかもしれないけど、それでも続くんだよ」と言っているのだと思います。

 

 そして、一番最後に、『続くのです』と2回繰り返しているところに、主人公の「なんとか、途切れながらでも幸せが続いてほしい」という強い願いが込められている感じがします。

 

 

 

 

 

まとめ

 スピッツ「スピカ」の歌詞の考察を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 抽象的な表現が多いですが、簡単な言葉の中に深い意味が込められていて、「やはり草野さんの作詞能力は凄いな」と感心させられます。

 

 そして最後に、「なぜこの曲が「スピカ」というタイトルになったのか」について、考えてみます。

 

 では、ここで改めて、最初に説明した「スピカ」の意味を思い出してみましょう。

 

 スピカは、「おとめ座の中で最も明るい星」でした。

 

 それをふまえると、この歌詞で主人公が一番言いたいことが何か見えてきませんか?

 

 おそらく、主人公は、『君』をスピカに例えて、「君は、乙女(女の子)の中で、最も輝いている」と言っているのです。

 

 この曲は、「女の子の中で最も輝いている君」のことを歌った曲だから、「スピカ」というタイトルになったのです。

 

 このことに気づいた時は、「なるほど! そういう意味か! うまいな」と思いました。

 

 こういった、「気づかない人も多いけれど、気づく人は気づく」仕掛けを入れるところは、さすがだなと思います。

 

 この曲を聴いたことがあるけれど、「君=スピカ」ということに気づかなかった人は、そのことを頭に入れつつ、この曲を聴き直してみてください。

 

 そうすると、また新たな発見があって、面白いと思います。

 

 また、春の晴れた夜に「スピカ」を聴きながら、星の「スピカ」を見てみたりすると、曲のイメージがさらに広がって楽しいと思いますよ。