場面緘黙症だった僕の、その後の人生

小学校時代に場面緘黙症を経験。社会に出た後も、仕事になじめずに苦しむ。社会にうまく適応できないという悩みあり。このブログが、同じような悩みを持っている方の参考になれば幸いです。

カジサックと宇野常寛さんのトラブルから考える「イジリが成立するために必要な条件」(怒髪天の増子さんから学ぼう)

 最近、ネット上で、「カジサックと宇野常寛さんのトラブル」が話題になっています。このトラブルを知った時、「イジリが成立するために必要な条件は何なのか」ということを、自分なりに考えました。そのため、今回は、そのことをブログ記事にしたいと思います。

 

 このトラブルに関しては、ネット上に様々な記事があがっています。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

headlines.yahoo.co.jp

 

 

 ネット記事を引用して、このトラブルについて説明します。

 トラブルが発生したのは、2月2日に開催されたホリエモン万博というイベントで行われたチャンバラ合戦大運動会です。宇野氏はこのイベントに招待されていましたが、カジサック氏から失礼な絡みを受けたことから、イベントを途中で退席しました。宇野氏はその後、途中で退場したことをツイッターに報告。カジサック氏はその場で「みんなが面白くなるためにした」と形式的に謝罪はしたそうですが、宇野氏は納得していないようです。

 

 「運動会」の縄跳びで宇野氏がミスをすると、「梶原はここぞとばかりに僕をバカにしてきた」。「一線超えたな」と思った宇野氏は、梶原さんの振る舞いを嫌悪していると指摘すると、梶原さんは「慌てて形式的に謝罪した」のだが、「すぐに『みんなが面白くなるために(宇野にイジリを)した』と開き直った」。ここで怒りが頂点に達した宇野氏は「もうこれは直らない。帰るしかないなと思った」という。

 

 宇野氏は「『空気を読んで』梶原主役のバラエティゴッコのいじられ役を甘受することは『正しい』ことなんだろうか。そんなわけはない、と思った」「『芸人』なら、バラエティならイジメが許されるなんて間違ってる」と梶原さんを糾弾。イベントを途中降板したことについては、ギャラの全額返金と、自身を目当てに来場したファンにも返金することで対応するとしている。

 

 

 「カジサック」と「宇野常寛さん」のことをよく知らない人もいると思いますので、まずそこから説明します。

 

 「カジサック」と聞いて、ピンとこない人もいるかもしれません。カジサックは、お笑いコンビ「キングコング」の梶原雄太さんの別名です。梶原さんは、最近は、お笑い芸人だけでなく、ユーチューバーもしています。ユーチューブで活動する時の名前が「カジサック」です。「頭にタオル、赤の上下のジャージ」という服装がトレードマークとなっています。

 

 宇野常寛さんは「評論家」です。主に、現代社会に関する評論活動を行い、最近は、メディアに出る機会も多くなっている方です。

 

 今回のトラブルは、「カジサックが、深く考えずに、バラエティ番組的なイジリを宇野さんに行ってしまった」ことが原因だと思われます。

 

 バラエティ番組で、「ある芸人が、他の芸人をからかって笑いをとる」ことは、よく見る場面でしょう。これが「イジリ」です。そのノリを、カジサックが安易に持ち込んで、宇野さんをからかっててしまったため、宇野さんが激怒したのだと思います。宇野さんは、このカジサックのイジリについて、「これはイジリではなくイジメである」と、主張しています。

 

 確かに、嫌がっている人に対して、その人をからかい続ければ、それは「イジメ」になってしまいます。この宇野さんの主張は、個人的に、納得できます。

 

 そして、「イジリ」というものは、バラエティ番組の中だけでなく、日常生活でも起こります。やっている側は「これはイジリだ」と思っていても、やられている側は本気で嫌がっていて、「これはイジリではなくイジメだ」と感じている人も多いでしょう。

 

 「イジリ」も「イジメ」も、どちらも「笑いをとる」ために行うものです。やはり人は、「笑って楽しくなりたい」という根源的な欲求があるから、このようなことを行うのでしょう。

 

 「イジリ」の場合は、笑いが起きて、なおかつ、やられている側も不快感がありません。それに対して、「イジメ」は、笑いは起きますが、やられている側に強い不快感が残ります。「イジリ」と「イジメ」は、似ている部分がありますが、微妙なバランスで「イジリ」になったり「イジメ」になったりするのが、難しいところです。では、どのような条件が揃えばイジメにならずに「イジリ」が成立するのでしょうか?

 

 そこで、自分なりに、「イジリが成立するために必要な条件」について考えてみました。

 

イジリが成立するために必要な条件

①お互いに信頼関係がある

 イジリが成立するためには、「お互いの信頼関係」は非常に重要です。自分が本当に信頼している人であれば、多少からかわれても「バカなこと言ってるな」と思うくらいで、あまり不快に思わないものです。

 

 ですから、人をいじる際は、「相手をからかっても大丈夫なくらい信頼関係があるか」をまず確認しなければなりません。信頼関係がないまま、人をからかってしまうと、「なんで親しくもないのにこんなこと言われなければいけないんだ」と相手は不快に思ってしまいます。そうなると「イジメ」になってしまいます。

 

②いじる側は、「上の立場」からではなく、「同じ立場」からいじる

 やっている本人は「イジリ」と思っていても、やられている方は「イジメ」と思ってしまうことはよくあります。それは、「上の立場からものを言っている」ことが原因ということも多いです。

 

 大抵の人は、「人から見下される」ことが嫌いです。上の立場から見下されて、からかわれると、不快になり「イジメ」と感じる人は多いでしょう。これは、「パワハラ」と同じ構造です。

 

 ただ、同じからかうにしても、「同じ立場からからかわれる」と、それほど不快にならないものです。「俺は優れているけれど、お前はバカだな」と言われたら、ほとんどの人は、腹が立つでしょう。しかし、「俺もバカだけど、お前もバカだな」と言ったら、「まあいいか」と案外許せてしまったりします。

 

 そして、仮に信頼関係があっても、「上の立場から見下してからかう」ことを続けていくと、せっかく作った信頼関係が崩れてしまいます。そうなるともう「イジメ」になってしまいます。信頼関係というのは、一度作ったら、それがずっと続くものではありません。ふとしたきっかけで、崩れる可能性のあるものです。

 

 せっかく作った信頼関係を崩さないように、いじる場合でも、「同じ立場からいじること」は、とても重要です。

 

 この2つの条件が揃うと、いじられる側にもあまり不快感はないと思います。そうなると、イジメではなく、「イジリ」として成立する確率が非常に高まります。

 

 そして、「イジリの達人は誰だろうか?」と考えた時に、自分の中でパッと頭に浮かんだのは、「怒髪天の増子直純さん」です。怒髪天はロックバンドで、増子さんはそのボーカルです。「なんでロックバンドのボーカルがイジリの達人なの? 芸人の方がうまいんじゃないの?」と思う人もいるでしょう。

 

 しかし、この増子さんは、「MCの達人」なのです。ライブでは、曲の合間にメンバーが話をします。それが「MC」です。増子さんは、そのMCで、芸人顔負けのギャグを放り込んできて、会場を笑いの渦に巻き込みます。そこでよく「客イジリ」も行って、笑いをとっているのです。

 

 客は、いじられているにも関わらず、ゲラゲラ笑っています。そして、怒髪天ファンからも「MCでの客イジリが不快だ」といった声は聞いたことがありません。

 

 こういったことを考えると、増子さんのMCには、「いじられる側が不快にならない、イジリの神髄」があるような気がするのです。

 

 ここで、増子さんの「客イジリ芸」を具体的に見て、そこから「イジリ方」を学んでみましょう。

 

怒髪天の増子さんの、ライブMCでの「客イジリ芸」

 2019年の1月26日に、怒髪天のワンマンライブに行ってきました。ここでも、MCで逆イジリをしていたので、具体的に見ていきます。

 

 ライブの前半のMCでは、『俺も、お前らも、ポンコツだろ(笑)』と、客をいじっていました。これはまさに、「同じ立場からいじる」ことをしています。

 

 上の立場から、「お前らはポンコツだ」と言われたら、多くの人はムカッとくるでしょう。しかし、「自分はポンコツだけど、お前らもポンコツだよね」と同じ立場から言われたらどうでしょうか? そうなると、それほどムカッとはしないはずです。むしろ、「まあ、ポンコツ同士、仲良くしよう」とすら思うかもしれません(笑)

 

 また、ライブ当日は、今話題の「米津玄師」が横浜アリーナでライブをやっていたようで、それもネタにしてました。『今日、横浜アリーナで、米津玄師のライブがやっている。トレンドに敏感な人は、この会場じゃなくてそっちに行ってる』と増子さんは言っていました。ここでも、客を暗に「トレンドに敏感でない人たち」とからかっていじっています。

 

 しかし、ここには、「増子さんと客との信頼関係」があります。怒髪天は、「一時のトレンドで終わらないような音楽をやっているバンド」です。そして、客も「トレンドに流されない、本当にグッとくる音楽」を求めている人たちです。だから、客は「トレンドに流されない音楽を聴いていること」に誇りを持っているため、「トレンドに敏感でない」とからかわれても、傷つかずに笑っていられます。

 

 そして、この日はさらに、米津玄師のヒット曲「Lemon」をネタにして、『この会場を見渡しても、Lemonて顔してないでしょ。腐ったミカンて感じでしょ(笑)』と客をいじっていました。

 

 この発言にも、「信頼関係」「同じ立場からいじる」という前提があります。

 

 怒髪天のファンというのは、比較的、「社会の中でうまくいかずにもがいている人」が多いです。そういう人だからこそ、怒髪天の音楽にひかれるのです。だから、腐ったミカンと言われても、「ああ、確かに、社会的に見たら、自分は腐ったミカンかもな」と素直に受け入れてしまう客は多いはずです。

 

 増子さんは、そういう客の心理もわかって「腐ったミカン」という発言をしていると思います。「腐ったミカンと言っても怒らないだろう」とファンを信頼しているからこそ、こういうイジリができるのです。

 

 また、言葉には出していませんが、増子さんには、「自分も社会的に見たら、Lemonじゃなくて腐ったミカンくらいのランクだよ」という意識があるように思います。そういう、「同じ立場から言っているというニュアンス」をファンは感じ取っているので、「腐ったミカン」と言われても腹が立たないのです。

 

 怒髪天の増子さんは、「自分と客との間に、強い信頼関係がある」ということを知っています。だからこそ、客を思い切りからかって、いじれるのです。

 

 そして、増子さんには、「自分は、社会的に見て、そんなに上等な人間じゃない」という意識があるはずです。それは、歌詞や発言を見てわかります。ですから、客は、「増子さんは、自分たちと同じ立場から発言してくれている」という意識を持てます。だから、客はMCでからかわれても、「同じ立場から言ってる」と思えるので、笑って受け流せるのです。

 

 このように、増子さんのMCは、「客との信頼関係」と「同じ立場からいじる」ということがしっかりできているので、客をからかっても「イジメ」にならず、「イジリ」として笑いがとれています。そういうのを見ると、「増子さんは、本当に客イジリの達人だな」と思うのです。

 

 この日の増子さんのMCについては、この記事にさらに詳しく書いていますので、気になった方はこちらも読んでみてください。

www.bamentekiou.com

 

まとめ

 「イジリが成立するために必要な条件」について色々語ってきましたが、いかがだったでしょうか?

 

 こう改めて考えてみると、「イジリで笑いをとる」というのは、お笑いの中でも高等技術だと感じています。一歩間違えれば「イジメ」になって人を傷つけてしまうからです。

 

 「イジリ」は、「お互いに信頼関係があるか」と「同じ立場からいじっているか」を確認してからでないと、行わない方がいいでしょう。そして、それを確認してから行ったとしても、相手から「不快だ」という申し出があったら、即座にやめましょう。この2つの条件が揃えばイジリが成功する確率は高いですが、100%成功するわけではありません。その条件が揃っても、相手が不快に感じたら、「イジメ」になってしまうからです。人をいじる場合は、相手からの、不快をアピールするサインを見逃さないようにしましょう。

 

 また、カジサックの今回のトラブルで思ったのは、「カジサックは、怒髪天の増子さんに、イジリ方を教えてもらえばいいのに」ということです(笑)。芸人がバンドマンにイジリ方を教えてもらうというのも変な話ですが、客観的に見て、カジサックより、増子さんの方が、数段、「イジリ芸」がうまいと感じてしまうので。

 

 カジサックと宇野さんのトラブルを見て、改めて、「増子さんのイジリ芸のすごさ」を再認識しました。冗談ではなく、芸人も、増子さんの「イジリ芸」を見たら、学ぶべき点は多いのではないかと思っています。