今回は、「POST OVERALLS(ポスト・オーバーオールズ)」というファッションブランドを紹介します。
このブランドは、1993年に、ニューヨークで、デザイナーの大淵 毅氏によって設立されたブランドです。
ヴィンテージの「ワークウエア」のデザインをモチーフにしながらも、サイズ感や素材を変えることで、現代でも着やすい服となっています。
このブランドは、細部にこだわっており、ヴィンテージのワークウエアのディティールを取り入れています。そういうこだわりを見ると、ヴィンテージのワークウエアが好きな人にとっては、グッとくるものがあります。
生地は、コットンを使ったものが主で、生地の質感も、味のあるものが多くなっています。
カバーオール・ジャケット
ポスト・オーバーオールズの一番代表的なアイテムが、「カバーオール・ジャケット」になります。
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カバーオール・ジャケットというのは、「昔の労働者が、労働時に着ていた上着」のことです。
上着なので、サイズは大きめです。労働時に動きやすいよう、腕を動かしやすいつくりになっています。
また、労働時の道具を入れるために、外側にパッチポケットが沢山ついています。内ポケットがついている場合もあります。
また、物によっては「チンストラップ」といって、首周りをしっかり留められるよう、首元にストラップがついているモデルもあります。
また、袖口のボタンや、独特のステッチワークも、カバーオールの魅力の一つです。これは、「飾り」として用いている訳ではありません。「労働着としての頑丈さ」を追求するためです。
ボタンが取れないよう、金属ボタンを用いたり、ステッチを多くして、ほつれにくくしているのです。そういった、「機能性を追求したからこその、ディティールの面白さ」が、カバーオールにはあります。
カバーオールは、昔は、単なる「労働着」でした。しかし、時代が進むにつれ、カバーオールの持つ、「洋服としての魅力」に気づく人が多くなってきました。そのため、次第に、単なる労働着ではなく、「ファッションアイテムの一つ」として、日常着に取り入れられるようになりました。
ヴィンテージのカバーオールというのは、生地の質感や雰囲気は素晴らしいです。ヴィンテージのものは、旧式の織機を使って生地を織っています。そのため、現代のものよりも生地の凹凸が大きくなります。しかし、その凹凸があることにより、味わいのある、美しく経年変化する生地になっています。そのため、ヴィンテージのカバーオールには、「非常に味のある雰囲気」が出るのです。
しかし、ヴィンテージのカバーオールにも、デメリットはあります。それは、「サイズ感」です。
ヴィンテージのカバーオールを、そのままファッションアイテムとして取り入れた場合、「シルエットが野暮ったすぎる」ことがあります。「雰囲気はいいけれど、サイズ感が合わなくて、おしゃれに見えない」ということになりがちなのです。
ヴィンテージのカバーオールというのは、アームホールが太すぎたり、身幅が大きすぎたりする場合があります。また、着丈もだいぶ長くなっています。
また、「生地の分厚さ」や「硬さ」も、日常着として使うにはデメリットです。
カバーオールは、元々、「労働着」です。そのため、ヴィンテージのカバーオールは、労働時に簡単に破けないよう、生地が分厚く、硬いものが多いです。そのため、ヴィンテージのカバーオールを着ると、「ごわごわして、着づらい」と感じることがあります。
そのため、ヴィンテージのカバーオールは、「現代のファッションには、そのまま取り入れづらい」といった難点があります。
そういった難点を解消してくれているのが、ポスト・オーバーオールズのカバーオールです。
このブランドのカバーオールは、ヴィンテージの雰囲気は残しつつも、サイズ感を現代のファッションに合うよう、調整しています。そのため、ヴィンテージのカバーオールと比べると、小さめの作りになっています。
しかし、過度に細身のシルエットにすることはせず、ヴィンテージの雰囲気も残しています。
生地は、デニムがメインですが、ヴィンテージの物より、着やすい素材感となっています。
また、デニム生地だけではなく、シャンブレー生地のカバーオールも出しています。
ヴィンテージのカバーオールには、「シャンブレー生地のカバーオール」というのは存在しません。なぜなら、カバーオールは、元々、「労働者とアウター」として着るものなので、シャンブレーのような薄い生地で作ると、すぐに破けてしまうからです。
しかし、ポスト・オーバーオールズは、「ファッション・アイテム」としてカバーオールを作っているので、「シャンブレー生地のカバーオール」も作っています。シャンブレー生地でカバーオールを作ると、ごわごわせず、シャツのような軽い着心地になります。そのため、日常着として取り入れやすくなります。
このブランドのカバーオールには、こういった特徴があります。
ワークシャツ
ポスト・オーバーオールズのアイテムの中では、「ワークシャツ」も人気があります。
POST OVERALLS(ポストオーバーオールズ)/#1231L TOWN & COUNTRY COTTON BROADCLOTH SHIRTS/navy
POST OVERALLS(ポストオーバーオールズ)/#2214S S/S E-Z CRUZ DOBBY CHAMBRAY SHIRT/indigo
ワークシャツは、その名の通り、「労働着のシャツ」のことです。
ヴィンテージのワークシャツは、純粋な「労働着」として着られていたものなので、「動きやすさ」を第一に考えたシルエットになっています。
そのため、カバーオールと同様に、ヴィンテージのワークシャツをファッションアイテムとして取り入れた場合、「シルエットが野暮ったすぎる」ということになりがちです。
腕が動かしやすいように、アームホールはだいぶ太くなっています。
また、ヴィンテージのワークシャツというのは、基本的に、「裾をズボンの中に入れて着ることを前提に作られたもの」です。そのため、着丈が非常に長くなっています。
しかし、現代のカジュアル・ファッションでは、シャツというのは、基本的に、裾を外に出して着ます。
ヴィンテージのワークシャツの裾を外に出して着ると、裾が長すぎてアンバランスになり、おしゃれに見えないということがあります。
そういった、「ファッションアイテムとしての、シルエットの野暮ったさ」を解消したのが、このブランドのワークシャツです。
アームホールは、太すぎず細すぎずといったちょうどいいバランスになっています。
裾の長さも、ヴィンテージのワークシャツよりも短くして、裾を出して着られるようになっています。
ただ、「生地の風合い」は、ヴィンテージのワークシャツに近い雰囲気で作られています。
ワークシャツには、「シャンブレー生地」のような、薄い割には丈夫な生地が使われることが多いですが、こういった生地も、ヴィンテージの生地を研究することで、味のある生地となっています。
また、ワークシャツというのは、「胸のポケット」に特徴があります。労働をする際は、胸にポケットがあった方が便利です。そのため、ワークシャツには、大抵、両胸にポケットがついています。そして、そのポケットの形は、年代によって異なったりします。
元々は、「機能的に使いやすいため」ということで、様々な形のポケットがつけられたのでしょうが、改めて見てみると、そのポケットの形は、「ファッションアイテムとしても面白い」ものだったりします。
こちらのブランドのシャツは、昔のワークシャツに使われていたポケットを研究し、面白い形のポケットがついている場合が多いです。
そのポケットが、デザインのアクセントとして、効いています。こういうポケットの形も、ヴィンテージの服好きが、グッとくるポイントだと思います。
価格について
こちらのブランドは、質の高い商品を作っているブランドだと思いますが、「価格の高さ」がネックです。そのため、「欲しいけれど、高すぎて買えない」という人もいると思います。
このブランドは、今までは「アメリカ製」にこだわって商品を作ってきました。
このブランドのモチーフが「アメリカのワークウエア」なので、「生産もアメリカで」ということで、アメリカ製にこだわって作ってきたのでしょう。
しかし、アメリカ製にこだわって商品を作ると、様々な面でコストがかさみ、価格が高くなってしまうようです。
アメリカ製のカバーオール・ジャケットですと、価格は5万円以上になっています。
ただ、今後は、アメリカ製から、日本製に切り替えていくようです。アメリカ製にこだわりのある人は、寂しさもあるでしょうが、日本製になると、価格はだいぶ下がるようです。
日本の縫製技術は、世界的に見てもトップクラスですから、日本製になっても品質は落ちないでしょう。
こういった生産国の変化は、アメリカ製にそこまでこだわりがない人にとっては、良い変化と言えるのではないでしょうか。
「価格が高い」と感じている人は、中古を探すのも一つの手
日本製になると、アメリカ製よりは価格は下がるようですが、それでも、新品ですとまだまだ値段は高価格です。
そのため、「欲しいけれど、価格が高すぎて、なかなか手が出ない」という人もいるでしょう。
そういった方は、中古を探してみるのも手でしょう。
数はあまり多くないですが、ブランド古着のお店やリサイクルショップをのぞくと、時々、このブランドの服が置いてあったりします。
また、ヤフオクなどでも、ある程度見つかります。
中古ですと、カバーオールが1万円台で買えることもあります。これは、新品に比べると、破格の値段です。
このブランドの服は、ヴィンテージのワークウエアをモチーフにしており、定番的なデザインのものが多いので、昔のシーズンのものを着ても、「流行遅れ」のような感じにはなりません。
また、このブランドの服は、「味の出る服」が多いので、中古で買っても、それが「良い味」になっていることもあります。そのため、中古で買っても全く問題はないと思います。
中古を丹念に探すと、思わぬ安値で、このブランドの服が売っていることもあります。
まとめ
「POST OVEROLLS(ポスト・オーバーオールズ)」について、色々と説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
こちらは、「通好みのブランド」といった感じなので、「この記事を読んで、初めて知った」という方もいるかもしれません。
しかし、知名度はそれほど高くなくとも、昔から「真摯な物作り」をしているブランドだと思います。
このブランドの服を見ると、「ヴィンテージのワークウエアに関する、深い知識」を感じます。
ですから、ヴィンテージのワークウエアの雰囲気が好きな人にとっては、間違いなく心に刺さるブランドだと思います。
また、ヴィンテージのワークウエアについてそれほど詳しくない人も、興味があるなら、このブランドの服を着てみるといいでしょう。
そうすると、ヴィンテージのワークウエアに見られる、「機能美」の面白さに、新たに気づくことができるはずです。