最近、近所のユニクロに行きました。
そして、良い商品を見つけたので、購入しようとレジに並ぶと、レジの雰囲気が以前とだいぶ変わっていることに気づきました。
レジを見てみると、自分で会計をする「セルフレジ」が沢山並んでいました。
今まで通りの、店員が打つレジも1台ありましたが、それ以外は全てセルフレジに変わっているようでした。
セルフレジの近くには、店員がいて、セルフレジの使い方を教えてくれました。
セルフレジの横に商品を置くと、商品が自動的にスキャンされました。
そして、アプリ会員か、そうでないかを選びます。そして、現金を入れたら、会計が終わりました。
会計が終わると、近くにショッピングバッグが置かれていました。
商品に合う大きさのショッピングバッグに商品を入れたら、終了です。
初めてユニクロのセルフレジを使ってみて、「結構、簡単にできるんだな」と思いました。
セルフレジは、確かに便利です。
週末になると、ユニクロは、レジが混むので、レジに並ぶことが多いです。
セルフレジが導入されると、そういったレジの混雑も緩和されるかもしれないと思いました。
しかし、「便利だな」と思った反面、なんとも言えない空しさも感じました。
セルフレジを使うと、「洋服を買っている」という感覚がありませんでした。
なんだか、洋服を買っているというより、「スーパーで買い物をしている」ような感覚になりました。
そして、「新しい服を買った」という高揚感も、店員がレジを打ってくれた時に比べて、薄れたように感じました。
ユニクロは、低価格の割に、品質やデザインの良いものを売っています。
そのため、自分も、時々買い物をします。
しかし、ユニクロで買い物をする際は、「店員と、しっかりとしたコミュニケーションが取れない」という点が、どこかひっかかっていました。
ユニクロの店員に、「この商品の、もっと大きいサイズの在庫はありますか?」と聞けば、在庫の有無を教えてくれます。
しかし、それ以上のことは教えてくれません。
ユニクロの店員は、「必要最低限」のことしか教えてくれないのです。
それには理由があります。
ユニクロは、低価格で品質の良い商品を提供しています。
そのためには、人件費を削る必要があります。
ですから、店舗の広さの割に、少ない人数の店員しか配置されておりません。
そのため、客一人に対して、一人の店員が長い時間をかけて接客することはできません。
それにより、「必要最低限の接客」になってしまうのです。
また、ユニクロには「接客マニュアル」があるため、どの店員も、客に対して「同じような対応」をすることになります。
接客マニュアルがあると、「安定した対応」ができるというメリットがあります。
しかしそれは、裏を返せば、「客一人一人の個性に合わせた接客」はできないということになります。
洋服を買う際に、客は、「この洋服は、どういったところにこだわって作られているのか」や、「どういった洋服と合わせるといいのか」といった話を店員から聞きたくなることがあります。
しかし、「低価格で良いものを提供するため、人件費を削る」というユニクロの経営方針ですと、こういった話を店員から聞くことはできません。
そのため、ユニクロで「低価格で品質の良いもの」を買ったとしても、「店員と、上辺だけのコミュニケーションしか取れない」という感覚があるので、どこか満足しきれない部分があります。
そして、「人件費の削減」をさらに推し進めた結果が、今回の「セルフレジの導入」だと思います。
セルフレジがメインになると、レジに対応する店員の数を減らせますから、確かに人件費の削減になるでしょう。
しかし、そうなると、「レジの際の、店員とのコミュニケーション」もなくなってしまうということになります。
客の側からすると、レジが終わった後、店員から「ありがとうございました」という言葉を聞くことで、「新しい洋服を買った」という満足感を得られたりします。
そして、そういった言葉をかけてもらうことで、「店員とコミュニケーションを取っている」と言うことを感じられ、充実感を得られたりするのです。
しかし、セルフレジになると、そういったこともなくなってしまうため、買い物をした後、なんとも味気ない気分になります。
「人件費を削減して、低価格で良いものを提供していく」というユニクロの方針からすると、今回のセルフレジの導入というのは、合理的な選択かもしれません。
しかし、客の側からすると、「ただでさえ少ない店員とのコミュニケーションが、さらに減ってしまう」という寂しさを感じます。
そういったことを言うと、「ユニクロで買い物をする際に、店員とのコミュニケーションを求めるな」という人もいるかもしれません。
確かに、ユニクロというのは「店員とのしっかりしたコミュニケーション」を求める店ではないかもしれません。
ただ、今の時代は、ユニクロに限らず、アパレル業界全体が、「低価格で良いものを提供するため、店員とのコミュニケーションを減らす方向」にどんどん傾いているような気がしてなりません。
それは、合理的ではありますが、なんとも寂しい気がするのです。
洋服というのは、買う際に、「店員とのコミュニケーションを楽しめる」という部分があります。
しかし、今の風潮ですと、そういった楽しみがどんどん減らされていることになります。
それは、なんだか悲しいことです。
せっかくの、「コミュニケーションの機会」がなくなっていってしまうのですから。
ただ、ユニクロというのは、「低価格で良いものを提供すること」を第一に考えている店ですから、この方針を安易に批判はできません。
「セルフレジの導入」は、その方針に合致していますし、これからもその方針を推し進めていくでしょう。
そして、それを支持する人も沢山いるはずです。
しかし、その一方で、自分としては、「しっかりした接客を長時間行ってくれる店」も、今後もしっかりと生き残ってくれることを願っています。
「洋服を買う際の、店員との活きたコミュニケーション」を求めている人は、潜在的には、かなりいるはずだと思うので。
今後も、アパレル業界全体が、「低価格で良いものを提供するために、人件費を減らす」という方向に、さらに傾いていくと、「ここまで店員とのコミュニケーションが減らされるのは、どこかおかしい」と感じて、「しっかりした接客を長時間行ってくれる店の重要性」に、気づく人が増えていくかもしれません。