突然ですが、「レンタルなんもしない人」をご存じでしょうか?
知っている人も、知らない人もいるかと思いますが、「レンタルなんもしない人」という名前が、かなりインパクトがあると思います。
個人的に、「レンタルなんもしない人」については、「面白い活動をしているな」と思い、メディアを通じて、活動を見てきました。
最近は、メディアなどにも出ていて、少しずつ知名度も上がってきているようです。しかし、まだまだ知らない人も多いと思います。
そこで今、今回は「レンタルなんもしない人」について、説明していきます。
「レンタルなんもしない人」とは
「レンタルなんもしない人」とは、「森本祥司さん」という方が始めた、レンタルサービスのことです。
森本さんは、2020年1月時点で、30代後半の男性です。
レンタルといっても、何を貸し出すのかというと、「何もしない自分」を貸し出すというサービスです。
ただ、サービスと言っても、依頼があれば、依頼者のところに行って、「ただそばにいる」だけです。
そばにいるだけで、何もしないので、「なんもしない人」ということです。
また、「レンタルなんもしない人」という名前はちょっと長いので、「レンタルさん」と省略して呼ばれることもあります。
依頼は、Twitterで受け付けているとのことです。
サービスを開始した当初は、無料でレンタル活動を行っていましたが、現在は、有料で、「1回、1万円」となったようです。
「何もしないのに1万円も取るの?」と思う方もいるでしょうが、1万円でも、結構依頼はあるようです。
最初は、「訳わからないことをやっている人」という感じでしたが、ネットを通じて、徐々に存在が知られていくようになります。
そして、有名になるにつれ、テレビなどのメディアにも出るようになります。
現在、Twitterでは、24万人を超える沢山のフォロワーがついています。
また、有名になったことで、本も出版されました。
森本さんが「レンタルなんもしない人」を始めた当初は、「ニートが変なことやってる」とか、「真面目に働け」という批判が多かったような印象です。
しかし、有名になるにつれ、「面白い」と好意的に見る人が増えてきているような印象があります。
僕は、森本さんがこのサービスを始めた最初の頃から、メディアを通じて、森本さんの活動を見てきましたが、最初から「個性的で面白い」と思って、活動を見てきました。
そして、現在、ここまで支持する人が増えていることについては、良いことだと思いますが、同時に驚きもあります。そして、「これからさらに、どうなっていくのだろう」という興味もあります。
「レンタルなんもしない人」を始めたきっかけ
しかし、よくよく考えると、「なんで、こんな変わった活動をしようと思ったのだろう?」という疑問が湧いてきます。
このインタビューを読むと、「レンタルなんもしない人」を始めたきっかけがよくわかります。
森本さんは、大学を卒業後、出版社で働いていました。
しかし、会社勤めが苦手で、退社します。
その後は、フリーランスとして働いたりもしましたが、「同じ仕事を続けること」に嫌気がさしたとのこと。
そこで、「自分は、会社が嫌なんじゃなくて、働くこと事態が向いてないんだ」と気づいたとのことです。
そこで、自分の子どもを見た時に、「子どもは何もしてなくても、いるだけで十分。みんなこうだったらいいのに」と思ったそうです。
「ツァラトゥストラはかく語りき」の存在
そんな時に森本さんが出会ったのが、哲学者ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」という本です。
この本は、山中にこもっていた主人公ツァラトゥストラが神の死を知って下山し、人々に説教するという物語です。
本では、人がどんな運命でも肯定的に受け止められる超人へと生まれ変わる中で、精神は「ラクダ」→「ライオン」→「赤ん坊」へと変わると書かれています。
この本を読んで、森本さんは、こんなことを思ったそうです。
純粋無垢な存在であるがゆえに新しい価値観を生み出すことができる赤ん坊。人間が目指すべきところはこういうことなんだと悟りました。
要は、「働かないで、ありのままでいること」が、ニーチェの言う「赤ん坊になること」だと考えたということです。
森本さんは、「働くこと」について、このように語っています。
この世の中、働いてお金を受け取らないかぎり、生きていけないとされています。でも、だとしたら僕はしんどいなって思ったんです。人は果たして、何もしないで生きていけるんだろうか。そうした実験を自らやっているんです。
つまり、「働かないでどこまでやっていけるか」という実験で、「レンタルなんもしない人」の活動を始めたということです。
「プロ奢ラレヤー」の存在
また、森本さんがこの活動を始めるにあたっては、ニーチェの本だけではなく、「プロ奢ラレヤー」の存在も大きかったようです。
「プロ奢ラレヤー」とは
「プロ奢ラレヤー」とは、「奢られること」で生活をしている方です。
「自分に奢りたいやつがいれば、奢りに来い」というスタンスで活動しています。
奢られる側なのに、下手に出ず、「奢りに来い」と強気に出ているところが個性的です。
その個性的な活動で、支持する人も増えています。
「プロ奢ラレヤー」は、Twitterもやっています。
2020年の1月時点で、9万人以上もフォロワーがいます。
「プロ奢ラレヤー」が、「レンタルなんもしない人」のヒントに
森本さんは、ネットのニュースを見て、プロ奢ラレヤーの存在を知ったとのこと。
そこでこう思ったそうです。
『自分はここにいるからおごりに来い』っていうのがすごいなと。僕は性格上、図々しいことは苦手なので、『何もしない』っていうことならできるなと。それで始めました。
つまり、「ニーチェの本」と「プロ奢ラレヤーの存在」がヒントになり、「レンタルなんもしない人」の活動が始まったということです。
こういうことが始めるきっかけとなっているというのも、なかなか面白いですね。
レンタルさんが、多くの人から支持を得られた理由
今では、多くの人の支持を得ているレンタルさんですが、なぜここまで支持する人が増えたのでしょうか?
その理由について、自分なりに考察してみました。
「レンタルなんもしない人」という名前のポップさ
まず、「レンタルなんもしない人」という名前は、すごくポップでいいなと思います。
長い名前ですが、この名前を見ると、「レンタルする」「なんもしない」というように、活動の内容がパッと頭に入ってきます。そして、インパクトもあります。
また、「なにもしない」ではなく「なんもしない」という言葉を選んだのもポイントです。「なにもしない」より、「なんもしない」の方が、砕けた感じで、親しみやすさがあります。
「レンタルなんもしない人」という名前をつけたことも、ここまで人気が出た理由の一つではないかと思っています。
「いつも同じ洋服を着ている」という、キャラクターのわかりやすさ
レンタルさんの画像を見ていると、着ている洋服は大体決まっています。
「青のワークキャップ」がトレードマークになっていて、いつもかぶっています。
ズボンは、細身のベージュのパンツか、ジーンズを履いています。
トップスは、「夏場は白のTシャツ、春や秋はグレーのパーカー、冬場はその上に黒のマウンテンパーカーを着る」というスタイルです。
このように、服装のパターンは大体決まっていて、大きく変わることはありません。
服装が固定されていると、キャラクターがわかりやすくなり、「キャラ立ち」しやすくなります。
「服装を固定して、キャラをわかりやすくしている」というのも、人気が出た要因の一つかなと思っています。
情報発信の場に「Twitter」を選んだ
レンタルさんがここまでの人気を得た背景には、「ネットの拡散力」も大きく影響しています。
レンタルさんは、Twitterを使って情報発信をしています。
Twitterというのは、「情報の拡散力」が非常に高いツールです。
「リツイート」機能があることで、つぶやきが沢山リツイートされると、非常に多くの人に情報を伝えることができます。
レンタルさんが、情報発信の場として「Twitter」を選んだことは、「広く知ってもらう」という点では、正解だったのかなと思います。
沢山リツイートされて、Twitter上で話題になったことで、大手メディアにもその情報が届いて、テレビにも出るという流れになったのではないかと思います。
そして、テレビなどの大手メディアに出ることで、知名度はさらに上がることとなりました。
行動力
レンタルさんは、「なんもしない」と言いつつ、その行動力はすさまじいと思います。
彼は、自分の活動を、ツイッターで報告しています。
それを見ると、「本当にフットワークが軽く、様々な依頼を受けて、様々な場所に行っている」ことがわかります。
活動の報告を見ると、訳のわからないような依頼にも応じています。普通の人だったら、「こんな訳わからない依頼、受けていいのか? 怪しいんじゃないか?」と思うようなものも多いです。
しかし、レンタルさんは、そういう依頼に対しても「面白そう」と思ったら、パッと行っているような印象があります。
その行動力は、素晴らしいと思います。これは、なかなかできることではありません。
そういった、「面白いと思ったら、すぐに行動に移す」といった行動力があるからこそ、ここまで人気が出たのだと思います。
「日本社会の窮屈さ」の裏返し
レンタルさんの人気がここまで高まった背景には、「日本社会への不満」を持つ人が多いということも、要員の一つだと思います。
日本社会は、見ていて、「窮屈な側面が多い社会」だと思います。欧米社会に比べて、「既存の価値観にとらわれず、好きなことをしている人」に対して、批判が集まりやすい社会です。
そのため、日本社会の中では、何かやりたいことがあっても、「こんなことをしたら、周囲から批判されるかもしれない」と考え、やりたいことをやれない人が多いです。
そういった、「窮屈な日本社会」に対して、不満を持っている人は、沢山いると思います。
しかし、そんな中で、レンタルさんの活動を見ていると、「やりたいことを自由にやっている」ように見えます。
レンタルさんの活動は、今までにない新しい活動なので、日本社会の中では、批判する人も多いでしょう。
しかし、その批判も恐れず、やりたいことを貫いています。その姿勢に対して、憧れたり、「いいな」と思う人は多いはずです。
そういった、「日本社会に対する窮屈さ」に違和感を持っている人の多くが、レンタルさんの活動を支持していると思います。
レンタルさんがここまで有名になったのは、「自由にやりたいことができない日本社会」の裏返しだと言うこともできます。
日本社会が窮屈だからこそ、レンタルさんに憧れる人が増えているのだと思います。
まとめ
「レンタルなんもしない人」について、色々と語ってきましたが、いかがだったでしょうか。
レンタルさんを見ていると、「自分が面白いと思うこと」を素直に行って、それにより十分な収益も得て、知名度も上がっているというのは、素晴らしいことだなと思います。
自分自身も、「会社勤めに向いていないな」と思うことが多いのですが、レンタルさんのような人が存在するという事実には、勇気づけられたりもします。
やはり、自分自身、「これがやりたい!」と思うことがあっても、お金のことや、世間の目を考えてしまうと、なかなか実行できないことが多いです。
しかし、レンタルさんの場合は、お金や世間の目を気にせず、「とりあえず、やりたいことをやってみる」という勇気が素晴らしいと思います。そういった勇気を持っている人は、なかなかいません。
今後も、陰ながら、レンタルさんの活動を応援していこうと思います。
「何もしないのに、1万円も取るのか」などと、レンタルさんを批判する人もいるでしょうが、今後も、批判に負けず、やりたいことを貫いてほしいですね。
そういう姿勢を見て、勇気をもらえる人は、沢山いるはずですから。