しょうの雑記ブログ

ファッション、音楽、物事の考え方、おすすめの商品、食べ物、プロ野球などについて書いたブログです。

「ザ・ファースト・スラムダンク」の感想(ネタばれあり)

 2022年の12月3日(土)映画「THE FIRST SLUMDUNK」が公開されました。

 

slamdunk-movie.jp

 

 「井上雄彦氏が監督・脚本で、スラムダンクの映画が公開される」ということで、公開前から非常に話題になっていました。

 

 自分は、中学・高校時代に、スラムダンクを漫画で読んだり、アニメを見たりしていました。

 

 社会現象にもなった漫画ですし、ストーリーも面白かったので、スポーツ漫画の中では、特に好きな作品でした。

 

 そのため、映画が公開されてすぐに、映画館で映画を観ました。

 

そして、トータルとしては面白い作品だと思いました。

 

 ただ、正直、「ここはイマイチだな」と思う部分もありました。

 

 映画館に観に行って良かったとは思っていますが、「手放しではほめられないな」と思ったのも事実です。

 

 そこで今回は、「ザ・ファースト・スラムダンク」について、「良かった点」「イマイチだった点」をまとめて、詳しく感想を書いていこうと思いました。

 

 ちなみに、この記事は、ストーリーのネタバレを含みますので、「ネタバレは嫌だ」と言う方は、この先の記事は読まないようにしてください。

 

 

 

 

 

 

 

良かった点

 まずは、良かった点について語っていきます。

 

主題歌

 この映画のオープニング主題歌は、「The Birthday(ザ・バースディ)」の「LOVE ROCKETS(ラブ・ロケッツ)」でした。

 

www.youtube.com

 

 

 「バースディがスラムダンクの主題歌」と聞いて驚きましたが、実際に聴いてみると、とてもかっこいい曲に仕上がっていました。

 

 歌詞自体は、バスケやスラムダンクと関係ない歌詞でしたが、曲の雰囲気が、「試合が始まる前の高揚感」をさらに高めてくれていて、非常に合っていました。

 

 バースディの曲にはどこか不良っぽい雰囲気がありますが、それが湘北のメンバーの持つ不良っぽい雰囲気とマッチしていました。

 

 この曲が、「ワルモノ見参」という雰囲気を加速させていました。

 

 曲に合わせて、湘北のメンバーが線画で描かれていって、山王のメンバーも線画で描かれながら階段から降りてくるという演出も良かったです。

 

 本当に、素晴らしいオープニングだと思いました。

 

 エンディング主題歌は、10-FEETの「第ゼロ感」でした。

 

www.youtube.com

 

 こちらも、かっこいい曲で、とても良かったです。

 

 この曲は、そこまで速い曲ではなく、ミディアムテンポの曲です。

 

 曲のビート感がまるでバスケのドリブルのようなビート感で、バスケのアニメにはばっちりハマっていました。

 

 そして、早すぎないテンポ感も、エンディングテーマとしては合っていたと思います。

 

 ちなみにこの曲は、「コリンズ」というアルバムに収録されています。

 

 

 オープニング主題歌、エンディング主題歌ともに素晴らしく、主題歌には非常に満足しています。

 

山王戦を描いたこと

 こちらの映画は、公開前は、情報が非常に少なかったです。

 

 おそらく、東映側が、あえて情報を出さないようにしていたのだと思います。

 

 公開前は、ネットなどで、「映画では山王戦が描かれるのではないか」と噂されていました。

 

 しかし、東映側からは、ストーリーに関しては、全く情報が出ませんでした。

 

 ただ、蓋を開けてみたら、山王戦が描かれていました。

 

 山王戦を選んだことについては、個人的に、「とても良かった」と思っています。

 

 山王は、「絶対王者」で、スラムダンクの中では、最強のチームです。

 

 そういう意味では、今までのスラムダンクのストーリーの中では、「最高に盛り上がる相手」です。

 

 スラムダンクが映画になるのは本当に久々で、公開前から盛り上がっていたので、そこで、「最強の相手」を用意したのは、正解だったのではないかと思います。

 

 これが中途半端な相手だと、盛り上がりに欠けることになったのではないでしょうか。

 

絵のタッチが、井上先生の絵に近い

 昔、アニメ版のスラムダンクも見ていましたが、見ていて、「井上雄彦先生の絵のタッチとあまりにも違うこと」に違和感を持ちました。

 

 アニメだと、沢山の人が絵を描くので、どうしても井上先生の絵のタッチと違ってきてしまうのでしょう。

 

 「もう少し井上先生の絵に近づけられないのかな」と、ずっと思っていました。

 

 しかし、この「ファースト・スラムダンク」は、アニメ版と全く違う絵のタッチになっていました。

 

 アニメ版にくらべて、かなり井上先生の絵に近いタッチになっていました。

 

 やはり、「絵のタッチの素晴らしさ」も井上先生の大きな魅力なので、映画の絵のタッチが井上先生の絵と近くなっていたのは嬉しかったです。

 

CGアニメにしたこと

 この映画は、CGアニメとなっています。

 

 最初、「映画版のスラムダンクはCGアニメになる」と聞いた時、「スラムダンクがCGになると、違和感が出るのではないか?」と少し不安でした。

 

 CGアニメだと、動きがちょっと独特だったりするので。

 

 映画を観始めてすぐは、CG特有の独特な動きに、少し違和感がありました。

 

 しかし、続けて観ているうちに、段々と気にならなくなってきました。

 

 そして、徐々に、「CGならではの迫力は、なかなか良いな」と感じるようになりました。

 

 この映画は、アニメ映画ですが、アニメ映画を見ているというより、「実際のバスケの試合を見ている」ような感覚になります。

 

 これは、CGを使ったことによる効果が大きいと思います。

 

 CGを使ったことで、試合場面での迫力が増しています。

 

 結果的には、「この映画は、CGアニメにして正解だ」と思いました。

 

試合の最後のシーンの無音の演出

 漫画のスラムダンクを読むと、山王戦のクライマックスシーンでは、ほとんどセリフが出てきません。

 

 それにより、「試合の緊迫感が増す」という効果がありました。

 

 その場面を映画でどう表現するのか、興味がありました。

 

 実際に映画を見ると、その場面は、「無音」という演出が施されていました。

 

 「無音」にすることで、「試合終盤の緊迫感」「選手が試合に集中している感じ」がうまく表現されていました。

 

 この「無音」の演出は、とても良かったと思います。

 

 

 

 

 

イマイチだった点

 次に、イマイチだった点についても語っていきます。

 

宮城が主人公だったこと

 今回の映画の主人公は、桜木花道ではなく、宮城リョータでした。

 

 事前に情報が出ていなかったので、映画館で宮城が主人公になっているのを見た時は、驚きました。

 

 映画を見終わった直後は、「まあ、宮城が主人公というのも、斬新だし、これはこれで面白いな」と思いました。

 

 でも、その後、よくよく考えてみると、自分の中では、「やっぱり宮城が主人公ではない方が良かった」と思いました。

 

 個人的には、桜木花道を主人公にして映画を作ってもらった方が、満足感が高かったかなと思います。

 

 桜木のキャラが好きということもありますが、桜木を主役に据えた方が、より他のキャラが輝くような気がしています。

 

 宮城に関しても、主役よりも、「脇で支える」方が輝くキャラなのかなと思います。

 

桜木が脇役になっている

 漫画版のスラムダンクの主役は、当然ながら桜木花道です。

 

 そして、漫画の山王戦は、桜木花道を主軸に、ストーリーが進んでいきます。

 

 映画版の山王戦も、漫画の話をベースにしているので、漫画と同じように試合が進んでいきます。

 

 しかし、映画版の主役は宮城なので、宮城を中心に試合が進んでいきます。

 

 そのため、漫画版と比べ、桜木の存在感が薄くなっています。

 

 桜木が活躍するシーンも、沢山描かれていますが、映画版では、どうしても「脇役」という印象は拭えません。

 

 山王戦では桜木が大活躍するのに、それでも存在感が薄いというのは、なんだか見ていてモヤモヤしました。

 

桜木の「大好きです。今度は嘘じゃないっす」のシーンがない

 漫画では、山王戦で背中を痛めてベンチに下がっていた桜木が、晴子さんに対して、「大好きです。今度は嘘じゃないっす」と言うシーンがあります。

 

 晴子さんに対する告白かと思わせておいて、実は「バスケが大好き」と言っているシーンです。

 

 これは、スラムダンクの第一話ともリンクする言葉で、スラムダンクの中でも人気の高い名言です。

 

 しかし、映画では、このセリフはカットされていました。

 

 おそらく、映画で宮城を主役に据えたことによって、「この桜木のセリフはカットしよう」という判断が下されたのだと思います。

 

 しかし、せっかく山王戦を映画で描いているのに、この名言がカットされていたのは、非常に残念でした。

 

宮城の過去が重すぎる

 この映画では、山王戦と並行して、「宮城の過去」が明らかになりました。

 

 宮城の出身地は、沖縄でした。

 

 そして、宮城は、幼い頃に父を亡くしています。

 

 さらに、続けて、一緒にバスケをしていた兄も海難事故で亡くしました。

 

 その後、宮城一家は、沖縄から神奈川県に移り住みます。

 

 しかし、宮城は、学校にもなじめません。

 

 そんな中で、「バスケだけが生きる支え」でした。

 

 こういった話を映画で観た直後は、胸にジーンとくるものがありました。

 

 ただ、その後、よくよく考えてみると、「宮城の過去を、ここまで重くする必要はあったのか?」という疑問が湧いてきました。

 

 漫画の中では、宮城は、「生意気なお調子者」というキャラです。

 

 正直、漫画の中では、そんな過去がある素振りは一切見せていません。

 

 それなのに、映画の中で、「実はこんな過去があった」と言われても、「え、漫画では、そんな過去があったような雰囲気には見えなかったけど?」と、違和感を覚えてしまいます。

 

 映画の中で、宮城の過去を描くということ自体は、面白い試みだったと思います。

 

 ただ、自分としては、「ここまで重い過去にする必要はなかったのでは?」と感じてしまいます。

 

 宮城の過去を描くにしても、もう少しライトな過去にしてくれた方が、受け入れやすかったかなと思います。

 

 漫画の宮城と、今回の映画の宮城では、あまりにギャップがありすぎます。

 

桜木と安西先生と流川の声がしっくりこなかった

 映画公開の少し前、「アニメ版の声優ではなく、新しい声優がキャスティグされる」と発表されました。

 

 このことについて、ネット上では、結構炎上していました。

 

 「なじみのあるアニメ版の声優を継続してほしかった」「公開の直前になって声優が変わると言われても戸惑う」「声優が変わるのであれば、もっと前に発表してほしかった」といった感じで、批判されていました。

 

 自分としては、「新しい声優がキャスティングされる」という話を聞いた時は、「まあ、いいんじゃない?」という意見でした。

 

 アニメが放送されていたのは相当前ですし、「新しいスラムダンクを作る」という意味では、声優さんを一新するというというのも一つの手だなと思ったからです。

 

 実際に映画で声を聞いてみると、新しい声優さんでも、「キャラと声が合っているな」と思う人が多かったです。

 

 ただ、個人的には、「桜木と安西先生と流川の声がなんだか合っていないな」と感じました。

 

 桜木の声は、「男前すぎる」ような気がしました。

 

 桜木は、かっこいいことを言う時もありますが、基本的には、おちゃらけたキャラです。

 

 新しい声優さんには、その「おちゃらけた雰囲気」が少ないように感じました。

 

 桜木のそういった部分が好きだったので、おちゃらけた雰囲気があまり感じなかったのは残念でした。

 

 安西先生の声も、ちょっと重すぎる感じで、なんだかしっくりこなかったです。

 

 安西先生は、シリアスな部分もありながら、それと同時にユーモアもあるキャラクターです。

 

 新しい声優さんの声には、「重厚さ」や「シリアスさ」を感じましたが、「安西先生の持つユーモア」は感じませんでした。

 

 そのため、安西先生の言葉が、どこか冷たい印象になってしまいました。

 

 もう少し、「ユーモア感」を声で表現してほしかったです。

 

 また、流川は、声が低すぎて、「ここまで低い声でなくてもいいのでは?」と思ってしまいました。

 

 桜木と安西先生と流川に関しては、個人的には、アニメ版の声優さんの方が合っていたと思いました。

 

三井の「バスケがしたいです」のシーンがない

 映画の中では、宮城の過去を描く際に、「グレていた頃の三井寿とのケンカシーン」も描かれていました。

 

 そして、三井がバスケ部に復帰する場面も描かれていました。

 

 しかし、それにも関わらず、三井が安西先生に対して言った「バスケがしたいです」という名言がカットされていました。

 

 「バスケがしたいです」は、スラムダンクの名言の中でも、1、2を争うような名言と言われています。

 

 せっかく三井がバスケ部に復帰するシーンを描いたのであれば、「バスケがしたいです」という名シーンも入れてほしかったです。

 

流川の存在感が薄すぎる

 流川は、漫画の中では、「桜木のライバル」として描かれていて、「桜木花道と並ぶ、もう一人の主役」と言ってもいいような存在です。

 

 漫画の中では、流川は、桜木に負けないくらい目立っていました。

 

 しかし、今回の映画では、非常に存在感が薄かったのが残念です。

 

 「沢北との対決」も、なんだかやたらあっさり描かれていて、拍子抜けしました。

 

 流川ファンの人は、存在感が薄すぎて、がっかりしたのではないでしょうか。

 

アメリカで、沢北と宮城が対戦しているシーンの違和感

 この映画は、アメリカに渡った沢北が、同じくアメリカに渡った宮城と試合をしているシーンで終わります。

 

 これは、漫画の中にはないシーンです。

 

 このシーンを見た時、「え、宮城もアメリカに渡ったの?」と驚きました。

 

 しかし、映画を見終わった後、少し考えてみたところ、「宮城がアメリカに渡るのは、なんだか違和感があるな」と思いました。

 

 沢北は、王者山王の中でもトップクラスにうまい選手で、スモールフォワードの中では、高校ナンバーワンと言って良い選手です。

 

 そういう選手がアメリカに渡るのは納得できます。

 

 対する宮城は、神奈川県のポイントガードの中でも、トップ3に入るかどうかも微妙な選手です。

 

 神奈川のポイントガードでは、牧が1番でしょう。

 

 2番手は、藤真でしょうか。

 

 宮城は、せいぜい3番手でしょう。

 

 そして、仙道をポイントガードとしてカウントすると、宮城は4番手に落ちてしまいます。

 

 ポジションの違いはありますが、沢北と宮城には、圧倒的な実力差があります。

 

 神奈川でも3~4番手のポイントガードの宮城が、アメリカに渡って、高校ナンバーワンと言っても良い沢北と同じ土俵で対戦しているのは、ちょっと無理があるような気がします。

 

 「何で急に宮城が覚醒したの?」と疑問に思い、なんだかモヤモヤします。

 

 そのため、正直、あのシーンは、なくてもよかったのではないかと思います。

 

 

 

 

 

まとめ

 「ザ・ファースト・スラムダンク」の感想を詳しく書いていきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 今回は、「良かった点」も書きましたが、つい、「イマイチだった点」を沢山書いてしまいました。

 

 ただ、誤解してほしくないのは、「イマイチだった点」を沢山列挙してしまいましたが、トータルとしては、おおむね満足しているということです。

 

 自分は、リアルタイムでスラムダンクを読んでいた世代なので、スラムダンクに対する思い入れが強いです。

 

 そのため、細かな点が気になってしまい、ついつい「イマイチだった点」を色々書いてしまいました。

 

 今回、「良かった点」の数自体は少なくなりましたが、少ない中でも、キラリと光る部分がありました。

 

 今回の映画は、多少の不満点はあったものの、「久々に新しいスラムダンクの作品を鑑賞できた」という喜びが一番大きいです。

 

 スラムダンクの1ファンとしては、「映画という形でスラムダンクを復活させてくれたこと」には感謝しています。

 

 井上雄彦先生と映画作成のスタッフの方々に、「ありがとう」と伝えたいです。

 

 色々と大変だったと思いますが、お疲れ様でした。

 

 また、この映画を見て、「映画製作の裏側をもっと知りたい」と思った方は、「ザ・ファースト・スラムダンク・リソース」という本も読んでみてください。

 

 

 この本を読むと、この映画を製作するにあたって、かなりの時間と労力がかかっていることがわかります。

 

 この本の中で、井上先生のインタビューも読むことができます。

 

 このインタビューを読んで、映画に対する井上先生の思いは、非常に熱いなと感じました。

 

 また、この映画を観て、「漫画の山王戦も読みたいな」と思った方は、ぜひ、漫画でも読んでみてください。

 

 漫画の方も、非常に面白いです。