場面緘黙症だった僕の、その後の人生

小学校時代に場面緘黙症を経験。社会に出た後も、仕事になじめずに苦しむ。社会にうまく適応できないという悩みあり。このブログが、同じような悩みを持っている方の参考になれば幸いです。

場面緘黙症児の治療方法について

 場面緘黙症になる人というのは、「恐怖を感じやすい」という、生まれながらの脳の特性があります。では、この特性は、変えることはできるのでしょうか。自分の考えでは、「大きく変えることは難しいが、ある程度ならば変えられる」のではないかと考えています。そして、変えるための対策を施すなら、年齢が若ければ若いほど、効果があると考えています。

 

 ここでは、「場面緘黙症の改善のため、どのようなことをしたらいいか」について考えていきたいと思います。場面緘黙症の人には、様々な年齢の人がいるとは思いますが、ここでは、「学校で喋ることのできない、場面緘黙症児」の治療をするケースを考えてみます。

 

 自分は、小学校時代、場面緘黙症ではありましたが、言語聴覚士として場面緘黙症児の治療に関わったことはありません。そのため、実際に行われている場面緘黙症児の治療のセオリーからずれることもあるかもしれません。このブログを読んでいる方で、そいういった専門の仕事をしている方がいたら、その点はご了承していただきたいです。ここでは、私が考える、「このようにしたら良いのではないか」という方法を述べます。これは、自分の言語聴覚士としての知識や経験に加え、自分が場面緘黙症児だった時代を思い出して、「このようにしてほしかった」という希望も加味して考えました。自分が考えたのは、以下の5つの方法です。それぞれ詳しく解説していきます。

 

 

①「学校で、安心して喋れる場」を作る。

②ハードルの低いところから始めて、できたら徐々にハードルを上げていく。

③喋ることができたらほめる。緊張感について確認をする。

④「喋った」などとからかう子を、しっかり注意する。

⑤体の緊張を取る方法を指導する。

 

 

①「学校で、安心して喋れる場」を作る。

 場面緘黙症の子というのは、学校では恐怖感を感じ、緊張しています。その緊張感により、喋ることができなくなっています。そのため、学校で「安心して喋ることのできる場」を提供してあげるのがいいと思います。スクールカウンセラーがいるのであれば、カウンセリングルームに呼んで、安心して喋れる雰囲気を作って、まずはカウンセラーと1対1で喋る訓練をするといいと思います。場面緘黙症の子も、カウンセラーと接して、「この人は安心できる」とわかれば、自然と話をしてくれるはずです。

 

 

②ハードルの低いところから始めて、できたら徐々にハードルを上げていく。

 場面緘黙症の子に、最初から「大人数の前で喋りなさい」と言っても、その子は「とてもそんなことはできない」と思ってしまうでしょう。そのため、まずはハードルの低いところから始めて、徐々にハードルを上げていくことがいいと思います。「1対1で喋れたら、次は3、4人のグループで喋る。次は、もう少し多い人数、最終的には大人数の前で喋る」といったように。

 

 具体的には、まずはカウンセリングルームで、カウンセラーと1対1で話すところから始めます。それができたら、クラスで、場面緘黙症の子と気が合いそうな子もカウンセリングルームに連れてきて、3人で喋る。それに慣れたら、カウンセリングルームで4人で喋る。それができたら、クラスの中で、もう少し多い人数の中で喋る、といったように。

 

 ハードルの低いところからはじめて、それをクリアできてくると、場面緘黙症の子も、「あ、少しなら学校で喋れるかも」と自信がついてきます。

 

 

③喋ることができたらほめる。緊張感について確認をする。

 場面緘黙症の子が学校で喋れたら、大人は、「うまく喋れていたね」というように、子供をほめましょう。当たり前ですが、人は誰でも、ほめられると嬉しいものです。そしてほめられると、「また次もやってみよう」という意欲がわいてきます。

 

 また、「緊張しなかった、大丈夫だった?」などと、緊張感について確認する声かけも行いましょう。そうすることで、場面緘黙症の子は「あ、この人は、自分が緊張していることをわかってくれている」と安心します。そういうことをしてくれるだけで、学校で喋ることの恐怖感はだいぶ薄らぎます。

 

 

④「喋った」などとからかう子を、しっかり注意する。

 また、場面緘黙症の子が喋った時に、「あいつが喋ってる、珍しい」などとからかう子がいたら、大人はしっかり注意して、「そういうことは言わないように」ときっぱり言いましょう。

 

 場面緘黙症の子にとって、自分が喋った時にからかわれることは、非常にショックを受け、「もう喋りたくない」と思ってしまいます。そのようにからかう子がいなくなると、もう少し「学校で喋ってみようかな」という意欲がわきやすくなります。

 

 

 

⑤体の緊張を取る方法を指導する。

 心の緊張を取る前に、まずは体の緊張をほぐしてみるというのも有効な方法です。

 

 そもそも、「緊張」とは、なぜ起こるのでしょうか。脳の機能を交えて解説します。人は、自分の身に迫る危険を察知すると、脳の「扁桃体」という部分で「怖い」と感じます。そこから自律神経に対して、「体を緊張させろ」という指令が出ます。その結果、体も緊張します。恐怖を感じると、なぜ体は緊張するのでしょうか。それは、体が弛緩していると、「逃げる」「戦う」といった行動がしにくくなるからです。身の危険が迫った時は、自分が助かるために、「逃げる」「戦う」といった行動を素早く行わなければなりません。そういった行動をとるためには、体が緊張していた方が都合がいいのです。

 

 場面緘黙症の子は、学校の中では恐怖を感じていて、それゆえに過度に緊張してます。緊張があるということは、「逃げる」「戦う」といった行為を素早く行うためにはいいのかもしれないですが、「学校で喋る」ということにおいては、マイナスに働きます。緊張も、「適度な緊張」ならば問題ないでしょう。しかし、場面緘黙症の子は、過度に緊張してして喋れなくなっています。そのため、まず体の緊張をほぐしてあげると、脳が、「あれ、からだが弛緩しているということは、そんなにこわがらなくてもいいのかな?」と勘違いして、心の緊張もほぐれるということがあります。

 

 具体的には、「深呼吸」や「ストレッチ」を指導してあげるといいでしょう。

 

 「深く、ゆっくりとした呼吸」をすると、自律神経は副交感神経が優位となり、緊張がほぐれてきます。深呼吸のやり方を教えて、「緊張した時は、こういう風に呼吸してごらん」と子供に提案してみましょう。

 

 また、ストレッチで体をほぐすことも、緊張がやわらぎます。座って教室でできるようなストレッチ方法を教えて、こちらも緊張した時に行うように提案してみるといいでしょう。

 

 

 このような方法で、大人が「学校で喋ること」について支援していけば、場面緘黙症の子も、学校にいることの恐怖感や緊張が薄れて、少しずつ学校で自然に喋れるようになるのではないでしょうか。


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