2023年3月、日本では野球の「侍ジャパン」が盛り上がっています。
「侍ジャパン」は、WBCでの日本代表の愛称です。
今回の侍ジャパンには、初の日系人選手である「ヌートバー」が加わったことが話題になっています。
そして、ヌートバーの「ペッパーミル」のポーズも、だいぶ流行っています。
ちなみに、2022年にはサッカーのワールドカップが行われましたが、その時も、だいぶ日本国内で盛り上がりを見せました。
ラグビーのワールドカップが行われた時も、普段ラグビーを見ない人も試合を見て、やたら盛り上がっていました。
こういったことを見ると、スポーツの「国別対抗戦」となると、やたら盛り上がることがわかります。
しかし、改めて考えると、「なんでスポーツの国別対抗戦は、ここまで盛り上がるのだろう?」と疑問に思いました。
そこで今回は、自分なりに、「スポーツで国別対抗戦が人気の理由」を考えてみました。
また、色々と考えた結果、「国別対抗戦」には、デメリットもあることが分かりました。
そのデメリットについても解説し、「国別対抗戦を見る時に注意すること」についても述べていきます。
国別対抗戦が人気の理由
その国の人気選手が1つのチームに揃う
国別対抗戦が盛り上がる理由として、最初に考えられるのは、「その国の人気選手が1つのチームに揃う」という点です。
今回の侍ジャパンには、「大谷翔平」「ダルビッシュ」「村上宗隆」「吉田正尚」「山本由伸」「佐々木朗希」というスター選手が揃いました。
これらの選手は、普段は別のチームに所属しています。
しかし、「国別対抗戦」となると、1つのチームにこれらの素晴らしい選手が揃います。
やはり、人気選手が1つのチームに揃うと、まるでオールスターを見ているような気分になりワクワクします。
そういったワクワク感を得られるからこそ、盛り上がるのでしょう。
チームに対して愛着を持ちやすい
国別対抗戦となると、「国」ごとにチームが構成されます。
そうなると、「自国のチーム」に対して愛着を持ちやすくなります。
例えば、プロ野球の場合、自分の住んでいる地域にチームがあると、「自分たちのチーム」と愛着が持ちやすくなります。
「我が町のチーム」という感覚です。
国別対抗戦でも、これに近い感覚を持ちやすいのだと思います。
「我が町のチーム」ではなく、「我が国のチーム」という感じで、愛着を持って国の代表チームを応援している人は多いと思います。
「日本代表」となると、日本中の人が「我が国のチーム」という感覚を持ちやすいので、国全体が盛り上がるのではないでしょうか。
自国が勝つと、自分がほめられているような気分になる
日本代表に対して、「我が国のチーム」という感じで、愛着を持って応援している人が多いと思います。
そして、日本代表が勝ったりすると、「日本代表は凄い」と、他の国からもほめられたりします。
そうなると、日本人は、あたかも「自分自身がほめられている」ような気分になります。
厳密に言えば、凄いのは「出場している選手」であって、別に日本人全体が凄いということではありません。
しかし、「日本は凄い」と言われると、「自分も凄い」と言われているような感覚になる日本人は多いのではないでしょうか。
そういった「自分がほめられているような気分」を味わいたくて、日本代表を応援している日本人も多いと思います。
メディアが煽る
スポーツの国別対抗戦となると、「メディアがやたら煽る」という点も特徴です。
国別対抗戦は、色んなスポーツの試合の中でも、興味を持つ人が多い試合と言えます。
そのため、メディアは「ここでさらに煽ると、さらに注目が集まり、自分のメディアも注目される」と考え、国別対抗戦を煽ります。
元々の注目度が高い上に、メディアがさらに煽るため、国別対抗戦はさらに盛り上がることになります。
国別対抗戦で盛り上がりすぎることのデメリット
このような理由で、スポーツの国別対抗戦は、毎回、大きな盛り上がりを見せます。
「国別対抗戦」での良いプレーを見て、純粋に盛り上がること自体は悪いことではないと思います。
そこで盛り上がると、それをきっかけに、そのスポーツがどんどん発展していくこともあるからです。
ただ、「国別対抗戦」で盛り上がりすぎることには、デメリットもあります。
ここからは、そのデメリットについて説明していきます。
逆に、そのスポーツの発展に繋がらないことがある
国別対抗戦が行われると、「にわかファン」が沢山出てきます。
「にわかファン」という言葉は、否定的に使われることが多い言葉です。
やはり、そのスポーツを昔から真剣に見ている人からすると、「にわかファンは、軽すぎて嫌だ」と思うのでしょう。
ただ、自分としては、「にわかファン」の全てが悪いとは思いません。
「流行っているから見てみよう」ということでそのスポーツを初めて見て、そのスポーツの面白さに気づく人もいるからです。
最初は、にわかファンだったとしても、そこでそのスポーツの魅力に気づいて続けて観戦するようになれば、そのスポーツのファンが増えていくので。
ただ、問題だと思うのは、「国別対抗戦以外には、全く興味を示さないにわかファン」の存在です。
世の中には、「国別対抗戦」だけを見て、それが終わると、そのスポーツに全く興味を示さない人もいます。
メディアが「国別対抗戦」ばかり煽りすぎると、「国別対抗戦にしか興味を示さないファン」も増えたりします。
そして、そういう人ばかりになると、「国別対抗戦は盛り上がるけれど、国内のリーグ戦になると全く盛り上がらない」ということになってしまいます。
それでは、そのスポーツの発展には繋がっていきません。
「国別対抗戦しか盛り上がらない」という状況になると、そのスポーツにとっては、あまり良い状況ではないと思います。
ねじ曲がった愛国心に繋がりやすい
国別対抗戦となると、どうしても「観客の愛国心」が高まりやすくなります。
「自分の国が好きだ」という気持ちを持つこと自体は、悪いことではないと思います。
ただ、国別対抗戦を見て「愛国心」が高まると、「ねじ曲がった愛国心」を持つ人も増えます。
これが大きな問題です。
「ねじ曲がった愛国心」を持つ人は、「自分の国のチームが一番素晴らしい」と考えて、他の国のチームをやたら下に見たりします。
こういう人は、相手チームが良いプレーをしたとしても、「格下のチームのくせに生意気な」という感じで、素直にほめません。
そして、自国のチームが良いプレーをした時だけ、「さすが!」という感じで、やたらほめたたえたりします。
そうなると、「良いプレーを純粋に楽しむ」というスポーツ本来の楽しみ方が失われてしまいます。
これは良くありません。
また、元々嫌な印象を持っていた国に対して、国別対抗戦を理由に、その国自体を批判するような人もいます。
その国の選手が何かラフプレーをしたりすると「だからこの国は民度が低いんだ」と言う人もいます。
しかし、よくよく考えると、ラフプレーをしたのはその国の一人の選手だけであって、その国の人全員が酷いプレーをしている訳ではありません。
そのため、「だからこの国は民度が低いんだ」という発言は、全くの的外れと言えます。
ただ、こういう人が増えてくるのは、非常に問題です。
なぜなら、そういう人が増えると、それを聞いて「この国は民度が低いんだ」と思うような人が増えてしまうからです。
そして、そう思う人が増えると、「その国に対する偏見」が助長されてしまいます。
また、「ねじ曲がった愛国心」を持つ人は、自国のチームの選手がミスしたりすると、手のひらを返したように怒り始めます。
「こんな選手はいらない」と急に自国の選手を罵倒したりします。
そういうファンが増えると、空気が悪くなりますし、選手もやりづらくなります。
「ねじ曲がった愛国心を持つファン」は、なるべく少ない方が良いですが、「国別対抗戦」となると、悲しいことに、そういうファンが増えます。
そして、「国別対抗戦」を見ている中で、自分では気づかないうちに、「ねじ曲がった愛国心を持つファン」になっているケースもあります。
そのため、国別対抗戦を見て盛り上がっている人は、「自分は、ねじ曲がった愛国心を持っていないか」ということを自問自答した方がいいと思います。
そして、「ねじ曲がった愛国心を持ちそうになっているかも」と気づいたら、軌道修正して、「プレーそのものを楽しむ」ように心がけましょう。
「戦争」に繋がるケースもある
昔から、スポーツの国別対抗戦は、非常に盛り上がることがわかっています。
そして、その盛り上がりを利用しようとする政治家もいます。
実際、スポーツの国別対抗戦には、「愛国心を高めて、国民の一つにまとめる」効果があります。
国別対抗戦は、「国威発揚」するためには、非常に有効な手段と言えます。
そして、国全体が「国威発揚」した状態になると、戦争を始める準備が整います。
実際、ナチス政権時代のドイツでは、オリンピックが、戦争のための国威発揚に利用されました。
1936年に行われたベルリンオリンピックです。
このオリンピックでは、ドイツ選手が大活躍し、多くのメダルを獲得しました。
それにより、ドイツ国内で、国威発揚となりました。
そして、1939年9月、ドイツがポーランドに侵攻したことで、第二次世界大戦が始まりました。
ポーランド侵攻は、オリンピックが終わった3年後に起こっているため、「ベルリンオリンピック」が、直接的に第二次世界大戦のきっかけとなった訳ではありません。
しかし、このオリンピックが「戦争を始める下地作り」に一役買っていったことは間違いありません。
こういった歴史をふまえると、国別対抗戦は、下手をすると、戦争のための国威発揚に利用されるおそれもあります。
そのため、国別対抗戦に政治家が絡んできた場合は、「この政治家は、スポーツを政治利用しようとしていないか?」と疑ってみることが大切です。
そういった人が増えた方が、政治家も、国別対抗戦を国威発揚のために利用しづらくなります。
まとめ
色々と語ってきましたが、改めて考えると、スポーツの「国別対抗戦」というのは、盛り上がる要素が多い試合と言えます。
ただ、それと同時に、「盛り上がりすぎることによるデメリット」があることも忘れてはなりません。
国別対抗戦だと、「プレー以外の要素」が沢山絡んできます。
しかし、それにばかり気を取られていると、どんどん悪い方向に進んでいく可能性が高くなります。
そのため、国別対抗戦を見る時は、いつも以上に「純粋に、良いプレーを楽しむ」ことを心がけることが大切です。