2023年1月29日(日)にTOKYO FMで放送された、「村上RADIO」を聴きました。
この回は、「1980年代のヒットソング特集」でした。
かなりベタな選曲で、「こういうベタな選曲の村上RADIOも面白いな」と思い、気楽な感じで聴いていました。
番組後半になり、エンディングが近づいてきました。
そして、番組の最後で、「今日の言葉」と言って、ロシアのプーチン大統領の言葉を紹介していました。
それに対して、村上氏ならではの鋭い意見を言っていて、それが強く印象に残ったので、ブログで紹介します。
ちなみに、番組で紹介していたプーチン大統領の発言は、以下の内容です。
ニューヨークタイムズによれば、彼(プーチン大統領)は、ウクライナの戦争で息子が戦死したある母親に、面と向かってこう言ったそうです。
「このロシアでは、年間何万人もの人がアルコール乱用や交通事故で命を落としています。あなたの息子さんは、ウォッカの飲みすぎなんかで死ぬより、ずっと意味ある死に方をしたのです。」
このプーチン氏の発言に対して、村上氏は、こう発言していました。
まったく凄いことを言いますよね。
でもね、こういうのって巧妙なロジックのすり替えなんです。
だって、ウォッカや自動車は、本来、人を殺すために作られたものじゃありません。
あくまで、付随的な、アクシデンタルな結果として、不幸にして人が亡くなるという結果が生まれる訳です。
でも、戦争はそうじゃない。
戦争は基本的に、人を殺傷することを目的として行われる行為です。
そういう、本来は同じレベルに置くべきではない事柄を並べて、比較することで、物事をねじ曲げて、正当化していく。
これはなにもロシアだけではなく、戦争に携わる国の指導者がしばしば行うごまかしです。
そして、彼ら自身は決して戦場には行きません。
みなさんもね、そういう連中に言いくるめられないよう、十分、気をつけて下さいね。
これを聴いて、「なるほど」と感心しました。
確かに、戦争で亡くなるのも、ウォッカの飲みすぎで亡くなるのも、交通事故で亡くなるのも、「亡くなった」という結果は一緒です。
しかし、これらは、本来は、同じレベルで考えて良いものではありません。
「人を殺す目的はなかったが、アクシデントにより人が亡くなってしまった」というのと、「人を殺す目的で、人が亡くなってしまった」というのは、全く質の違うものです。
「人を殺す目的で行っている」という意味で、後者の方が、より悪質です。
しかし、プーチン氏のような権力者は、「人が亡くなったという結果は一緒」ということを利用して、戦争を正当化しようとしています。
これは、非常に問題のある行為です。
このように、プーチン氏に限らず、戦争をしたい権力者は、「いかにも、もっともらしい理屈」を使って、戦争を正当化しようとします。
深く考えないと、そういった理屈に、つい騙されそうになってしまいます。
しかし、村上氏のように、立ち止まって少し冷静に考えてみると、「その理屈は、ちょっとおかしいぞ」ということに気づきます。
今回の村上氏の発言を聴いて、今後、権力者がもっともらしいことを言っていたら、「本当にそうか?」と一度疑ってみることが重要だと感じました。
一度疑ってみて、自分の頭で考えてみることが大切だなと思います。
また、戦争を行う権力者に限らず、「権力者が使う、もっともらしい理屈」に騙されないようにしたいものです。
村上氏の発言を聴いて、改めて、日本の権力者に対しても、こういったスタンスで向き合うことが重要だと感じました。