場面緘黙症だった僕の、その後の人生

小学校時代に場面緘黙症を経験。社会に出た後も、仕事になじめずに苦しむ。社会にうまく適応できないという悩みあり。このブログが、同じような悩みを持っている方の参考になれば幸いです。

言語聴覚士として病院に勤務(1年目)

 言語聴覚士の免許を取得し、関東地方にある総合病院に勤務することになりました。回復期への配属を希望していましたが、その希望が通り、回復期に配属されることとなりました。言語聴覚士は、自分を含めて6名在籍していました。

 

 初めは、何もわからないので、先輩の言語聴覚士から指導を受け、先輩についてまわっていました。そして、少しずつ慣れてくると、担当の患者を持たせてもらえるようになりました。

 

 ただ、病院という職場は、非常に関わる人数が多いです。患者も沢山いれば、職員も多いです。また、患者だけでなく、患者の家族とも関わることもあります。

 

 自分は、元々、「大人数の場」が非常に苦手です。そして、その人達が、自分のよく知らない人だったりすると非常に緊張が強くなります。そのため、病院で勤務し始めの頃は、仕事中は常に緊張しているような状態でした。

 

 そのように緊張した状態が続くと、職員同士のコミュニケーションもうまくいきません。医療現場では、職員同士のコミュニケーションは非常に重要です。自分も、その重要性は理解していました。しかし、緊張感のせいか、「声をかけたくても、うまく声が出てこない」という状態になってしまいました。

 

 小学校時代、場面緘黙症だった時は、学校で、「喋りたくてもうまく喋れない」という気分になることが度々ありました。この病院に勤務していた時も、似たような気分になりました。

 

 また、言語聴覚士は専門職ですので、日々、専門知識をつけていくことが求められます。しかし、当時の自分は、「コミュニケーションを何とかしなきゃ」と考えることに精一杯になってしまい、そこからさらに勉強して知識をつけていく余裕がありませんでした。そういう状態でしたが、言語聴覚士の主任からは、「もっと勉強をしろ」とプレッシャーをかけられ、さらに追い込まれていきました。

 

 また、言語聴覚士の主任からは、知識や業務能力面だけでなく、自分の人格的な部分を否定されることもありました。「何で他の職員とコミュニケーションが取れないんだ。言語のリハビリをしているのに、お前がコミュニケーション障害じゃないのか?」というようなことを言われたりもしました。それにより、精神的にさらに落ち込むようになりました。

 

 そういうことが重なり、ある時から、どうしても職場に行くことができなくなってしまいました。その後、精神科を受診すると、「うつ状態」と診断され、休職することとなりました。

 

 休職中は、「このままこの職場に復帰するか、そのとも退職するか」ということを悩んでいました。そんな時に、言語聴覚士の友人から、連絡がありました。その友人には、休職していることは隠していましたが、現在の職場が合わないことを伝えると、「自分の職場は、居心地がいいよ。今、言語聴覚士の募集をしているから、良かったら来ない?」と誘われました。その誘いを受け、「他に職場があるのであれば、無理に今の職場に留まる必要はない」と考え、退職して友人のいる職場に移ることを決めました。

 

 退職が決まってからは、残務整理のため、短期間だけ職場復帰しました。退職が近づいた時、言語聴覚士の主任から、「次に行くところは決まっているの?」と聞かれました。しかし、そこで次に行く先を言ったところで、こちらにメリットがないと考え、「ちょっと言いたくありません」と伝えました。その後、主任から言われた言葉は、今でもはっきりと脳裏に焼き付いています。人を非常にバカにしたような言い方で、「○○さんを欲しがる職場なんてあるの?」と言われたのです。これを聞いて、「あ、この人は、僕のことを、人として完全に見下しているな」と感じました。この言葉の裏には、「お前みたいな使えない奴は、どこの職場も欲しがらない」という気持ちが込められています。その言葉を聞いて、自分は非常にショックを受けるとともに、その主任に対して、「この人は、能力はあるかもしれないが、人として尊敬できない」と強烈に思いました。

 

 退職する際は、職場の人からの寄せ書きももらいました。その主任も、「これからも頑張って」などと、当たり障りのないことを書いていましたが、それが本心ではなく、建前であることは明らかでした。それに腹が立ち、その寄せ書きを見ると嫌な気分が蘇ってくるようになったので、その寄せ書きは捨てました。

 

 こういう形で、言語聴覚士としての最初の職場は、1年足らずで退職することとなりました。


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