しょうの雑記ブログ

ファッション、音楽、物事の考え方、おすすめの商品、食べ物、プロ野球などについて書いたブログです。

ブルーハーツ「月の爆撃機」の歌詞の考察

 ブルーハーツの「月の爆撃機」の歌詞の考察を行います。

 

 「月の爆撃機」は1993年にリリースされたアルバム「STICK OUT」に収録されている曲です。

 

 

 

 

 また、一部のベスト盤にも収録されています。

 

 

 

 

 ブルーハーツの中では、後期の曲です。

 

 初期のブルーハーツの曲は、歌詞がストレートでわかりやすいものが多いです。

 

 初期の曲は歌詞がわかりやすいので、一度聴いただけで、すぐに歌詞の意味が頭に入ってきます。

 

 しかし、後期になると、結構、比喩的な表現が入ってきたりします。

 

 そのため、後期の曲は、パッと聴いただけでは、「これは、何のことを言っているのだろう?」と思うことが多いです。

 

 「月の爆撃機」の歌詞は、特に難しい単語が使われている訳ではありません。

 

 しかし、パッと聴いただけだと、「爆撃機のパイロットについて歌っているようだけれど、果たしてそれだけの意味なのか?」とちょっと疑問に感じたりします。

 

 初期の「リンダリンダ」「終わらない歌」のように、「一度聴いただけで、歌詞がダイレクトに胸に刺さる」といった感じではありません。

 

 そう考えると、「月の爆撃機」は、ブルーハーツの中では「意味がちょっとわかりにくい曲」です。

 

 しかし、じっくり聴き込んで、歌詞の意味を分析していくと、「リンダリンダ」や「終わらない歌」にも負けない強烈なメッセージが隠されていることがわかります。

 

 そこでここからは、「月の爆撃機」の歌詞について、深く考察していきます。

 

 ちなみに、この曲の作詞作曲は、甲本ヒロトです。

 

 歌詞の全文は、以下のサイトで見ることができます。

 

www.uta-net.com

 

 

 

 

 

 

 

爆撃機のパイロットの「決意表明」

 この曲の主人公は、おそらく、「爆撃機のパイロット」です。

 

 冒頭の歌詞は、爆撃機のパイロットの「決意表明」から始まります。

 

 まずはその冒頭の歌詞を見てみましょう。

 

ここから一歩も通さない

理屈も法律も通さない

誰の声も届かない

友達も恋人も入れない

 

 これは、「自分のことは、自分で決める」という強い決意表明です。

 

 自分で何か決めようとしても、理屈で言いくるめようとする人が出てきます。

 

 また、法律によって止められそうになることもあります。

 

 そして、友達や恋人が「やめなよ」と言ってくることもあります。

 

 しかし、この歌詞からは、「理屈、法律、友達、恋人が辞めさせようとしても、自分が決めたことは絶対曲げない」という強い意志が感じられます。

 

曲のキーになるフレーズ

 冒頭の決意表明が終わると、その後、曲のキーになるフレーズが出てきます。

 

手掛かりになるのは 

薄い月明り

 

 この時点では、聴き手は、「パイロットが、月の明りを手掛かりに飛行機を操縦しているのかな?」と考えるでしょう。

 

 しかし、この後、曲が進むにつれて、このフレーズに別の意味が含まれてきます。

 

「街の人からの視点」に切り替わる

 その後は、パイロットの視点ではなく、「爆弾を落とされる町の人からの視点に切り替わります。

 

あれは伝説の爆撃機

この街もそろそろ危ないぜ

どんなふうに逃げようか

全ては幻と笑おうか

 

 曲の途中で視点が切り替わるというのは、初期のブルーハーツの歌詞ではあまり見られない手法です。

 

 そう考えると、ブルーハーツの後期は、ヒロトの歌詞の書き方も、初期と比べて変わってきていることがわかります。

 

また、曲のキーとなるフレーズが登場

 ここでもまた、曲のキーとなるフレーズが出てきます。

 

手掛かりになるのは 

薄い月明り

 

 この時点でも、『薄い月明り』の意味は、まだはっきりわかりません。

 

「パイロットの視点」にまた切り替わる

 ここでまた、歌詞が「パイロットの視点」に切り替わります。

 

僕は今 コクピットの中にいて

白い月の真ん中の 黒い影

 

錆びついたコクピットの中にいる

白い月の真ん中の 黒い影

 

 『白い月の真ん中の 黒い影』という歌詞から、戦闘機が晴れた夜空を飛んでいる様子がわかります。

 

 なかなか詩的で美しい表現です。

 

 「白と黒」で対比させているところも見事ですね。

 

 どちらかというと、ヒロトよりも、マーシーの方がこういった詩的な表現は得意なイメージがありました。

 

 ヒロトからこういった詩的な表現が出てくるのは意外ですが、キャリアを重ねる中で、作詞家としての引き出しが広がってきていることを感じます。

 

 そして、注目すべきは、『錆びついたコクピットの中にいる』という部分です。

 

 このことから、主人公が乗っている戦闘機は、最新型ではないことがわかります。

 

 使い古されていて、あまり性能の良くない戦闘機だと思われます。

 

 そういった戦闘機を操縦して、主人公は戦闘に向かっている訳です。

 

 使い古された戦闘機で向かわなければならないので、かなり不安もあることでしょう。

 

再び「決意表明」が出てくる

 曲の冒頭は、「パイロットの決意表明」から始まりました。

 

 そして、曲の後半でもまた、「決意表明」が出てきます。

 

いつでもまっすぐ歩けるか

湖にドボンかもしれないぜ

誰かに相談してみても

僕らの行く道は変わらない

 

 ここで少し引っかかるのは、『いつでもまっすぐ歩けるか』という歌詞です。

 

 パイロットのことを歌っていたのに、「なんで、『まっすぐ歩けるか』なの?」「パイロットのことを歌っているなら『まっすぐ飛べるか』じゃないの?」という疑問が湧いてきます。

 

 しかし、少し考えてみると、「ああ、この歌に出てくるパイロットというのは、比喩表現なんだ」ということがわかります。

 

 ヒロトは、パイロットのことを歌いたいというより、「怖がりながらも、自分を信じて進む人のことを歌いたいんだ」ということがわかります。

 

 パイロットというのは、「怖がりながらも、自分を信じて進む人」の一例として出しているに過ぎないと思います。

 

 だからこそ、飛行中のパイロットにはふさわしくない『まっすぐ歩けるか』という言葉を使っているのでしょう。

 

 この『まっすぐ歩けるか』という言葉は、ヒロトがパイロットに向けて言っているのではなく、「怖がりながらも、自分を信じて進んでいる全ての人」に向けた言葉です。

 

 『湖にドボン』というのも、パイロットが湖に落ちるという意味だけではありません。

 

 「自分を信じて進んでいたけれど、失敗する」ことの例えです。

 

 もちろん、自分を信じて進んでいても失敗することはあります。

 

 しかし、ヒロトは、「失敗する可能性もあるけど、それでも自分を信じて進む覚悟はあるのか?」と聴き手に問いかけています。

 

 その後、『僕らの行く道は変わらない』という歌詞が出てきます。

 

 この歌詞は、『僕』ではなく『僕ら』になっている点が重要です。

 

 パイロットのことだけを歌っているのであれば、『僕の行く道は変わらない』という歌詞になるはずです。

 

 しかし、実際には、『僕の行く道は変わらない』と歌っています。

 

 これは、パイロットのことだけを歌っているのではないという一つの根拠になります。

 

 まっすぐ歩けるか』『僕の行く道は変わらない』という歌詞を見ると、この歌は、パイロットのことだけを言っているのではなく、多くの人に向けられたメッセージであることがはっきりわかります。

 

 そして、『誰かに相談してみても 僕らの行く道は変わらない』というのは、冒頭の決意表明とほぼ同じ意味です。

 

 「仮に誰かの話を聞いたとしても、最終的に決めるのは自分だ。誰かの意見で自分の方針を変えることは絶対にしない」という強い決意表明をここでもしています。

 

「薄い月明り」の意味

 ここでまた、曲のキーとなるフレーズが出てきます。

 

手掛かりになるのは

薄い月明り

 

 ここでやっと、『薄い月明り』に込められた意味がなんとなくわかってきます。

 

 この薄い月明り』というのは、おそらく、「自分の直感」のことです。

 

 ヒロトは、「自分の直感を信じて、その通りに進め」と言っているのです。

 

 「直感」というのは、大抵、それが正しいのか、はっきりわからなかったりします。

 

 なぜなら、直感は、「なんとなくこっちの方がいいのではないか?」という形で浮かんでくるからです。

 

 そういう曖昧なものなので、「自分の直感を信じていいのか?」と不安になったりします。

 

 そして、不安だと、「自分は、なんとなくこっちの方がいいと思う」と人に相談してしまったりします。

 

 しかし、人に相談すると、「そう思った根拠はあるの?」「直感だけで決めていいの?」と否定されることがよくあります。

 

 そうなると、余計に、「自分の直感は、間違っているのかな?」と不安になったりします。

 

 しかし、ヒロトは、この曲の中で「その直感を信じなさい」と歌っています。

 

 ヒロトは、「『薄い月明り』のようにはっきりしない直感だったとしても、自分がそう感じたのであれば、その方向に進め」と言っています。

 

 そして、「誰かに止められたとしても、自分の直感は曲げるな」とも言っています。

 

 そのメッセージは、「自分の信じた道を進みたい」と思っている人を、非常に勇気づけてくれます。

 

 

 

 

まとめ

 ブルーハーツ「月の爆撃機」の考察を行ってきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

 この曲は、「パイロット」主人公の曲ですが、「パイロット」というのは、あくまで比喩表現に過ぎません。

 

 「爆撃機に乗るパイロットの気持ちを歌った歌」と見せかけて、実は、「怖がりながらも自分を信じて進む全ての人の気持ちを歌った歌」となっています。

 

 この「ダブルミーニング」のテクニックは、作詞家としてとても素晴らしいです。

 

 そして、そういったテクニックだけでなく、実際にそういう人の背中を押してくれる熱いメッセージが込められているところが本当に素晴らしいと思います。

 

 ヒロトは、「自分の直感を信じ続けて進んできた人」です。

 

 そして、そうすることで、成功を収めています。

 

 しかし、その中で、「自分の直感を信じていいのかな?」と不安になったり、「失敗したらどうしよう」と怖くなったこともあるでしょう。

 

 しかし、「そういう不安や恐怖を背負ってでも、自分の直感を信じて進んだ方が面白い」と実感しているはずです。

 

 そういう経験があるからこそ、この歌を通して、「君も、自分の直感を信じてやってみなよ。その方が楽しいよ」と伝えたいのだと思います。

 

 この曲は、「決意表明」の歌なので、ある種の厳しさや悲壮感が漂っています。

 

 しかし、厳しさや悲壮感が漂いながらも、「直感を信じて進んでいる人の背中を押す」という意味では、優しさも感じます。

 

 厳しい中にも、しっかり優しさがあるのは、ヒロトの人柄だと感じます。

 

 そういう人だからこそ、これだけ沢山の人の心を掴むのでしょう。

 

 やはり、人としての器が大きいと感じますね。

 

 また、この曲は、バンドメンバーの関係性が少しぎくしゃくしてきたと言われる時期にリリースされたので、それも、曲に悲壮感が漂う要因の一つだと思います。

 

 きっと、メンバーの目指す方向性が食い違って、意見が対立することもあったでしょう。

 

 しかし、そういう時期だからこそ、ヒロトの中で余計に「自分の直感を信じて進むんだ」という気持ちが強くなっていたのだと思います。

 

 だからこそ、「絶対に自分の意志を貫く」といった悲壮感が、この曲の中に強く漂っているのだと思います。

 

 こういう感じで色々と語ってきましたが、一つ注意してほしいのは、この考察はあくまで自分の解釈なので、合っているかはわかりません。

 

 ヒロトの意図とは違った解釈をしている可能性もあります。

 

 ただ、そう言いながらも、あながち間違いではないとも思っています。

 

 そのため、この記事を読んで「そういう解釈もあるのか」と思った方は、ぜひもう一度、「月の爆撃機」を聴き直してみてください。

 

 そうすると、「月の爆撃機」が、また違った印象になるはずです。

 

 そして、聴き直した後に、「このブログではこう言っていたけど、自分はこういう意味だと思う」という自分なりの解釈を加えてみると、さらに面白いと思います。